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【書評連載】『100分de名著』(NHKテキスト)に公共放送の本気と闇を見た

 月刊『MONOQLO』で書評連載を続けて早ン年、読者の皆さんからたびたび「Webと連動せんの?」と言われていたのを思い出し、先月24年1月号の掲載本をプレイバックしようと思うんですよ。

 お題はNHK『100分de名著』でございますね。

ぶっちゃけ、毎月いろいろあって面白い。もうこれでいいじゃん

 世には本の要約サービスがあって同一性保持権で面倒ごとがあったり、隙間時間にAudibleを1.5倍速で聴き読んで理解したつもりになって全部忘れてたり、いろいろあるじゃないですか。

 でもNHKが繰り出す『100分de名著』は違う。本当の意味で、知の塊を口の中に押し込むような、確かに大学時代に良く分からん授業で岩波新書のような良書()を課題図書に掲げられ、そのクソ難解な何かを押し込まれて四苦八苦するのとはまた異なる、完全なるそれっぽい世界に誘ってくれるのであります。

 いわば、歴史や物理学のような「教科書」がその知の体系をエッセンスとして叩き込んでくれる教育の仕組みであるとするならば、この『100分de名著』はジジイが嗜む教養の枠組みとしては「分かったつもり」以上の何かを実現させてくれる登山口のような役割を担っているのであります。

 例えば、23年4月号の『100分de名著』は『新約聖書』『福音書(Gospel)』です。キリスト教者である私としても、100分で読めますと言われなくても土地勘のある分野ですから、むしろ知っているからこそどういう要約になっているかきになるわけですよ。

 で、どんなもんかとつらつら読み始めると、流し読みから真顔になり、正座になってああそうだったかなとか思い直しながら読むぐらいには本当に良くできてる。し、知ってたもんねそのぐらい。

舐めてましたほんとすいませんでした

 で、シリーズは長くあるだけあって『史記』やら『資本論』『アドラーの心理学』まである。お前の興味のあるところだけ、まずは読んでみるといいと思うんですよ。うっかり流行に乗って変な教養本に目を通したり、目覚めたり気づいたりする前に、ちゃんとしたベースに則ったこのシリーズで予習をしておくといいんじゃないかと思うんですよね。

 私はちょうど親父が倒れて担ぎ込まれて入院し、長くかかる病院の待合室で診察結果を待っているタイミングで乱読し、これはいいなと本当に思いました。ありがとう、NHK。受信料三倍払う。

 そんな私の書評は是非『MONOQLO』本誌で。なお、次回24年2月号の書評は『カーテンコール』(筒井康隆・著;新潮社)です。

 画像はAIが考えた『NHKはせっかく国民の知る権利にここまで貢献しているのに理解のない新聞協会ほか既得権益のクソジジイどものお陰で俺の大好きなNHK News Webも縮小になりそうでガチでどうにかしてくれ俺たちの岸田文雄』です。

MONOQLOの表紙、毎度おめでたくていいですね
またジジイこんな本出しやがって早く死ねと言われてそうな筒井康隆先生カーテンコール



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山本一郎(やまもといちろう)
神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント