韓国ネタは膝から崩れ落ちる系が多い
「GSOMIA破棄の理由を説明してやるから来い」
「いや、お前が破棄の釈明に来いよ」
立場の違いが不幸な問題を起こすことは多いですが、信頼関係が無くなった、それはお前の行動が原因だと言い募るのは「それを言ったとして、次に何を目的にして関係を構築するのか」という落としどころが無くなるんですよね。
で、我らが宮家邦彦先生がキヤノングローバル戦略研究所で緊急講演や! となるわけでございます。まあ、ブチ切れですね。
私も韓国は嫌いだけど、隣国だし信頼関係は維持したい、ビジネスはあるし、お互いに観光客が多数行ったり来たりしている、何よりざっくり年間1兆円の貿易が日韓間であるのですから、お互いのために関係が減るのは嫌だ、と思うんですよ。
また、これは日本銀行や財務省などの報告会でも何度も話してきたことですが、私は日韓スワップ協定は一定額補償することは賛成です。
これは、韓国のために行うのではなく、韓国に製品やサービスを輸出したり、日本人を観光客として受け入れてくれるにあたり、安全に資金が韓国から日本企業、日本人に払われるために(本来は)必要です。
なぜならば、ホテルの予約にせよフッ化水素にせよ、貿易保険のあるなしにかかわらず概ね7割ぐらいが次のようなビジネスの立て付けになってます。
1) お金は先に日本から韓国企業に支払われ、後からサービスがついていくビジネス(いまある格安パックツアーなど)
2) 先に商品が渡されて、後から韓国企業が日本にお金を払うビジネス(半導体部品や製造素材など)
ビジネスの性質上、日本が先に払う、先に納品するという取引が多くなっています。詳しくは、サイトを見てください。
で、「GSOMIA破棄」が今後起きるであろうアメリカや日本からの「説得」を無視する形で韓国が強行した場合、次に危機に晒されるのは「日韓FTA」です。まあ、これ以上関係が悪化したら、当然のように「やめようぜ」ってなる。8割9割の確率で。
そして、ゆくゆくは日韓間の「ビザ免除の廃止」が起きる。ここまで来たら、本当に日韓断交に近くなるので、双方の外交担当者が本気になって関係悪化回避に動くと思いますけれども、東アジアの安全保障を集団的に行っていこうという発想とは逆に、もはや日本、アメリカと韓国の分断が進んでしまうということでもあります。
一番問題なのは「そうであっても、日本は別に困らない」ということです。そんなに困りません。いま日系銀行が猛烈に韓国企業に与信をかけているので、実質的にスワップ状態で、外貨準備が枯渇しても日本企業が取っぱぐれる心配はあまりないのは、前回noteで書いた通りです。
ありがとう、三菱UFJ。
ただ、日韓間が関係安定してくれて、仮に正規のスワップ協定でもあれば、ウォン高にコントロールできます。信頼のない韓国経済の通貨が、日韓スワップ協定によって信用不安で貿易代金が支払われない可能性が無くなれば、当然信認されるからです。信用をつけてやるだけでウォンは高くなり、素材は安く韓国に売れるので日本は対韓国で競争力が高くなり、韓国から日本にやってくる人が落とすウォンは増えるのでインバウンド消費の底上げになり、また、スワップにかかる費用に比べて韓国経済も人口も少ないので効果が高く、そして何より日本は韓国へデフレと不況を一緒に輸出できます。
どうもスワップ協定というと「韓国にカネをくれてやる話」と誤解されるわけですが、韓国通貨に信用をつけて安定させたほうが、モノを多く売る側にとって都合が良いのです。余りある日本の外貨準備高の使い道にもなります。
仮に経済不振が韓国で酷くなり、格差が広がって韓国国内の農村部で自殺者が増えてしまったとしてもそれは韓国の国内問題であって、ウォン高に誘導した日本の責任ではありません。あくまで日本が相手にするのは、ちゃんと払ってくれそうな韓国企業と、海外旅行に年二回ぐらい行ける裕福な韓国人家族だけであって、それ以外の韓国人のことはあまり考える必要がないのです。
日本が韓国との信頼関係を維持することで、FTAやビザ免除も含めた人とビジネスの行き来が大きくなるというのは、韓国経済が潰れない限り日本にとってはメリットしかありません。韓国にとっても、貴重な外貨の獲得ができます。両国の民情が反日だ、あるいは嫌韓だ、とやっているのはそれはそれとして、本来は粛々とビジネスをやり、観光客を送り合っておけば良かったのです。
しかしながら、ここまで来てしまうと無理に信頼関係を醸成し、韓国のためにスワップ協定を組んでやろう、政治的に無理ならば日系銀行に韓国企業へ与信をつけてやって支払いができるように手配してやろう、と考える必要もなくなります。お互いのためにと思って考えるだけの愛想も尽きました。死にたければ勝手に死ねばいいんじゃないでしょうか。ホワイト国除外も、冷静に考えるならばそもそも北朝鮮に海洋上で物品を渡してきた韓国の自らの問題で、対北朝鮮の国連安保理決議の実効性を損なわせる制裁決議違反そのものですし、戦略物資については輸入量の一部が中国などに再輸出されたことの問題が大きいわけですから、これも彼らの問題です。
日本の海上自衛隊と韓国海軍に関しては、概ね安定した信頼関係を元に情報交換を続けてきていたと聞いていましたし、今回のGSOMIAも含めた日米韓の関係の緊密化が相互の安全保障に寄与するという認識で一致していました。レーダー照射事件までは。本来は必至で抵抗するであろう両国軍人が政治決着した結果を見て呆然とするのは分かります。
それ以上に、日韓の情報部門はどうにもならなくなります。愛想も尽きました。韓国の5G網から結局中華HUAWEIやZTEが排除されないことが確定した段階で終わりです。大事な情報を韓国と交換して中国に流されるぐらいなら、一定の安全が確保されそうな仕組みを別で用意したほうが、情報網の再構築を急ぐ日本からしたらむしろ好都合です。
昨日もさんざん言われましたが、今回の韓国GSOMIA破棄については、確かに北朝鮮は利するものです。ただ、中露も受益があるかと言われれば別で、このまま情報協定が続いていたならば、在韓米軍が司令部ごと撤退するその日まで、日本の情報は企図せず韓国を経由して中国に漏れることが確定していたことを考えれば、ここで日韓が決裂してしまうと少なくとも情報分野においては中国は韓国経由で情報を取ることができなくなります。これはこれで、日本にとって良かったんじゃないかとすら思います。
韓国からのGSOMIA破棄については、失望以外の受け止め方もむつかしいところがあります。文在寅政権が民情に左右された結果としても、日本でもネトウヨが騒いだとてビジネスや軍事協力は粛々と進んできたわけでして、それはそれ、これはこれということで、お互い分かっている人たち同士で何とか良い風にやっていこうというコンセンサスがあったはずなんですよね。
で、今日になって、非公式ながら韓国が当国ご本尊に「日本との関係を修復するためには、日本はこれとこれを改めて韓国側の要望を受け入れるように」とかいう話をしてきたようです。ちょっと何を言っているんだか分かりません。最高に頭がおかしいというか、立場を分かっていないというか、本格的にもう駄目なんじゃないかと思うんですよね。
これ、文在寅さんだけじゃなく、韓国人が本当に言ってくるんですよ。
「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に優位に追いつくことができる」
つまり、北朝鮮と統一、併合すれば、韓国は仮に日本と経済対立が激化しても、日本経済を追い抜き経済成長できる、ということですね。
だから、韓国は仮に国連安保理決議で北朝鮮が経済制裁されても、制裁を行うつもりもないし、北朝鮮に物資を提供するのだ、なぜならば、韓国の要望を日本が無視し、放置しているからだ、というロジックになるんですよね。実際、そう言ってくるんです。その意見に賛成か反対かは別として、さっぱり理解できないんですけれども。
そして、アメリカ側が声明を出して、文在寅政権の決定に「強い懸念と失望」とポンペオさんが喋ったことについて、今度は「アメリカが日本の肩を持った」と、なぜか日本側担当者に対して怒ってる。もうね、意味が分からない。韓国政府の情報担当10年選手が平気でそういうことを日本人に言うのは何なんですかね、と思うのです。
いままでの日本との活動や、それの根底にあった信頼関係はなんだったんだと思うところも大きいのですが、これはもう駄目かも分からんし、愛想も尽きたよね。ここまで粘って頑張ったんだから、これで駄目ならもういいよねと思います。
で、たぶん次に言ってくるのは38度線に張り付いている韓国軍の一部をスタンドオフします、って話でしょうし、経済的には日韓FTAの見直しです。まあもう好きに言えばいいんじゃないでしょうか。さすがに頭がおかしい。
こういう話も「日本が韓国に指図してきた」と思われるんでしょうか。
まあもうどうでもいいんですが。