果て無い物語に刻まれた刹那の時間 - 劇場版SorAZイベントレポート
2020年9月26日土曜日にときのそら、AZKiによるツーマンライブ「SorAZ Special Live 刹那的クロニクル」 #劇場版SorAZ が開催された。
SorAZとはときのそら・AZKiのユニット名である。ライブタイトルもクロニクルと題されていることなので、少し遡って2人の歩みを振り返りたい。
2019年2月の「AZKiの世界を開拓するラジオ 略して「アズラジ」2 」で初コラボが実現した。それから2人は徐々に打ち解けていたようで、同年7月21日の「AZKi生放送 8 Talk&Live」にてユニットとしてSorAZが誕生する。この時イヤモニが聴こえなくなるというトラブルに見舞われながらも、2人協力して最後まで歌いきった姿は、当時見ていた人の心に強く残っているだろう。
さらにデュエットカバー曲やフェス・イベントでのステージを経て、2020年2月15日の「アニメ・ゲームフェス NAGOYA2020」のDAY1で初めての2人だけのリアルイベントの開催となる。この時も幾多のトラブルに見舞われながらも、2人の力で乗り越えてく姿を見せつけられた。その時の様子はこちらに少し書き残しているので見ていただければと思う。
そして先日SorAZ 2人のオリジナル曲第2弾「紅藍クロニクル」が9月22日に配信開始となった。
楽曲のリリースと連動し開催されたのが本公演になる。そんなライブの様子をまとめておきたいと思う。
ライブ開演トラブルからのスタート
前書きのように幾多のトラブルを乗り越えてきた2人。SorAZにはトラブルがつきものといつからか言われるようになっていたが、今回もSorAZにトラブルが襲う。ライブ配信に使われたSPWNの基幹サーバーが障害を起こし、ユーザーのログイン障害や定刻での入場ができなくなる。2人のファンはSNSやコメント欄で温かく見守り、「ぬん(๑╹ᆺ╹)(╹◡╹▰)あず」と開始の時を待った。あわや公演中止もあり得た事態かと思うが、約30分遅れでの無事開演となった。
主催INNK MUSICで行われた本公演はAZKiのライブと同じように、ピンポンパンポーンと開始前のアナウンスがあった。開拓者(AZKiのファンネーム)にとってはお馴染みのアナウンス文章だが、禁止事項の「ダイブ・サーフ」に並んである「突然床になる」を読み上げ、戸惑うときのそらとそらとも(ときのそらのファンネーム)たちがちょっと新鮮だった。
そんな和やかな雰囲気の中、しばらくするとステージが映った。そこまでの空気がガラッと変えるようにSorAZ初のユニット曲「刹那ティックコード」が鳴り始め、映画をイメージさせるようにタイトルが大写しになりライブが始まった。
タイトルの隅には「SorAZ / hololive production」と劇場版らしく「〇倫 / EI〇IN」っぽくロゴが入っており、またアニメのOPを想起させるようなクレジットも見られた。
刹那ティックコードのかっこいい掛け合いに合わせて背中合わせから入れ替わりながら歌うところなど、曲に合わせたパフォーマンスも凄かった。
始まりから熱く盛りあがるスタートとなった。
曲が終わると挨拶と今日の意気込みを語った。
ときのそらです!AZKiです!二人合わせてSorAZです!
軽やかにMCを進め、2曲目の「フレーフレーLOVE」が始まる。
ときのそらの楽曲で、初のワンマンライブ「Dream!」で披露した曲になる。さらにAZKiも4th Live「REPEAT THiS LiFE WiTH U AZ輪廻」の中でサプライズでカバーしたことがある曲だ。そんな曲が今回2人デュエットなところに文脈を感じた。歌詞の「キミ」の部分で目を合わせたり、2人で「フレーフレーフレフレー!」と手を振る姿はとても力が湧いてくるものだった。
3曲目は「猫ならば行ける」。「にゃー!」のコールが楽しく盛りあがるAZKiの一曲で、ホロライブの他のメンバーと一緒に歌われるときを筆者はずっと待っていた。猫が好きな2人、仲良く駆け回ったり跳ねたり動いて歌う姿は、2人のかわいさが存分に溢れていた。
のっけから最高の選曲でSorAZの初めのユニットパートが終わった。
AZKiのソロパート
SorAZといえば歌!ということでそれぞれのソロパートへ突入した。まずはAZKiからのスタート。
最初の曲は「Intersection」。AZKiのダンスナンバーに体が揺らされる。5th LIVEの時の雰囲気とはまた違っており、セトリで曲の表情が変わるのはAZKiの表現力の凄いところだと思う。
続けて「Fake.Fake.Fake.」、「ひかりのまち」とロックナンバーが続く。ライブで盛り上がる定番曲に、ボルテージを引き上げられた。歌い終えた後短くありがとうと言ったのはかっこよかった。
MCでは4曲目からはエモい感じにと、そして大事な曲を聴いてくださいと「いのち」が始まる。
一番を歌い終えたところで音声がストップしてしまうアクシデントが起きてしまう。復旧までの間ときのそらもTwitterでも応援していた。
再び歌い直すAZKiに向け、コメント欄はおかえりで溢れた。それに対しAZKiがサビ前の切れ目に「ただいま」と囁く場面があった。トラブルさえも演出のように変えてしまったAZKiは本当に凄かった。
生の音楽がそこにはあり、また1つ記憶に強く残るライブシーンになった。(※なお音声トラブル部分はアーカイブではカットされている)
「いのち」が終わると「青い夢」が続いた。「いのち」とこの2曲は感情で殴り殺され床になってしまう開拓者全滅必至のコンボだ。
夢や理想に締め付けられる中での叫び、感情が爆発しそうな歌の中で、曲の最後の「逃げないよ 夢だから」は何度聞いても感謝の気持ちに溢れてしまう。
AZKiソロパート最後の曲には「from A to Z」が歌われた。コーラスを開拓者が歌うことで初めて完成される曲だ。開拓者との歌が最後に入るのは、少し対バンをイメージさせるようだった。
AZKiは前半は熱く盛り上げ、後半はしっとり歌い見事に場を作り操って魅せた。
ソロパートを終えるとときのそらがスッと歩み寄り、ソロパートを労った。
「わたしもいのちとか歌お。fromが一番好きだけどね」と言うときのそら。いつかのカバーとして歌われるのを楽しみに待っていたい。
ときのそらのパート
AZKiが舞台袖に移動し、今度はときのそらのソロパートが始まる。
少し緊張したような面持ちだったが、まずは一呼吸。こうして切り替えてく姿は幾多のイベントを乗り越えてきたまさにアイドルな姿だった。
今日のために楽しいセットリストを考えてきた、この曲から聴いてくださいと「Equation of Love」が始まる。「はい!はい!はい!はい!」とかわいく掛け声をかけながら歌い始めた姿に先ほどまでの緊張は感じられなかった。曲の弾むような音に合わせて歌い踊る姿はアイドルらしさが爆発していた。
みんなに証明しちゃうからねー!
ソロパート2曲目は「冴えない自分にラブソングを」。
2番の「せめて動かずいよう」でDream!で見せたロングトーンをさらに上回るロングトーンを見せつけた。振り付けはかわいく進化しながらも、要所でかっこよく成長したところも見せつけてくるところが最高だった。
間髪入れずに始まる「IMAGE source」でさらにそんなかっこ良さを盛り上げてく。
ときのそらの芯のある低めの声のかっこよさが光る曲だ。Dream!の時よりも低音に安定感が出ているように思った。色々な歌ってみたへの挑戦や日々のボイトレの練習の成果が感じられた。
まだまだ声出し足りないんじゃないと見てる者を煽る姿もとにかくかっこよかった。
ソロパート後半は「コトバカゼ」から始まる。
どこか切ない表現の中にアイドルらしい表現を同居させて歌いあげるのはときのそらのライブらしいと感じるシーンだ。
続いて「青空のシンフォニー」が歌われる。
ときのそら20歳の節目に自身が作詞作曲した曲になる。誕生日記念のライブではショートverの披露だったが、今回初のフルでの披露。
みなさんのおかげでこの曲を作ることができました。
ほんとうにありがとうございます。
そらともに向けた感謝を曲の間奏中に述べた。
ライブの告知放送で「そらともさんも開拓者と一緒に全滅しちゃお(╹ᆺ╹๑)」と話していた通り全滅したと思う。
そらともと育んできた想い出がたくさん詰まった曲は、これからもたくさんの想い出を作る1曲になっていくだろう。
ソロパート最後の曲は新曲「ぐるぐる・ラブストーリー」。
サプライズの大好きなときのそららしい選曲だ。アニゲーフェス名古屋では、アルバム「My Loving」から「Wonderland」を、自身のワンマンライブの際にはNEWシングル「フレーフレーLOVE」をお披露目と、これまでの大きな舞台に新曲を引っ提げてやってきている。今回は10月21日に発売のアルバム「ON STAGE!!」に収録される曲を持ってきた。
これまでのときのそらのステージといえば、VJ演出が控えめなことが多かったが、この曲では配信ライブを活かしたVJがなされていた。手をくるくる動かすパフォーマンスと画面の演出が一致していてとてもよかった。
ときのそらはコールが楽しいアイドル全開な曲で攻めてきた。
3曲ずつ歌いきって息を切らしているほどの全力だった姿は、去年夏、音楽的特異点での熱狂させるステージを作った時の姿を彷彿とさせる素晴らしいものだった。
今回お互いがそれぞれ考えてきたというソロパートのセトリで、自分たちを応援してくれる人のことを想って歌う曲が入っていたこと、デュエットライブでありながら対バンライブそのものだった。実質LAST V STANDiNG!
そして再びSorAZでの登場
転換を挟んで、2人は今年1月に豊洲PITで開催した「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」の衣装に変わって再びステージに現れる。通称豊洲衣装と呼ばれるこちらの衣装では2人は色違いになっていて、横に並ぶと白と黒・青と赤とコントラストが引き立ちユニット感が強まるものだ。
衣装代わっての最初の曲は、そんな豊洲で初披露となった「夢見る空へ」。
豊洲で1期生がエモく歌詞割りをしていた曲中の「行くよ!(行こう!)」と掛け合うところは、デュエットとしてもとてもよいものだった。
ステージに立つことでホロライブプロダクションを率いてきた2人の憧れを繋げようという言葉はそんなステージを見て所属してきた後輩がいる今とても深く感じた。
憧れへ手を伸ばし (╹◡╹▰)
(๑╹ᆺ╹) 掴み取ったその光が
いつの日か (╹◡╹▰)
(๑╹ᆺ╹) また誰かの憧れに変わる
繋げよう (╹◡╹▰)
続く曲は、AZKiの楽曲から「のんびりと、」が、ときのそらの楽曲から「Wonderland」が歌われた。
「のんびりと、」には「今日は何曜日?」との問いに「〇曜日!」と答えるコールアンドレスポンスがある。AZKiが「今日は何曜日?」と、ときのそらに問いかけると「サ、サンデー!」と答えてしまうかわいらしい場面があった (※冒頭で謎の強調で書いた通りこの日は土曜日だ)。
「Wonderland」は、SorAZの初のイベントとなったアニゲーフェス名古屋でときのそらが披露した曲だ。今度は2人でジャンプしたりクラップしたり楽しく歌う姿が印象的だった。
自由で和やかなMCを挟み、あの曲まだ歌ってないですよね?と問いかける。
ついに来た新オリジナル曲「紅藍クロニクル」の時
今日のライブはこの曲のためにあるといっても過言ではない。AZKiが作曲・作詞を行い、2人の歩んできた道のりを歌にした2人だけの曲だ。
制作裏話でこの曲は感情バトルと語られたように、魂がぶつかり合うのような歌は燃え上がるように熱くかっこよかった。
メッセージ性の強い歌詞に、お互いが随所にこだわりを込め歌い上げているところが最高だった。
歌の中のときのそらの「聞こえている?」と、1人のそらともでもあるAZKiの「聞こえているよ!」の掛け合いは、3年前「聞こえてますか?」から始まったときのそらの初放送を連想させるもので胸に来るものがある。
VJ演出も気合いの入ったもので、この日一番の物量での演出が画面をかっこよく演出していた。
終わりの曲を歌う前のMCでは、AZKiがこれまでを振り返り、ときのそらに感謝を伝える場面があった。
そらちゃんがホロライブやVTuberという世界を盛り上げてきてくれたからこそ今ここに立てている。
そらちゃんがあの日の「聞こえてますか?」があったから、今日ここに立てていることを、今日始まる前に思っていた。
だからほんとそらちゃんには感謝だなってありがとうって思っています。
それに対しときのそらもAZKiに対して感謝を返す。
最初はひとりぼっちで、一緒に歌ってくれる人もいないみたいなところからスタートして
AZKiちゃんは入ってきた時から歌をいっぱいやりますみたいに入って来てくれて
まさかこう音楽ライブがいっぱいできるようになると思ってなかったから
そういう人が一緒に近くにいてくれたらいいなって思ってたわたしとしては、逆に入ってきてくれてありがとう。
ステージだからこそ伝えられた気持ちだろう。そんな光景を見て筆者は2人を応援してきてよかったなと心から思った。
またいつも応援してくれる人たちに向けて2人で感謝を述べる。
お互いが音楽が好きで活動したから今日に繋がった。
いつも応援してくれてるみなさんに原動力になってくれてありがとう。
これからもよろしくおねがいします。
しんみりした空気を吹き飛ばすように2人で大きな声で最後の曲を告げた。
「Shiny Smily Story!」
ホロライブのライブといえばラストソングはやっぱりこの曲しかない。
いつもは「hololive!」という冒頭のコールが「そーらーず!」だった。
SorAZのこれからも明るいと確信せずにいられない盛り上がりだった。
アンコール
「アンコール!アンコール!」「劇場版!そーらーず!劇場版!そーらーず!」とアンコールを求める声に応え、再び2人がステージに上がってきた。
これから2回目・3回目とできたらいいな、オフイベでみんなのところに行きたいねと今後の展望などが語られた。
そうして本日本当の最後の曲、盛り上がって締めたいと「キラメキライダー」が始まる。
SorAZは不滅!
キラメキライダーとコメント・VJすべてが一体になって盛り上がった。
次回は劇場版SorAZ IIでお会いしましょうと幕を閉じた。
おわりに
とても高揚感があって、いい余韻の残るライブでした。
「歌うことが好き」という2人。
先輩と後輩という関係から始まった2人は、今では同じ箱の仲間でもあり、またライバルでもあり、共に様々なことを乗り越えてきた戦友でもありと、いろいろな形の関係へと広がっている。2人の想いや情熱が絡まり、日々の研鑽によって煌めきが増していると感じる。これはアニゲーフェス名古屋の際にも思ったことですが、この2人が出会ってくれて本当に良かったと思います。
似ているけれどどこか違う境遇の二人が長い時間を経て強く交わり、
ともに笑い、ともに悩んだ日々の積み重ねが
この日、一つの刹那となり次のクロニクルへと向かっていく
~ライブの紹介文より~
劇場版SorAZはしっかりとSorAZの歴史の1ページに刻み込まれただろう。
今回オープニングクレジット付きで始まった劇場版SorAZだが、エンドロールはなかった。これからも続くSorAZの物語にまだまだ終わりがないことを感じさせるいい終わり方だった。
いつまでも彼女たちSorAZの生きた証を見守っていきたいと強く思わされるライブだった。
次は出来ればリアルライブでと話していた2人。是非ともかなって欲しいと筆者も強く願う。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
アーカイブは2020年10月26日まで見ることができるので、ぜひ見て床になっていただきたいと思います。
床になった後は人に戻るのも忘れずに。
(๑╹ᆺ╹)「劇場から帰るときは床から人に戻ってください。」
(▰╹◡╹)「人間を取り戻していただいて。」
セトリ
-SorAZ duet part-
M1 刹那ティックコード
M2 フレーフレーLOVE
M3 猫ならばいける
-AZKi solo part-
M4 Intersection
M5 Fake.Fake.Fake.
M6 ひかりのまち
M7 いのち
M8 青い夢
M9 from A to Z
-Tokino Sora solo part-
M10 Equation of Love
M11 冴えない自分にラブソングを
M12 IMAGE source
M13 コトバカゼ
M14 青空のシンフォニー
M15 ぐるぐる・ラブストーリー
-SorAZ duet part ~Toyosu Costume~-
M16 夢見る空へ
M17 のんびりと、
M18 Wonderland
M19 紅藍クロニクル
M20 Shiny Smily Story
-encore part-
M21 キラメキライダー