アメリカでレイオフされた つづき

午前11:05、たった5分のTeamsコールで、COOからレイオフのことを告げられて、呆然としていた。コールが終わった瞬間にTeams含め社内のイントラにアクセスできなくなった。私の人生色々あるなぁ〜こんなことってあるんだな…となぜか冷静だった。レイオフされたことはわかったけど、私だけなのか、他にも何人もレイオフされたかはよく分からなかった。もう社内のイントラにもアクセス出来なかったので、確かめる術もなくて、さてどうしよう…と思っていたら、同僚数人からテキストメッセージが届いた。

同僚もレイオフされてしまったのは本当に不運だけど、戦友がいる、と心強く思った。H1Bで働いてた同僚もいたので、その後ビザについて密に情報交換もできた。

とりあえず20分ほど途方に暮れた。戦友もいることが分かった。やるっきゃない、このチャレンジを乗り切ってやる!と気持ちを切り替えて、すぐに行動開始。まず私がやったことは、

  1. 学校(卒業したビジネススクール)のキャリアセンターとのアポを取る(次の日にとれた)、job huntingの戦略を練るため。

  2. ビザ的にいつまでアメリカ滞在できるのか、次の仕事をいつまでに見つければ良いのか、google検索

  3. 会社の移民弁護士に連絡。ビザの関係でいつまでアメリカにいれるのか、いつまでに仕事を探す必要があるのか、いつ国外追放になるのか、他に残る手段はあるのか。自分で調べたこととも照らし合わせながら専門家に相談

  4. 10月半ばに予定していた日本への一時帰国の便をキャンセル、ホテルの予約や日本との友達との予定もキャンセルの連絡


1.について、やはりビジネススクールのキャリアサポートは手厚く、とっても有り難かった。卒業してから1年以上経ってるが、卒業生用のキャリアサポートのシステムがあり、それを利用した。45分のスロットで予約できて、もちろん無料。Resumeの添削や面接練習のために、就活期間中に20回ほど利用することになった。

2.について、60日以内(Grace period、猶予期間と呼ばれている)に次の仕事のオファーを得てH1Bをトランスファーし、USCISに受理されないといけないことが分かった。トランスファーにも2週間はかかることを加味すると、実質、遅くとも45日以内にオファーを得なければいけないことが分かった。

3.について、移民弁護士と話し合ったところ、万が一60日以内にH1Bトランスファーが出来なさそうな場合、一旦アメリカを出れば、60日のカウントダウンを止めることができ、その上でH1Bの有効性は保持されるらしい。そして、日本から職を(リモートで)探して、オファーを得たらH1Bをトランスファーし、大使館でH1Bのビザスタンプをゲットし、アメリカに戻ってくることが出来るということだった。しかし、企業としては、アメリカ国内で有効なH1Bで滞在している求職者の方が、H1Bのトランスファーの受領次第すぐに働きはじめられるので魅力的であるとのこと。(国によってはビザスタンプを得るのに時間がかかるため)。
そのため、これはあくまでプランBとして考えることにして、一旦は60日以内に全て完了することに、全力を尽くすことにした。

4.については、就活に集中するために日本への一時帰国をキャンセルしたのもあるが、アメリカで仕事がない状態で出国すると、(仕事を得るまで)アメリカに戻ってこれないということなので、アメリカ国内に留まることにした。


Job huntingの戦略については、キャリアセンターや友人と話した結果、こんな感じでやることにした。:

友人や知人からReferralをもらう
とにかく時間がないので、H1Bをスポンサーしてくれるところはアプライしまくる。もちろん闇雲にアプライするのではなく、クラスメイトや友人になるべくReferしてもらう。ということで、クラスメイトに、テキスト/インスタ/Linkedin/WhatsAppで連絡しまくって、レイオフされてすぐに仕事を見つけないといけない、このポジションにreferしてくれない?(応募したいポジションは事前にホームページで調べた)と、メッセージ。100%のクラスメイトがReferしてくれた。

ネットワーキング&コーヒーチャットし、Referralをもらう
友人やクラスメイトからのreferだけでは数が足りない。Linkedinで、応募したい企業で働いている人にコールドメッセージしまくり、20-30分ほどのコーヒーチャット(バーチャル)を依頼する。コーヒーチャットでは、カジュアルに面談しながら、会社や仕事内容について聞く。そして応募したいポジションにReferしてくれとお願いする。アメリカ就活では超重要なプロセス。アメリカ就活はコネが大事と言うけど、コネがない外国人は、コネを作るしかない。
これも、レイオフされたと言ったら事情を分かってくれて、ほぼ全員の人がReferしてくれた。チャットを頼む相手は、主に出身校のMBA卒業生にした。(いなければ他のスクールのMBA卒の人など、なんらかの共通事項がありそうな人にした。けれどここはそんなに拘らなくてよかったかも。)
あとは、Meetupで見つけたAsian Professional Networkというイベントにも参加し、あらゆる人に声をかけまくりReferralをお願いした。

Linkedinでレイオフのことを投稿し、いろんな人からReferralをもらう
<レイオフされました、H1Bスポンサーしてくれる仕事を探してます #opentowork> の内容で投稿する。以前にも、そうしてる人をLinkedinで見かけたことがあったから。
レイオフされたことをアメリカ全土に(アメリカでは皆Linkedin使ってるので)オープンにするのは、果たして良いのか?リクルーティングにマイナスにならないかな?と考えたけど、アメリカはレイオフはまぁ日常茶飯事で、それが会社都合で起こることは誰しも理解してるので、マイナスになることはあまりない。むしろ投稿することによって得られるチャンス(仕事の紹介など)の方が断然大きいと判断して、投稿した。700以上のリアクションがついて、40名ほどから仕事の紹介などのコメントやDMをもらった。Linkedin上の友達にイイネされると、その友達の友達にも投稿が拡散される仕組みになっており、投稿を拡散することができた。


就活時の私の希望条件は、

  • ロケーション: アメリカ国内ならどこでも問わない(できればニューヨーク近郊が良いけど)

  • 業界: 問わない (経験とかけ離れた業界(投資銀行など)だとResumeが通るわけがなくて時間の無駄と思ったので、その辺りはノータッチ)。ずっとバイオ系/ヘルスケア系にいたので、その方がResumeは通りやすいと思って、その辺を多めには出した。願わくはCPG業界に行きたいが、今回の就活では拘らないことにした

  • 職種: Marketing Manager, Market Research Manager, Consumer Insights, Strategy, Product Manager, Product Marketing Manager, Program Managerなどに応募

  • Salary: 前職以上、とは言ってたけど拘っている場合ではない

  • その他: とにかくH1Bトランスファーできること、早くしてもらえることが必須条件!(でないとアメリカで合法的に働けなくなり、国外退去になる)


ぶっちゃけアメリカの就活は、大変である。Referしてもらったからと言って面接にたどり着けるとは限らない。まずResume screeningで落とされることが多いので、これが最初の大きな関門。さらに外国人の場合はビザスポンサーしてくれる企業を見つけないといけないので、ハードルが何倍も上がる。会社にとって、ビザスポンサーは、移民弁護士を雇う費用やビザ申請費用など金銭的な負担があり、ビザが取れなかった場合のリスクもある。それでもなぜアメリカ人ではなく外国人を雇うのか、メリットを証明しなければいけない。
そして私は、もし仕事が見つからなかった場合の国外退去までの時間が迫っている。とにかく数を打たなければならなかった。

アメリカに残れるのか、国外退去か?カウントダウンが始まった。1日1日がとても重く感じた。

★★★★★

Linkedinでopen to work のステータスに変更すると、リクルーターから連絡がたくさん来るようになった。ビザスポンサーが必要と言うと、断られることが半分以上あった。
知人によるReferは、合計で70件くらいもらった。クラスメイトだけでなく、少しでも繋がりのある友人、ネットワーキングパーティで出会った人、Meetupで一緒にバレーボールしてる友達、アプリで出会った人、ありとあらゆる知人に連絡。ビジネススクールの教授数名にも連絡。
Linkedinでのコールドメッセージは合計で100件くらいした。毎日3件〜5件ほどコーヒーチャット。仕事内容を質問して、Referをもらった。
そしたら2-3週目くらいからインタビューの予定がどんどん入るようになった。
その中で、Linkedin経由で、とあるヘルスケア系コンサル企業のリクルーター声がかかり、面接を受けることとなった。順調にプロセスが進み、就活開始から4週目で、オファーをもらった。
他にも何社も選考途中ではあったけど、トランスファーに時間的な余裕も欲しかったので、最初にオファーをくれた会社にサインをし、ビザの移行手続きを即開始。Grace periodが終わるまでに2週間ほどの余裕を持って、トランスファーを完了することが出来た。


まとめ

どうなることかと思ったけど、なんとかなった。

1ヶ月間の就活で、コーヒーチャット(バーチャルで)した回数、なんと76回。(コーヒーチャットの鬼みたいになった。笑) Phone screening含めインタビュー実施したのは20-25社。応募総数は100-120社くらいだと思う。

私がレイオフされてから、ますます企業の採用状況は悪くなる一方で、Twitter、Amazon、Metaなど大手techがレイオフやhiring freezeを発表してて、こんな中で仕事見つかるのだろうか、と、就活開始3週目を過ぎた頃から精神的に辛くなってきた。Linkedinのフィードは毎日誰かのレイオフのポストで溢れていた。年が明け2023年になった今も、レイオフの嵐は続いている。

レイオフされて良かったとは言えないけど、この経験は何にも変え難い。たくさんの人と話してコネクションが増え、ネットワーキングが上達し、アメリカで(H1Bで)外国人として生きていく厳しさを知る、良い機会になったし(もうレイオフされても大丈夫なようにグリーンカードが欲しいと思った。)、レイオフされる人の気持ちがわかったし、私も同じ状況に陥った人の助けになりたいと思った。そして何より、もしまた次にレイオフされたとしても、私はアメリカで生き残れる、その道を見つけられる、と謎の自信がついた。

そして、もちろん大変ではあったけど、MBA卒業直前にやってたアメリカ就活よりと比較すると、遥かに企業からのレスポンスが良かった。1年ちょいだけど、アメリカ企業で働いてた経験も評価されたのかもしれない。ますますお世話になった前職には感謝。

また、転職することでタイトルがアップして、Salaryが25%くらい上がった。転職してキャリアアップしていく、これぞアメリカかぁ…と実感した。

結果論ではあるけど、アメリカ就活は、ここでキャリアを築くんだ!という執念と根性でやり続ければ、道は拓けると思った。


…ということでドラマチックな2022年が終わった。新しい会社は12月半ばから働き始める予定だったが、勤務開始日を年明けにしてもらい、延期してた日本への一時帰国も年末年始に叶えることができた。

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