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日本企業のAIへの期待値が高すぎる問題とその対策について

私は複数社の生成AIサービスのアドバイザーをしているのですが、最近ある考えが確信に変わりつつあります。

それは、「日本市場においてはAIサービスに対する期待値が米国に比べて高い」ということです。

ToB領域で米国でユニコーンになっている生成AIサービスを日本市場にそのまま持ってきても、米国では「まあ、AIってこれくらいの精度だよね。それでも十分実用的だよね」となってガンガン導入進んでいくのに対して、日本市場においては企業担当者の期待値が高く、実際にAIで出せるパフォーマンスと期待値の溝がなかなか埋まらず苦労するケースが多いように感じています。

これには様々な要因があると思いますが、あえて辛辣な言い方をすると、レイオフ(解雇)の心配のない企業担当者が、危機感の薄さから生成AI技術に自らが触わって試す時間をしっかり取らず、メディアやSNSで騒がれている事例やインパクトという表層的な知識だけインプットして満足してしまっていることによって、肌感の伴わない知識だけがついて技術を正しく評価できていないことが一番の理由だと考えています。

では、その問題に対して日本でToBの生成AIサービスを展開していく上で何を意識すべきかというと、「期待値調整を全力でやる」に尽きるかと思います。

プロダクトコンセプトやステートメントなどの上位のレイヤーでは、米国サービスのように「超スゴイ革新的なAIサービス!これで業務の自動化できます!」のような見せ方ではなく、「(人間がやるのと同じ精度は全然無理、なので完全自動化も無理、だけど)今よりは圧倒的に効率化できます!」のような期待値を上げすぎないレベルでの訴求にあえてする。

営業時のプレゼンで、どこまではできて、どこからは絶対にできないのかをハッキリと実例を交えながら伝える。

受注後のキックオフMTG時に、より具体でできること/できないことの認識合わせをする。

こうした地道な期待値調整を行うのは時間がかかりますし、サービス提供側からするとインパクトをもっと語りたくなると思いますが、高すぎる期待値と、実際に実現できるラインとの間の大きなギャップによって受注後や導入後に苦労するくらいなら、しっかりと期待値調整をしながら着実に導入を進めていき、その中で導入企業をあっと言わせるような結果を出す、というメンタリティの方が良いかなと感じています。

以上の内容が、生成AIサービスの展開を頑張られている企業の方々に少しでも参考になれば幸いです。

さいごに

『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』という書籍を日経BPから2/19に発売いたしました。

10社以上での生成AI領域の企業顧問や、これまでの新規事業づくりサービスづくりの経験を全てつぎ込み、生成AIを活用して強い事業と組織をつくるための方法を実際の事例、オリジナルのフレームワーク、未来予想などてんこ盛りで書き上げた渾身の一冊になっております。

ありがたいことにAmazonのランキングで全ビジネス書中1位も一時取れたり発売前増刷も決まりましたが、まだまだ多くの方に届けたいと思っています。
このnoteを読んで、生成AIを通した事業づくり、事業成長、組織改革に興味を持った方はぜひ以下からご購入頂けますと幸いです。


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梶谷健人 / 新著「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方」
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