12月5日 Ankiカードの整理術:タグとデッキの使い分け方【アドベントカレンダー2024】
イントロダクション
さぁ5日目、やっていきましょう。今日は「タグ」と「デッキ」のお話です。
これを読むことで得られるメリット:
Ankiに保存された膨大な学習カードを簡単に管理できるようになります
タグとデッキの賢い使い分け方を習得できます
結論:タグは検索用、デッキは学習範囲決定のために使う
タグとデッキの最適な使い分け方法をお伝えします。結論から言うと、
タグ:横断的な検索、情報の分類
デッキ:範囲を制限するための便宜的な入れ物
と認識すれば良いと思います。詳しく解説します。
タグとは「その知識の1側面を切り取ったもの」である。
タグとは?基本的な役割
タグは、1枚1枚のカードに付けられる「ラベル」のようなものです。タグを付けることで複数のデッキをまたいで、カードを横断的に検索・管理できる優れた機能です。1枚のカードに複数設定できることがデッキとの最大の違いです。
💡重要なポイント:
一つのカードに複数のタグを付けられる。
デッキの境界を超えて検索可能
例えばPremade Deck の1つである「Anking」は1枚のカードに大量のタグが付いていることで有名です。
「アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠへの変換に必要な酵素はレニンである。」
というカードに付けるタグは、どのようなものがあるでしょう?
例えば
「薬理学の中の高血圧症という分野だ」というならば
「#薬理学::高血圧症」
というタグを付けます。
生理学の中の内分泌代謝の分野だ、というならば
「#生理学::代謝内分泌」のタグを付けるかもしれません。
「#臨床::代謝内分泌::生活習慣病」というタグかも。
他にも「いやいやそもそも、学問分野として医学という分野だよね」
というならば、
「#理系::医学」というタグが必要かもしれない。
この様に、自分がどういう側面からその知識を見ているか?で複数のラベリングをすることが出来る。これがタグの良い点です。
複数のタグを付けておくことで、後々自分が「あーーーあれどこにあったかな」と考えた時に、検索しやすくなります。
(実用例)クエスチョン・バンク演習時のタグの付け方
さて、自分がどの様に学習を進めるか?によって、タグの必要性は変わってきます。
私の場合、
①国家試験の問題を解く
②medu4テキストで確認する。Ankiに入れた部分は緑マーカーで分かりやすく。
③テキスト内の用語で「Ankiに入れていない」ことが原因で間違えた物があった場合、Ankiに入力する。
④新規カードとして学習する
という4ステップで学習していました。
最も使う機能は「テキストのページ、セクションのタグで検索して、その問題に出てきた事項がAnki内に入っているかどうかを確認する」というものでした。
ここで検索に出てきた場合、「今は覚えていなくてもそのうち新規カードとして出題され、覚えるだろう」と考えられて、安心できます。「今後覚えることになっているか分からない状態」は一番気持ち悪いですが、緑のマーカーを引いたりAnkiで検索可能にすることで、脳の容量を削減出来る、という訳です。
例えばこのページだと、緑マーカーに入っている部分はAnkiに入っているが、そうではない部分は入っていないことが確認できるようにしていました。
このページをAnkiにいれる時には、
tag:#medu4::a_major::03_blood::03_崩壊による貧血::06
と入力することで、「medu4の血液、Chapter3-6の知識」にすぐアクセスできるようにしていました。
Ankiはあくまでも知識をストックする場所。そこからどう知識を引き出すか?ということだけを考えればよいのです。
知識を覚えることにのみ脳の容量を使い、「どこを覚えていてどこを覚えていないか」はAnkiのシステムに外注する。これが味噌です。
「血液」「内分泌」という分野レベルでデッキを作り、テスト直前には、「直前復習リスト」というフィルターデッキを作る。それで良いのです。
タグを活用した検索方法
試験範囲や特定のテーマに関連するカードを、瞬時に抽出する方法をご紹介します。
検索のコツ:
具体的で明確なタグ名をつける。複数でもOK
関連するタグを組み合わせて検索
「#数学」「#化学」「#試験対策」などの階層的なタグ付け
タグを使った優先順位付け
学習の効率を上げるための、タグを使った priority management をご紹介します。
優先順位タグの例:例えば☆の数で重要性を表示することは効果的です。
最重要→☆☆☆☆
重要→☆☆☆
余り重要ではない→☆☆
Not重要→☆
とする。フィルターデッキを作成する時には条件を打ち込みますが、その時には
tag:◯◯(ここにタグを入力)
とすれば良いだけです。
例えば「余り重要ではない」かつ「解剖学」のカードが演習したければ、下の図の様に
tag:☆☆, tag:基礎医学::解剖学
とすればよいのです。
デッキの作り方、分け方
デッキは参考書をベースに作成する。
ここまでタグとは?という内容とその作り方、付け方、優先順位の付け方について詳しく解説してきました。ここからはタグと双頭を成す存在である「デッキ」について詳しく紹介していきます。
Ankiは3つの階層でカードを分類・保存しています。それぞれ「プロファイル」「デッキ」「タグ」です。
最も大きい分類である「プロファイル」。
これはパソコンのアカウントの様に、何に関するデータが入っているか、誰の知識が入っているか、というレベルで分類されています。
その次に来るのが「デッキ」です。
タイトルにも書きましたがデッキは参考書、具体的には「問題集」や「教科書」を基準に作成するのが良いと思います。例えば医師国家試験ならば「medu4」「Qアシスト」「QB」などのデッキを作成します。
何故参考書毎に分けるほうが良いのか?
それは「テストによって試験範囲が異なり、覚える範囲も違う」からです。
基本的にテストには試験範囲があります。「医学」という膨大な領域の中で「国家試験」という制限(=試験範囲)を設けることで、そこに絞った知識の集合体としての「教科書」を作成することが出来ます。教科書毎にデッキを作成することで、それはそのまま「テスト対策」に特化したデッキとなるのです。
これは、国家試験のために作成したAnkiが国家試験後に利用しにくくなる理由ともリンクしています。
「国家試験」という制限を設けている時には、国家試験予備校のテキストをベースにAnkiカードを作成すれば問題ありませんでした。
しかし実際に医者となり、臨床現場に出るとそのような制限はありません。「抗菌薬を投与」ではなく「セフトリアキソン2gを1日1回点滴投与」と、限りなく具体的な知識として認識する必要が出てくるわけです。
こうなった時、私達は同じ知識でも、国家試験とは異なる分類で認識する必要に迫られます。上のイラストで言うところの青の範囲内で知識を理解していた訳ですから、黄色を認識し始めた場合には考え方が変わるのも無理はありません。
カード整理術
カードの管理を楽にするテクニック:整理するスケジュールを先ぎめ
定期的なカード管理は、効率的な学習の鍵です。Ankiに入力した情報も、一度入れて終わり!!ではなく定期的にアップデートをすることで、いつまでも新鮮な状態を維持することが出来ます。
コミュニティに水をあげ続けること、部屋も掃除し続けないと汚れてしまうのと同じ様に、Ankiカードも定期的な知識のアップデートをしないと、古くなり使い物にならなくなります。
📅整理のタイミングおすすめ時期:
毎週末
月初め
試験前
学期の切り替わり時(試験終わり)
まとめ:タグは検索用、デッキは学習範囲用に使う
今回は抽象的な話が多くなってしまいましたが、まとめると
使い分けのポイント:
タグ:横断的な検索、情報の分類をするための機能
デッキ:範囲を制限するための便宜的な入れ物
となります。
始めは「どの様にタグを入れるのが良いだろう」と迷うことも多いと思います。
私も、国家試験においてはたまたま上手い整理方法を見つけましたが、他の分野でどの様にまとめるのが良いのか‥?については、まだ知らないことが多いです。
読者の方で「こんな方法で上手く行ったよー」ということがあれば、是非コメントやリポストで教えて下さい(;_;)
どんな人でも、人生は生涯学習です。自分のペースで、1歩1歩進んでいくしかありません。Ankiがあなたと一緒に学びという旅を歩んでくれることを、願っています。
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《最後まで読んで下さって、ありがとうございます!普段はAnki やNotion などデジタルツールの使い方や日々の研修で発見したことを発信しています。
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