「経営管理」はエモい!経営管理システムをデザインする面白さ
こんにちは。ログラスのプロダクトデザイナーの高橋ゆめなです。
ログラスはクラウド経営管理システムを提供していますが、正直、デザイナーにとってはとっつきにくい領域だなと思っています。
私自身も最初はそう感じていました。
そこで今回は、経営管理の世界にデザイナーとして関わってみて感じた、その面白さについて語ってみたいと思います。
そもそも経営管理とは?
経営管理とは、企業の目標達成を支援するために「人・物・金・情報」といった経営資源を最適に配置・運用し、組織全体のパフォーマンスを最大化するためのプロセスです。
経営管理の特徴は、単なるリソースの管理にとどまらず、計画、実行、評価、改善というマネジメントサイクルを繰り返すことで、企業全体の適応力と持続可能性を高める点にあります。
何がきっかけで経営管理に興味を持ったか
まず白状すると「経営管理」という言葉自体、ログラスの選考に進むまで知りませんでした。
ただ入社前から、簿記3級を持っていたこともあり、会計には「財務会計」と「管理会計」があることは知っていました。
財務会計と管理会計の違いとして、財務会計は財務諸表の作成が法律で義務付けられている一方で、管理会計は実施が任意で、会社ごとにやり方が違うという事を知り、「管理会計は企業の創造性が発揮できる面白そうなジャンルだなあ」と興味を持つようになりました。
入社前編
ログラスに入社するにあたり、経営管理と密接に関連する管理会計について学ぼうと思い本を読みました。
その中でも「現場が動き出す会計」という本が特に印象深く、この領域に興味が湧くきっかけとして大きかったなと感じています。
現場が動き出す会計: 人はなぜ測定されると行動を変えるのか
経営管理って意外にエモいんじゃね……?
数字を扱う領域だけど「唯一の正解」がない
財務会計が法律で定められた規則に従う一方で、管理会計は各企業が自身のビジネスモデルや課題に最適な形で運用しなければならない領域です。
本を読むうちに、管理会計には「唯一の正解」が存在せず、企業ごとに試行錯誤しながら最適なアプローチを模索するものなんだなと気づきました。
会計に関わる数字は全部「絶対に揺るぎのない正解があるもの」くらいに捉えていた私にとって新鮮でした。
自分が想像していたより人間臭く泥臭い領域かもしれない
前述の「現場が動き出す会計」という本では、人は数字を計測されると行動を変えるが、それがプラスにもマイナスにも働くという事をさまざまな事例で紹介しています。
例えば、研究開発費の原価を細かく計測することで、現場でチャレンジングな開発をしなくなってしまったり、費用の処理方法が不適切なために、本来必要な人員を削減して代わりに不要な工場設備を導入してしまうなどです。
「数値をどのように計測するか?」や、「何を費用と考えてどんな基準で製品に割り当てるか?」は企業ごとに自由に決められるが、思わぬところで人の行動や判断に影響を与えてしまうというのが、怖くもあり、また面白くもあるなと感じました。
このように、管理会計で設計したシステムが人の行動に大きく影響を与えるという事を知るうちに、自分が想像していたより人間臭く泥臭い領域だなあと思うようになりました。
数字で現場のモチベーションを引き出す
管理会計は「数値を管理する」ことが単なる監視の手段にとどまらず、現場の人々のやる気を引き出すためのツールとしても使われます。
例えば、売上高や生産性、顧客満足度といった具体的な業績指標を設定し、その達成状況を現場で共有することで、社員たちが目標に向かって努力する動機付けとなるわけです。
従業員は業績指標などを個人の目標にブレイクダウンする形で設定し、現場は自分たちの成果が組織全体に与える影響を実感しやすくなります。
このような数値による目標管理は、会社員として働いていたらどの会社も当たり前にやることだと思うんですが、自分にとっては発見がありました。
なぜなら私は、会社でやる「個人目標設定」がめちゃくちゃ苦手だからです。やらされてる感があるし、目標管理がない会社に行きたいとすら思っていた、控えめに言っても意識低め系な会社員だったのです……。
ですが、管理会計の「計測されることで社員にやりがいを感じて働いてもらい、会社の業績も上がる世界を実現したい、そのための手段として数値の管理を用いている」という考え方を知り、
自分が嫌々取り組んでいたことの意義や目的が分かり、ようやく納得感を持って目標管理に取り組めるようになったのです。
意識低め会社員の意識をこんなにも簡単にあげてしまうとは、管理会計ってめっちゃすごいやん……。
このように、自分とは関係のない領域だと思っていた経営管理が、自分の実体験とのつながりが発見できたことで興味が湧いてきて、入社前から「もっと知りたい」と思える状態になってました。
入社後編
社会と繋がっている感覚が増すじゃん……
デザイナーとして「経営管理ログラス」に関わることで、それまで感じたことのない社会とのつながりを実感するようになりました。
IR資料の面白さに気づく
例えば、多くの企業のIR資料(投資家向け情報)を見るのが楽しくなりました。IR資料には、企業の経営計画や業績に関する情報が含まれており、それがどのように経営管理に反映されているかを知ることができます。
デザイナーの視点では、「この会社はこのデータをIRで強調しているから、ログラスのお客様はこういう情報をプロダクト上で見たいのではないか?」といった視点で資料を読むようになりました。
チェーンレストランで感じる企業努力
生活者の視点では、全国チェーン店の食べ放題レストランに行ったとき、そのコスパの良さとサービスに感動して、「この企業はどうやってこんなサービスを実現しているんだろう?」と興味を持ち、IR資料を調べました。
すると、あらびっくり。毎月の客単価と客数の目標が設定されていて、それを年単位で達成し続けているではありませんか……!
目標達成のために、どんなキャンペーンを展開したかなどが詳細に書いてあります。
そうか、あの限定フェアにより客数の目標値を達成したのだな……などどIR資料を読みながら想像してしまいます。
私が享受した低価格・高品質のサービスは、現場の方々の素晴らしいサービスだけでなく、経営管理を継続して目標を達成し続けた企業努力の結果なのだなと気づき、めっちゃ胸が熱くなりました。
このように、人々が困難を乗り越えて成果を達成する過程を目の当たりにすると、ドラマを見ているような感動があります。企業が創意工夫を重ねて素晴らしいサービスを提供していることに感謝せずにはいられません。
ちなみに、この感動を夫に熱弁したところ、だいぶ引かれてしまいました。
おわりに
経営管理や管理会計と聞くと、「数字ばかりでつまらない」「難しそう」と思う人が多いかもしれません。でも、その背景には「どうすれば現場の人々がやりがいを感じながら業績を伸ばせるか」といった、人間らしい考えと試行錯誤があります。デザイナーとしてその一端に関われるのはとても価値のあることだと感じています。
経営管理の世界に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。これからも数字の背後にある人間の営みを感じながら、この領域をもっと深く知っていきたいと思います。