アプリの「HOMEタブ」は本当に必要?
最近、iOSアプリのナビゲーションについて、
Appleの公式動画や実際のアプリを深掘りする機会がありました。
特にHOMEタブについての発言が面白かったので、
その意見と僕個人の考えを交えながら、記事にまとめてみようと思います。
今回、iOSアプリのナビゲーションについては以下の動画の内容を引用しています。↓↓↓↓(個人で日本語訳しながらまとめているので翻訳に違和感があれば申し訳ないです)
はじめに:ナビゲーションバーの役割とタブバーの基本
iOSアプリのナビゲーションは、ユーザーがコンテンツや体験に集中できるよう、意識させないほど自然であるべきだとされています。
各タブの名称は「Listen Now」「Radio」のように簡潔かつ説明的にし、アプリが聴覚メディア中心のコンテンツアプリであることが伝わるよう設計します。タブを見ただけで役割が自明であるのが理想です。

「HOMEタブ」は避けるべき?
ここからが本題です。この中で特に興味深かったのが、
HOMEタブに関するAppleの姿勢です。それは、
公式の見解としては「HOMEタブ」のようなものは推奨されていない
というものです。
下記に、推奨しない理由の一部を抜粋します。
推奨しない理由
HOMEタブは、アプリの情報階層を混乱させる可能性がある。
異なるタブやアプリ内の領域からの機能が、十分な文脈なしに単一の画面に複製されると、冗長性や混乱を生み出す。
結果としてHOMEタブは、すべての機能を奪い合う場所になってしまい、発見可能性の問題を解決しようとするつもりが、かえってコンテンツの理解とその行動との乖離を生む可能性がある。
また、機能が重複していると、ユーザーが意図せずタブジャンプ(別のタブに自動的に移動すること)を引き起こす可能性があり、これはユーザーにとって不快で方向感覚を失わせるものだとされている。

以上の理由からHOMEタブは明確な目的を持ち、特定のカテゴリのコンテンツを表すべき、という原則から外れてしまうとのことです。
実際にApple公式アプリを触ってみる
この話を聞いて、実際に自分のiPhoneでAppleの公式アプリをいくつか触ってみました。
なるほど、確かに一部のAppleの公式アプリでは「HOME」と記載されているタブを使わないように配慮されていました。
Apple Store アプリ

Apple Storeアプリでは、一番最初に表示されるのは製品タブで、これがデフォルトの表示でした。そして、左側には「本日(For You)」のような、ユーザーにとってプラスになる最新情報やサービスを伝える画面がありました。確かに、様々な機能を集約しているタブではないな、と。
App Store アプリ

App Storeアプリについても、HOMEタブがあったような記憶があったんですが、よく見ると違っていて、Todayというタブが使われていました。これも、今日おすすめのサービスや注目すべきコンテンツなど、最新情報を届ける形でタブが使われています。
この観察は、AppleがHOMEタブを推奨していないという方針の中で、どうアプリの役割を伝え、情報を提供しているのか?を改めて見る上で興味深い発見でした。
でも「HOMEタブ」って実際にたくさんのサービスで使用されてるよね?
ただ、僕が普段使っている日本のアプリを見てみると、HOMEタブって結構たくさんあるんですよね。これはAppleの考えに即していないんじゃないか、と一見感じるかもしれません。
僕個人としては、HOMEタブというものをどう立て付けるか、を丁寧に設計すれば、その存在自体はあってもいいんじゃないかと感じました。
例えば、AmebaのアプリのHOMEタブを見ると、スクロールしていくと本日のニュースや、今日見たいと思える記事のカテゴリーが見つけやすい設計になっています。
Ameba

横スワイプすればトレンドや売れ筋アイテムがわかるなど、その日その日に見て楽しめるコンテンツがしっかり配置されていて、こういった提案はサービスとして記事が見たくなる、良い例だと思いました。
YouTube

YouTubeのHOMEタブも同様に、その日のおすすめ動画や過去の視聴履歴から分析された動画を表示してくれて、それが混乱に感じることはありませんでした。
改めて、Apple公式アプリを触ってみる
改めて、App Storeアプリを触ってみて、一点感じたことがあります。
先ほど紹介したApp StoreアプリのTodayタブは実質HOMEタブに近い役割を担っているのではないかと。

なぜなら、
Ameba/YouTubeのHOMEタブも
今日の僕にとって一番いいコンテンツを提案してくれる機能であり、
これはApp Storeアプリの「Todayタブ」と機能と共通している部分が多いからです。

そのため、違いは「どういう名前で言うか」というただのラベリングの部分も多いのではないかと考えます。
ちなみにもっとAppleサービスを調べたら、Apple Musicでは「HOMEタブ」が使用されていました。。笑

Appleも避けたいとは言いつつ、このHOMEという便利なラベルを使わざるを得ない時はあるんでしょうね。
僕が考える「HOMEタブ」を置く条件
HOMEタブを置いてもいいのでは?と僕が思うのは、以下を満たせる場合です。
役割が明確: なんでも置き場ではなく、「今日のあなたに最適化されたコンテンツ」を提示する場など、目的が定義されている。
階層上の位置づけが説明できる: ほかのタブとの関係が明確で機能が重複しない。
ユーザーの次の一歩が見える: コンテンツを見て終わりではなく、自然に別のタブ(詳細・検索・カテゴリ等)へ誘導できる。
ネーミングに甘えない: HOMEだから何でもいいではなく、名称以上にUIの構造で役割を示す。
まとめ
結局のところ、重要なのはコンテンツの整理と情報階層の設計。
タブ名がHOMEだろうとTodayだろうと、ユーザーが迷うことなく“行きたい場所に行ける”なら問題ありません。
一方で、「HOMEだから全部入れておこう」という発想は、Appleが警鐘を鳴らす通り、混乱のもとになりやすい。
Apple自身も原則を理解したうえで、プロダクトの本質的な価値を届けるために使っている場面があるのでしょう。
(避けたいけど、使わざるを得ない瞬間はどんなサービスにもあるはず)。
おまけ
HOMEタブについての考察をさらに深めたい方は、デザイナーの広野 萌さんがまとめている記事も参考になると思います。興味のある方はぜひ探して読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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