86. 日本の言語っていくつあると思いますか?
こんにちは、日本語教師を目指しているヒロです。
日本にはいくつの言語があると思いますか?
一つだけですか?三つくらいですか?それとももっと沢山でしょうか?
ヒント:方言は含みません。
前回、世界で一番島が多い国についてお伝えしました。
その中でフィリピンの英会話の先生が、はっきり島の数は決められないと感想を仰っていましたが、実は言語の数についても同じことがいえます。
実はエスノローグ(Ethnologue)のサイトでは、日本では日本語以外に15の言語があるとされています。
私の印象は、日本語以外に15って?えっ?という感じでした。
エスノローグでは、手話を一つの言語として日本の手話も加えています。耳の聞こえない人が世界で5.6%いることを発表しているエスノローグが、手話を独立した言語として加えるのはいかにもエスノローグらしいと感じました。
しかも日本には3つの手話(日本手話、宮窪手話、奄美古仁屋手話)があると定義しています。
またエスノローグは、日本の沖縄県と鹿児島県奄美群島で用いられる言語を琉球語[Ryukuan]とし、日本語と区別しています。
またさらに琉球語[Ryukuan]を大きく2つ(奄美沖縄語[Amami-Okinawan]と先島語[Sakishima])に分類しています。
奄美沖縄語[Amami-Okinawan]は、南奄美大島語、喜界語、北奄美大島語、徳之島語、沖永良部語、中央沖縄語、国頭語、世論語の8つから成り、
先島語は[Sakishima]、宮古語、八重山語、与那国語の3つから成るとして、合計11の言語として位置づけています。
このことから、現在日本には、日本語、アイヌ語、11種類の琉球語、そして3種類の手話の合計16の言語があると位置づけられています。
誤解しないでいただきたいのは、これはエスノローグによる分類であって、他の学術機関の分類によるものではありません。
他の学術機関では、例えばUNESCO(国連教育科学文化機関)は日本語、アイヌ語、八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語の9言語と分類しています。
アメリカのEastern Michigan University(東ミシガン大学)では、UNESCOと若干異なる9言語と分類がされています。
琉球諸島の言語ついて詳細をお知りになりたい方は、こちらにPDFファイルがあります。よろしければご参照下さい。残念ながら面識はありませんが、比嘉さんという方が『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌に投稿された内容です。
https://www.jactfl.or.jp/wdps/wp-content/uploads/2020/03/JACTFL4_110-134.pdf
日本では、琉球諸島の言語を琉球地方での方言という位置づけで、方言という枠で考えてしまい、言語という枠で捉えないことがあります。それにも関わらず外国の学術機関が、日本語以外の方言的な言語をれっきとした言語として捉えていることは大変興味深いです。
比嘉さんの見解においても「琉球諸島の言語や、八丈島などの言語は、アイヌ語と同様に独立した「言語」である。「方言」などでは決してない。」と言い切っているのが印象的でした。
調べていくうちに、UNESCOは、2009 年 2 月に “Atlas of the World’s Languages in Danger”(第3版)を出版して、世界で約2,500もの言語が消滅の危機にあると発表していたことを知りました。
なんと日本では、8つの言語が消滅の危機にあるとされています。つまりUNESCOが日本に9あるとした、日本語以外の全ての言語が危機にあるということです。私はこのことを知りませんでした。これは見過ごすことのできない由々しき問題だと思いました。
長くなったので、次回この問題についてもう少し取り上げたいと考えています。