「AIを使うと自信を失う」あなたへ。それは正しい進化の痛みです。
はじめに:なぜ「成長」は苦しいのか
前回の記事で、日本人の多くがAIに対して「無知ゆえの楽観(まだリングに上がっていない状態)」にあるという話をしました。
しかし、この記事を読んでいるあなたは違います。
すでにリングに上がり、AIを触り、そして恐らくこう感じているのではないでしょうか。
「思ったような絵が出ない」
「コードを書かせてみたけどエラーが消せない」
「すごい人が多すぎて、自分の非力さに絶望する」
実は、その「居心地の悪さ」や「自己肯定感の低下」こそが、あなたが正しく進化している証拠なのです。
今回は、AI習得のプロセスで必ず訪れる「絶望の谷」の正体と、その先にある世界、そして私たちが取るべき「生存戦略」についてお話しします。

「目」は「手」より先に肥える
人が新しいスキルを習得する時、4つの段階を経ると言われています。
無意識的無能: 知らないし、できない。(幸せな無知)
意識的無能: できないことを自覚する。(苦痛の谷)
意識的有能: 頑張ればできる。
無意識的有能: 息をするようにできる。
今の日本のマジョリティは「1」にいます。何が起きているか知らないので、不安もありません。
しかし、行動を始めたあなたは今、「2(意識的無能)」の段階にいます。ここが一番つらい時期です。
なぜつらいのか?
それは、あなたの「目(鑑識眼)」の成長スピードが、「手(実力)」の成長スピードを追い抜いてしまったからです。
AIの可能性を知り、世の中のすごい活用事例を見て、「目」だけは100点満点の基準を持ってしまった。でも、自分の「手」はまだ30点しか出せない。
この「70点のギャップ」が、ストレスや自己嫌悪としてのしかかります。
でも、安心してください。
「AIってやっぱり使えない」と言って辞めてしまう人は、この不快感から逃げて「1(幸せな無知)」に戻ろうとしているだけです。
あなたが今感じている痛みは、無知な状態から脱却し、解像度が上がったからこそ見える「健全な痛み」なのです。
世界から「無視」される恐怖
さて、視点を個人から世界へ広げてみましょう。
ここからが本当に怖い話です。
もし私たちが、この「痛みの谷」を乗り越えられず、いつまでもAIを使えないままでいたらどうなるか?
世界中のトップ層や先進企業は、まもなく「4(無意識的有能)」のフェーズに入ります。AIを空気のように使いこなし、超高速でビジネスを回す状態です。
その時、「1(無知)」や「2(挫折)」に留まっている日本人は、彼らからどう見えるでしょうか?
「敵」ではありません。「話が通じない相手」です。
「APIで一瞬で終わる処理になぜ3日かけるのか?」
「なぜAIに任せないのか?」
言語の壁以上に、「OS(思考回路)のバージョン」が違いすぎて、対話が成立しなくなるのです。
その結果、日本市場は攻撃されるのではなく、「面倒くさいから無視しよう(Japan Passing)」と静かにスルーされる未来が待っています。これが「静かなる淘汰」の最終形態です。
「説得」するな、「独走」せよ
では、この沈みゆく船の中で、私たちはどう立ち回ればいいのでしょうか。
周りの「気づいていない人」を一人ひとり説得して回るべきでしょうか?
私の答えは「NO」です。
AIの進化スピードは凄まじく、他人の意識改革を待っている時間はありません。無理に引き上げようとすれば、共倒れになります。
私が選んだ戦略は、「先行者として独走する」ことです。
誰かのために噛み砕いて教えるよりも、まずは自分自身が泥臭くAIを使い倒し、圧倒的なスピードで走り抜ける。
そして、言葉ではなく「背中(成果物)」を見せる。
「なんかあいつ、魔法みたいなスピードで仕事してないか?」
「どうやって一人であんなものを作ったんだ?」
そうやって驚き、興味を持ち、「教えてくれ」と手を伸ばしてきた人だけを、全力で引き上げればいい。 それが、結果として最も多くの人を救い、自分自身も守る道だと信じています。

最後に
今、AIを使っていて「しんどい」と感じているあなたへ。
おめでとうございます。あなたは今、マジョリティの「楽観的な無知」を抜け出し、進化の痛みを味わっています。
その痛みは、あなたが「独走」を始めた合図です。
外野の声は気にせず、まずは自分が圧倒的な「ステージ4」へ到達することだけを考えましょう。
私も先に行きます。
追いついてきたい人は、いつでも歓迎します。
