Official髭男dismが無理だった話
Official髭男dismが無理だった話をします。
Official髭男dismめちゃめちゃ流行ってるじゃないですか。もはや国民的と言っても過言ではないレベルですよね。俺はアラフォーのおじさんで流行りのJ-POPとか無理して追いかけると逆に痛々しくなるような年齢だけど、個人的に巷で流行ってるコンテンツはとりあえず味わっておきたい。それに「ケチをつけるならちゃんと一通り味わってからつける」というマイルールがある。なのでSpotifyで一通りちゃんと聴いてみました。そしたらマジで無理だった。米津玄師もKing Gnuも結構好きだけどOfficial髭男dismは無理だった。
いやね、本当に一通り聴いたんです。有名曲からアルバム曲までざーっと。無理でした。ごめん。1mmも良さがわからなかった。なんか偏見なんですけど、Official髭男dismって超いいやつっぽいんですよ。歌詞も確実にいいやつっぽいし、アー写を見ても全員いいやつっぽい。大体笑顔だし。絶対いいやつ。例えばWANIMAみたいに“見た目おっかないし昔は地元でヤンチャしてたけど根はいいやつ”みたいなのじゃなくて。殴り合いの喧嘩なんかしたこともないし、いじめられたこともないし、歌詞における「つらい」の最大値が「3年付き合った彼女と別れた」とかそういう次元の、普通のいいやつ。学校で同級生にいじめられて夜中に自室で「あいつらを彫刻刀で刺すか、それとも俺が自殺するか」とか考えたことも絶対ない。ないでしょ。俺はあるよ。中学一年生の冬。なんか校門で見ず知らずのヤンキーが雪合戦しててさ、すごい楽しそうだったんだよ。あんまり楽しそうだから俺も混ざりたくなって、ヤンキーの一人に後ろからいきなり雪玉ぶつけた。そしたらそれ以降いじめの標的になった。中学の三年間は暗黒期だったよ。しかもよくよく考えてみたら100%俺が悪いしね。まあ俺の話はいいよ。とにかくOfficial髭男dismにはそういう「あいつらを彫刻刀で刺すか、それとも俺が自殺するか」みたいな“闇の匂い”が全然しないんだよ。そこが無理でした。
あんまり無理なもんだから、つい“Official髭男dismの4人と俺”という組み合わせで数々のシチュエーションを考えてみた。どう考えても全部無理だった。この辺でもう一度言っとく。これ全部完全に偏見だからね。偏見そのもの。「Official髭男dismの○○さんってほんとはこうだから!」とか知りません。全部俺の脳内にある偏見です。本当にごめんなさい。申し訳ございません。
【Official髭男dismが高校の同級生だったら】
クラスでひとり浮いてる俺にOfficial髭男dismのひとりが話しかけてくれるんです。誰だかわかんないけど。なんか右から二番目のやつとかでいいや。誰でもいい。とにかく話しかけてくれる。いや嬉しいよ。俺浮いてるし。話しかけてくれた時点で嬉しい。それで俺は舞い上がっちゃって、なんかネットのまとめサイトで読んだわけのわからないネタとかを早口で話しちゃうんだよ。それで「いや、そういうのはわからないかな…」みたいな顔される。それで家帰って脳内反省会する。俺はOfficial髭男dismと話したことによって確実に実家の自室のベッドの上で(あれは失敗だった!!)(まとめサイトで読んだネタなんか話すんじゃなかった!!)(時間を戻してくれ!!)とか思いながら悶絶して死にたくなるわけ。考えただけで胃が痛くなってきた。
【Official髭男dismが大学のゼミ仲間だったら】
なんか「今度の三連休の初日みんなで海行こうぜ」みたいなこと言い出すんですよ。Official髭男dismのやつらが。いやそういうのはサークルとかでやれよ。でもOfficial髭男dismは根本的にいいやつらで、ゼミ内ぼっちの俺にも声かけてくれるんです。いや嬉しい。嬉しいよ。「じゃあ行こっかな…」とか返事する。でも海行く前日の夜、なんか急に行きたくなくなる。特に理由はないけどなんか死ぬほど行きたくなくなるんだよ。それでグループLINEに「ごめん風邪ひいた」とかクソみたいな一言を入れてドタキャンするんです。そして翌朝Official髭男dismの4人がワゴン車で海に向かってるであろう時、俺はひとりでベッドに寝っ転がってスマホでTwitterとか見てるんです。でもみんなとはリア垢相互だから何も呟けない。なんせドタキャンしてるからね。いいねとかもつけられない。もう考えただけで死にたくなる。
【Official髭男dismが職場の同僚だったら】
キツい。マジでキツい。いいやつで中途半端に話合わせてきてくれそうなところがキツい。例えば職場でオタクバレしないよう必死に隠してるのにバレバレだったとするじゃん。そしたら飲み会とかで横に座ってくれて「俺もエヴァとか見たし!!」なんて精一杯オタクネタを振ってくれるんです。「ハルヒ見たよ!!」とか。なんせいいやつらだからね。でも俺はそうじゃなくて、例えばエヴァなら新劇はあんまり好きじゃなくて、むしろ旧版の再放送かレンタルビデオを夜中にひとりでブラウン管TVで見て「人類補完計画とは一体なんだったのか…」とか独自解釈を考えた挙句、ネットで拾ったモグ波がローマ軍7万6千に中出しされますとかいうクソみたいなエロコラ画像を見てニヤニヤ笑ってた人間なんだよ。あのさ、お前はハルヒが手コキしながら「ちょっ! 青い精液なんて出ないじゃない!」とか言ってるエロ画像でシコったことあんのか。俺はあるね。つーか「エヴァとか見たし」って、お前どうせ新劇だけだろうが、しかも序を当時付き合ってた彼女と見たとかそういうやつだろうが、お前みたいなやつと迂闊にオタクトークとかしたら逆に死ぬんだよ。そういうとこ。そういうとこが無理なんだよOfficial髭男dism。
どうでもいい話しすぎた。とにかくOfficial髭男dismの圧倒的いいやつっぽさがマジで無理だった。というかOfficial髭男dismという“いいやつっぽさ”によって逆に俺の駄目でクソな部分が浮き彫りになるのが辛い。わかりますか。
Official髭男dismが好きな女の子、いいと思う。絶対いい。だって絶対性格いいじゃん。素直そうだし。ああいうやつらの曲を聴いて素直にいいって思えるのは本当にいいことだよ。変なサブカルバンド聴いてる女子より断然いい。ぶっちゃけ付き合いたい。まあOfficial髭男dismとか好きな女子は俺のことなんかゴミカスみたいなネットのおじさんとしか思わないだろうけどな。
「Official髭男dism嫌い」とか「流行っててウザい」とか言ってるやつらもいるけどさ、俺は正直お前らのほうがよっぽどどうかと思うよ。流行ってるってだけで斜めから見るようなのもうダサいからやめろよ。Official髭男dismはみんないいやつらだから。俺が保証する。あいつらを悪く言うな。Official髭男dismは悪くない。Official髭男dismを良いと思えない俺らが悪いんだよ。