8ヶ月でIELTS6.0→7.5
こんばんは、マサキです。
今回は、入試書類の中で特に準備時間を要するIELTSについて書いていこうと思います。概要から、勉強に役立つサイト、アプリを紹介しようと思います。実際に私は、以下の勉強法で、8ヶ月でIELTS 6.0 -> 7.5まで向上しました。特に広告とかはなく、純粋な社会貢献の気持ちで書いているのでご安心下さい(逆に怪しい?)
1. オックスフォード大学合格に必要なIELTSのスコア
上記は、工学部の博士課程入学に必要なスコアを表しています。ちなみに、オックスフォード大学の博士課程は、Ph.D.と言わずDPhilと言います。ここに示されている通り、受け付けている英語試験は、(1) IELTS, (2) TOEFL iBT, (3) CAE, (4) CPEになります。ほとんどの英国大学院受験者は、(1) IELTSを選んでいると思います。なぜかと言うと、IELTSはイギリス英語で、TOEFLはアメリカ英語だからです。とはいえ、これは完全に好みなので、好きなもので良いと思います。イギリスの大学院は、アメリカとは異なり、GREを受ける必要がないので、英語試験対策が一つで済むというのも一つのメリットになります。
とはいえ、この基準は世界の大学と比較しても非常に難易度が高いです。例えば、同じ工学部で比較した際、以下のような形になります。
2021/04/19調べでは、上記のような状況でした。これらの数値は、最低合格ラインであるミニマムスコアです。単純に数値だけ見てもオックスフォード大学が一番高いスコアを要求していることがわかると思います。そして、英国大学院は、各パートのミニマムスコアも規定されていることが多いです。オックスフォード・ケンブリッジのS/W両方同時に7.0以上というスコアは相当シビアです。実際どちらかだけが7.0を超えているということが度々起こり、Overallは7.5なのに何度もIELTSを受け直すハメになりました。。。
TOEFL iBTの場合は、録音機に吹き込む形なため、点数のブレが比較的少ないですが、IELTSは対面式なので、どうしても面接官との相性があり、S/Wの採点のブレが大きいと感じています。
ちなみに、CAE/CPEは日本では聴き馴染みはありませんが、ケンブリッジ英検というもので、この4つの試験の中でおそらく一番難しい英語試験です。ただし、一度合格すると、そのスコアは一生涯有効という大きなメリットがあるため、英語に自信のある方は良い選択肢だと思います。私も今になってCAE/CPEを選択しておけば、この大変な思いをもう一度しなくても、英語能力を証明できたのになぁと思う時はあります。海外就職する際にも有用ですし、実際ヨーロッパ圏の非英語圏の人で、CAE/CPEホルダーの人は結構見かけたことはあります。
2. 私の受験記
まず、告白しますと、私は8ヶ月でIELTSを計9回受験し、結果的にオックスフォードの基準を満たせませんでした。
え?じゃあ合格は嘘だったのか?とお思いかもしれませんが、合格はしました。初回が、L5.0/R6.5/W6.0/S6.0/Overall 6.0で、最終的なベストスコアは、L8.0/R8.5/W6.5/S7.5/Overall 7.5で、Writing7.0を達成できませんでした。
どうしたのかというと、オックスフォードのAdmission Officeに直談判しました。他の回のテストで、writingが7.0を超えた回があり、両方のテスト結果をメールに添付して、「私は全ての基準を満たす能力があるが、それには同時に達成するまで何度もテストを受け直す必要があります。(これはお金の無駄なので、)この2つのテスト結果で基準を満たしたと認めてくれませんか?」と送りました。最初はダメと言われましたが、担当職員さんが非常に優しい方で、ダメもとで教授会に出してみると言って下さり、結果、英語試験合格としてオフィシャルレターを発行して頂けました。
ちなみに、英語試験は、面接や書類審査とは別なので、面接での合格を頂いた後に、入学までにこの基準を満たせば良いルールです。また、このメールは、面接合格後に送っています。私の懇意にしていた英語の先生からは、こんなことは聞いたことがないと言っていたので、相当レアケースだと思います。皆さんには、このような不完全燃焼な思いはして頂きたくないので、勉強方法を公開します。
また、このIELTSは全てイギリスのテストセンターで受験しました。この理由はまた別の機会で説明します。ちなみに、テストセンターによって、採点は相当違います。受けた中で、採点の易しさ順で言うと、最も簡単: Cambridge > Wimbledon > Oxford > 最難関: Londonでした。イギリス人の英語の先生曰く、Speakingは相対評価らしく、受験者が英語が達者でない移民がよくいる地域の方が点数が高く出るとのことでした。
3. Readingの勉強
まず、リーディングの勉強としては、以下のサイトを使用しました。
このサイトはなんと無料で、本番とほぼ同じ形式のテストが100回以上受けられます。私は、このサイトの問題を毎日一問解いていました。毎日解いていれば、本番の形式にも慣れてきて、時間配分などにも気を配れるようになり、高得点を取りやすくなります。ただし、たまに解説が不十分なので、どうしても答えの理由がわからない時は、オンライン英会話の先生に理由を聞くと良いです。また、ごく稀に、答え自体が間違っていることもありますが、そう言う場合は大抵、下のコメント欄で議論が書いてあり、解説してくれる人がいます。
また、一度だけ、ここで解いた問題と全く同じ問題が本番で出たことがありました。実はIELTSは、毎回新作のテストではなく、同じテストを使いまわしています。そのような意味でも、テストの数をこなすことは非常に有用です。
リーディングにおいて、ボキャブラリーは重要な要素の一つでありますが、私は一度も単語帳で単語の勉強はしていません。その代わりに、このサイトで解いた問題で、知らなかった単語をメモし、自分の単語帳を作成して覚えていました。単語帳は、以下のiPhone無料アプリを使用していました。解いた問題だと、前後の文脈などを覚えているので、より自然に記憶することができました。
4. Listeningの勉強
基本的には、上記同様、IELTS Online Test.com様のお世話になって、毎日一問解いていました。単語帳を作成するのも同様です。
加えて、以下2つのiPhoneアプリを使用していました。
Spelloutは、英国BBCニュースの内容を聞き、虫食いになったスクリプトの一部をディクテーションするアプリです。イギリス英語の勉強にもなる上に、スペルミスも厳しく採点してくれるので、本番同様の練習ができます。IELTS本番よりも内容が難しいので、こちらで安定してスコアが取れるようになれば、本番は更に簡単に感じます。App内課金がありますが、50回で500円程度なので、安いと思います。
BBC Learning Englishは、BBC純正の英語学習アプリで、無料です。こちらもイギリス英語の勉強になります。この中でも、6 Minute Englishは、英語学習者の定番になっているほど良い教材です。私は、一度字幕を見ずに聞いた後、スクリプトを見ながら音読したり、シャドーウィングしていました。イギリス英語独特のアクセントや、イントネーションなど、多くのことを学べます。また、扱う題材も興味深く、長続きしやすいです。加えて、ここで勉強した話題が、Speakingで活かせるのも良い点です。
私は息抜きを兼ねて、spelloutと6 minute Englishも毎日行っていました。
5. Speakingの勉強
スピーキングは、どの国で受けるか?と言う要素に大きく影響を受けると思います。日本で受験する場合は、多くの場合、試験官は日本人訛りの英語に慣れている人が多く、受験生の平均レベルも低いため、純粋にスラスラと淀みなく喋れるようになれば、7.0は安定して超えると思います。
一方、私はイギリスで受験したために、周りのスピーキングのレベルが異常に高く、かなり苦労しました。最終的に7.5を取りましたが、日本で受験していればこんなに困ることもなかったと思います。
では、本題ですが、スピーキングはやはりオンライン英会話が王道だと思います。私は、Preplyを使用していました。
他のオンライン英会話と違うところは、受講する先生を固定することがメインの使い方であることです。イメージとしては、家庭教師を雇うのに近いです。最初は色々な先生のレッスンを受けてみて、気の合う先生を見つけたら、その人とじっくり勉強していくことができます。気が合えば友達にもなってくれて、実際に合うこともできるので、友達作りとしても良いかもしれません。
また、英語圏では有名なアプリのようで、様々な人がいると言うのもポイントです。実際、教えて頂いていた先生の一人は、オックスフォード大学の機械工学科でDPhilを取得し、研究員として働いているイギリス人でした。IELTSを終えた今でも、オックスフォードの生活について相談したりする間柄です。
先生を探す時のコツは、「IELTSの試験官の経験があるか」です。試験官経験があると、採点基準を熟知しているので、評価の精度が段違いです。模擬試験形式で練習した時に、返ってくるフィードバックと、その予想スコアがとても正確です。実際、現在の点数を教えずに模擬試験をして、大体の先生が現状のスコアと全く同じ点数を返してくれました。これはすごいことで、授業を受けるたびに何度もIELTSの本番を受けているのと同じことになります。その上で、優しくて、話を聞いてくれる人を選ぶと良いと思います。私は、ロンドンでIELTS試験官をやっていたアイルランド人の先生と、コーンウォールのあたりに住むイギリス人の先生と交互に授業を受けていました。二人とも£10 / hでしたので、全然高くはないですし、コスパ最強だったと思っています。
また、自主勉強においては、私はYouTubeをよく使っていました。IELTS系のYouTuberはそれなりに数がいて、楽しく勉強することができます。私は、Fastrack IELTSやManjita Ostaのチャンネルをよく見ていました。Atsueigoも大ファンです。
加えて、発音の矯正には、ELSAというアプリを使用していました。
喋りかけると、AIが発音を解析してくれて、ネイティブ度を評価してくれます。非常に素晴らしい精度で細かく発音の悪かったところを指摘してくれて、また、それを直すための学習教材を自動的に組んでくれます。この学習教材機能は有料なのですが、私は有料で入っていますし、今もELSAと発音を勉強しています。ELSAのおかげで、ようやく複雑な母音を分けて発音できるようになりました。7.5を取れるようになった頃から、スコアは安定して90を超えています。
大変素晴らしいアプリなのですが、2点問題をあげるとすれば、アメリカ英語しか対応していないことです。イギリス英語版が切に欲しいです!もう一点あげるとすれば、開発者がベトナム人なので、ベトナムの話題がやたら多いことです。そもそもVietnamって発音難しいし、ベトナムの食べ物とか地名も発音難しいので、この話題の頻出は本当に改善して欲しい。
6. Writingの勉強
最後に、Writingの勉強について説明します。IELTSのwritingは独学は不可能だと思っています。なぜなら、採点基準が独特だからです。英語がたとえミスなく完璧に書けていたとしても、題意に沿って適切な文章を書けなければ7.0を超えることはありません。私は、以下の会社の日本人の先生に教えて頂いていました。
採点基準に沿った書き方をする上で、どうしても細かなニュアンスが外国人の先生からでは理解できなかったので、日本人の先生に教えて頂きました。担当して頂いた先生は、自身も定期的にIELTSを受けていて、writingは基本8.0を取るとおっしゃっていたので、信頼度は高いです。
とはいえ、9回受けてwritingが7.0を超えたのは一回だけだったので、私は未だに苦手意識があります。早く恩師を見つけて頼りましょう!
一方、自習には、以下のサイトを使っていました。
IELTS-Exam.netは、本番同様のwritingの問題が200問以上あり、加えて、サンプルアンサーもある点が非常に魅力的です。多くの回答例を見ているうちに、なんとなく「型」みたいなものが分かってきますし、話題が出ない時にもとても参考になります。
Grammarlyはウェブアプリで、AIが自動的に書いた文章の問題点を指摘して、修正のサジェストをしてくれるアプリです。時制や冠詞、前置詞などの初歩的なミスから、さらに良い表現の提案など、使ってみると分かりますが、本当に素晴らしい限りです。無料版と有料版があって、有料版だともっと詳しく表現を直してくれます。私はいまだに英語で書いた文章はGrammarlyで自動チェックするようにしていますし、課金もしています。
問題点を2つあげるとしたら、一つはイギリス英語に対応していないこと、もう一つは、全てのサジェストを鵜呑みにできないことです。たまに、サジェスト自体が間違っていることもあります。なので、重要な書類はGrammarly任せにするのではなく、オンライン英会話の先生にもチェックしてもらった方が良いと思います。何度か答え合わせを繰り返すと、Grammarlyのクセみたいなものが分かってきて、特定のサジェストは無視した方が良いことが分かってきます。たとえばa/theのサジェストや、 やたらと分詞構文にしたがるなど、ネイティブからすると少し変な表現もあったりします。しかし、8割くらい正しいですし、私が書いた生の文章よりははるかに良くなります!
最後は、DeepL翻訳です。この翻訳機は、Google翻訳よりもはるかに自然に翻訳してくれます。日本語の本来のニュアンスのまま、英語にしたいけど、細かな表現方法がわからない時は、DeepLを使っています。ただ、それを鵜呑みにもできないので、キーとなる表現は、その英文をgoogle検索し、実際にネイティブが使用している用例などを確認して、認識が間違っていないかを確認します。9割5分くらい正しいので本当に凄い技術と思います。
私は、自習の時は、こんなやり方でした。まず、IELTS-Exam.netの問題を制限時間を計って書きます。その後、GrammarlyやDeepLを使って表現を確認し、自分で添削します。自分の中では完璧に思える文章にしたら、オンライン英会話の先生に表現を確認してもらい、さらに改善点を学びます。このようにして学んだら、自分の今までしたミスをノートにまとめて、傾向と対策を練る。そして、また問題を解く、というような感じで自習していました。
7. 最後に
IELTSは非常に長い期間勉強しなければいけないので、心が疲れてしまう時もあるかもしれません。しかし、たくさんのことを一度にやるよりも、小さなことでもコツコツやるのが重要だと思うので、あまり自分を責めすぎずに、長くやれれば良いと思います。
以上、長い文章でしたが、お読み頂きありがとうございました!