2021年10月リリースのIllustrator 2022(26.0)の新機能・機能強化など
Adobe MAX 2021のタイミングでCC 2022がリリースされ、Illustratorは26.0になりました。Illustrator 26.0の新機能や変更点をまとめてみました。
スプラッシュ
イギリス在住のPetra Erikssonさんによるもの。
ステキな作品がたくさんあるのに、なんでコレ!!???
ペンギンではなく、「ニシツノメドリ」です。
作者はPetra Erikssonさん。
山路問題
Illustrator CC 2017以降、[文字ツール]を選択してクリックしただけで「山路を登りながら」という文字列が割り付けられます。
そのため、制作物に「山路を登りながら」が混入してしまうという事故が絶えません。これを「山路問題」と呼びます。
実装から5年。この機能がデフォルトでオフになりました。聞いたところによると、この変更は日本語版のみとのことです。
ONにしたい方は環境設定の[テキスト]カテゴリで[新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け]オプションをONにします。
[3Dとマテリアル]効果
Illustratorの3D効果が[3Dとマテリアル]効果としてアップデートされています。互換性のために従来の3D機能は[3D(クラシック)]として残されています。
[効果]メニューの[3Dとマテリアル]には[押し出し・ベベル…]、[回転体]、[膨脹]、[回転]、[マテリアル]のサブメニューがありますが、どれを選択しても[3Dとマテリアル]というパネルが開きます。
パネルになったことで、[効果]メニューからでなく、パネルから直接コマンドを実行できます。
それにしても「オブ…」「マテ…」はなんじゃないか!?と思うのですが、パネルを広げても状況は改善せず…
従来の3D効果よりも安定しているだけでなく、次のことが可能になっているとのこと(詳細は検証中)。
無段階に調整可能な50種類以上のAdobe Substanceマテリアルを使ってアートワークにテクスチャを適用できる
環境光や指向性光でアートワークを照らし、影を作れる
「膨張」ベベルタイプが追加。滑らかで曲線的な押し出しを作成できる
カンバス上のコントロールを使用して、アートワークをより簡単に回転させられる
デフォルトでは[ベクターとしてレンダリング]オプションがOFFになっているため、アピアランスを分割するとビットマップになります。
追って、じっくり検証して…と思っていたところ、とよとよさんがいい感じにまとめたツイートされていましたので紹介します。
ヘルプとチュートリアルがパネル化
Photoshop 2021にて導入された[もっと知る]パネルが、Illustratorにも追加されました。このパネルから次の操作が可能。
ヘルプ
ツール
ハンズオンチュートリアル
記事を検索
このパネルは常にフローティングしています。内容に応じてパネルを大きくして使います。
[もっと知る]パネルを表示する方法は次のいずれかです。
右上隅の検索アイコンをクリック
[ヘルプ]メニューの[Illustratorヘルプ]をクリック
Photoshopでは「⌘ + F」が割り当てられましたが、Illustratorでは[前面ペースト]のために残されています。
リッチツールヒント
Photoshopの〈詳細ツールチップ〉が、Illustratorにも追加されました(名称は統一されず…)。これは、ツールの上にマウスを置くと、ツールの基本的な動作を説明するアニメーションが表示されるというもの。これから覚えたい方向けの機能です。
オフにしたい場合には、[環境設定]の[一般]カテゴリで[リッチツールヒントを表示]オプションを変更。
.psdcのリンク配置
.psdcは、クラウドドキュメントに保存したPSDファイルです。.aicファイル(クラウドIllustratorドキュメント)に限りますが、リンク配置できるようになりました。
[リンク]パネルでは、「リンクであること」「クラウドドキュメントであること」を表す2つのアイコンが表示されます。
また、[ファイルの位置](パス)は「Cloud Document -> IMG_1347.psdc」のように表現されます。
ようやく!!のリンク配置ですが、なんとパッケージできません…
.aic(クラウドIllustratorドキュメント)には、リンクされたアセットの低解像度の画像(マシン上のローカルアセット)とクラウド内の.psdcの両方が保存されます。リンクされたアセットが見つからなくなった場合には低解像度の画像が表示します。
コメント共有機能
ブラウザでレビューされたコメントをIllustrator内のパネルで確認できるようになりました。
アプリケーションバーの[編集に招待]アイコンのリンク設定を使用して、クラウドドキュメントの公開リンクを共有
レビュー担当者は、assets.adobe.comでアートワークを確認し、右側のコメントパネルからコメントを追加(個々のアートボードは画像として垂直スクロールで表示される)
レビューの際に記入されたコメントは、新しく追加された[コメント]パネルで確認できる
可変線幅の扱い
分割したときにアンカーポイントが増えがちだった可変線幅の扱いが向上しています。
変換方式が変わったのでなく、可変線幅の適用の仕方が変わっているみたいです。
属性が共通のテキストを選択
[選択]メニューの[共通]にテキスト属性のオプションが追加され、ファミリー、スタイル(ウエイト)、サイズ、カラー(塗り・線)の条件でテキストを選択できるようになりました。
追加されたのは次のコマンドです。
フォントファミリー
フォントファミリー(スタイル)
フォントファミリー(スタイルとサイズ)
フォントサイズ
テキストカラー(塗り)
テキストカラー(線)
テキストカラー(塗りと線)
スタイル=ウエイトと考えておけばよいでしょう。欧文の場合、ウエイト以外にitalicなども含みます。
重宝しそうな機能の反面、毎回、メニューをたどるのは面倒。 キーボードショートカットは設定できますが、コントロールパネルや[プロパティ]パネルから実行できたらよかったですね…
なお、[選択]メニューの[オブジェクト]のサブメニューの[すべてのテキストオブジェクト]などは、そのまま残っています。「すべてのテキストを選択して別レイヤーに移動して隠す」などの用途で重宝します。
ご参考までに、この機能は三階ラボさんのスクリプトで実装できていました。
HEIFとWebPのサポート
IllustratorでHEIF(HEIC)およびWebP形式画像を配置できるようになりました。ちょっとした「下絵」として画像を配置したい場合、変換の手間をかけなくて済みます。
HEIF(ヒーフ):iPhone の標準カメラアプリで撮影した画像形式。拡張子は.heif .heic
-
WebP:米Googleが開発しているオープンな静止画像フォーマット。非可逆圧縮ながらも背景透過が可能。採用されているウェブサイトが増えている
当然ながら互換性は確保されませんので、くれぐれもご注意を!!!
「お!Photoshopも??」と思ったらIllustratorだけ。PhotoshopではWebPはサポートしていないので、依然、プラグインが必要です。
WindowsでHEIFファイルを操作するには、Microsoft StoreからHEIFおよびHEVCコーデックをダウンロードしてインストールする必要があります(IllustratorでHEIF画像を開こうとすると、コーデックのインストールがガイドされます)。
Adobe Fontsの自動アクティベーション
なぜかIllustratorだけなかった自動アクティベーションがようやく追加されました! インストールされていないAdobe Fontsを含むドキュメントを開くと、自動的にフォントを検索、ダウンロード、インストールされます。
ナイス!!!と思いきや、デフォルトはOFF… 使いたい場合には[環境設定]の[ファイル管理]カテゴリの[Adobe Fontsを自動アクティベート]オプションをONにします。
[リンク]パネル内のアイコン(バッジ)が変更
Illustrator 2022から[リンク]パネル内のアイコン(バッジ)が変更されています。
埋め込み:アイコンなしに
-
リンク:アイコンがついた
慣れるまで時間がかかりそう…
アイコン(バッジ)は、5つから4つになり、クラウドが別のカラムになりました。
互換性に注意
新しい3D機能や可変線幅など、Illustrator 2022の新機能、扱いが変わっているものがあります。今回、ドキュメントバージョンは変わっていませんが、互換性には要注意です。
公式のドキュメント
新機能
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/whats-new.html
公式の「修正された問題」
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/fixed-issues.html
まとめ(1)設定すべき環境設定
[一般]カテゴリで[リッチツールヒントを表示]オプションをOFFに
-
[ファイル管理]カテゴリの[Adobe Fontsを自動アクティベート]オプションをONに
まとめ(2)互換性に注意
次の機能は過去バージョンとの互換性がありません。
HEIFとWebPの配置
.psdcの配置
[3Dとマテリアル]効果
まとめ(3)
マインドマップにまとめてみました。
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