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【選挙ウォッチャー】 れいわ新選組が沖縄1区に候補者を立てた衝撃の理由。

 2017年9月、沖縄県読谷村にある「チビチリガマ」が荒らされているのが見つかりました。
 「ガマ」とは洞窟のことで、終戦間近の1945年4月1日、アメリカ軍が読谷村に上陸。住民たちはチビチリガマに逃げ込みました。当時、住民たちはパニックに陥り、アメリカ軍が投降を呼びかけるも、「出て行けば殺される」と考え、ガマに入った139名のうち、82名が集団自決をして、そのうちの半数以上が「子ども」でした。
 その「チビチリガマ」の看板や壺などが破壊され、さらには千羽鶴が引きちぎられ、集められていた遺骨まで荒らされていたのです。
 このガマを荒らした犯人は、のちに逮捕され、16歳~19歳の少年たち4人でした。なぜこんなことをしたのか。遺族や関係者らに大きな衝撃が走りました。
 犯行の動機は「肝だめし」。少年たちは、「チビチリガマ」の歴史を知らず、本当にただ「肝だめし」のつもりで、ここでどんな悲劇があったのかも知らず、ふざけた遊び心でやってしまっただけだったのです。
 「無知」は、時に誰かが大切にしているものを土足で踏みつけます。


■ 沖縄1区に擁立した理由を聞いた

沖縄1区擁立の真意について「れいわ新選組」の山本太郎代表から直接、話を聞いてみた

 10月9日、何の予告もなく小岩駅で行われた山本太郎代表と櫛渕万里共同代表によるゲリラ街宣に、急遽、「なぜ、よりによって沖縄1区に候補者を擁立したのか」を質問するため、ゲリラ街宣が行われていることを知った瞬間に車を走らせ、駆けつけました。
 れいわ新選組は、「集まった聴衆の質問にその場で答える」という街宣をしているため、ここに参加をすれば質問することができる。先日、共産党が怒りの声明を発表していましたが、れいわ新選組が沖縄1区に候補者を擁立するというのは、これまで沖縄がアメリカに占領され、日本ではなかった時代からの、いわば瀬長亀次郎さんの時代から続く沖縄の運動そのものを否定することになりかねないため、なぜそんな無謀なことをしたのかということを山本太郎代表に直接質問したかったからです。
 30分くらい話を聞いたところで、ようやくその質問のチャンスがやってきました。沖縄1区に候補者を擁立するということは、長らく理不尽と戦ってきた沖縄の運動体からも嫌われることになるが、なぜそんな無謀なことをしたのか。
 長々といろいろな説明をしていたのですが、簡単に言うと、「れいわ新選組の候補者が立っているところに共産党が候補者を立ててくるので、それであれば、れいわ新選組も共産党の候補者が立っているところに候補者を立てていこうと思ったから」だといいます。特に、沖縄4区では、れいわ新選組が候補者を用意して、みんなで折り合いをつけていこうという時に、あとから立憲民主党がやってきて、有印私文書偽造をしてまで話を歪め、勝手に立憲民主党の金城徹さんが立候補することに決めてしまった。だから、野党共闘はできないと判断して、共産党の重点候補である沖縄1区に候補者を擁立することにしたというのです。
 しかし、これは「チビチリガマ」と同じです。
 僕は「れいわ新選組」が沖縄1区に候補者を擁立すると言った瞬間、「これは大変なことになっちまった」と思いました。なぜなら、赤嶺政賢さんが持っている共産党の議席は、単なる共産党の議席ではなく、瀬長亀次郎さんの時代から脈々と続く、沖縄の「運動」の歴史そのものであるからです。つまり、米兵に家族を殺され、米兵にレイプをされ、こうした凶悪犯罪をされても逮捕されない理不尽に苦しみ、家を奪われ、田畑を奪われ、海を奪われて基地を作られてきた沖縄県民の「抵抗」の歴史が、この「沖縄1区」という議席に詰まっていて、その先頭に76年の人生すべてを捧げてきた瀬長亀次郎の後継者が、まさに「れいわ新選組」によって、「そんな人よりも政治経験のない素人の47歳の方が良い」と否定されようとしていたので、「そんなことをやっちまって大丈夫なのかよ!」と思ったのです。
 こういうことを言えば、「それなら自民党や日本維新の会は、瀬長亀次郎や赤嶺政賢を否定していることにならないのかよ!」と言うかもしれませんが、彼らは否定しているのですから、それは当たり前なのです。辺野古基地の建設を一つ取っても、赤嶺政賢さんは「作るべきではない」と言っていますが、自民党や日本維新の会は「作るべきだ」と言っているので、赤嶺政賢さんの言っていることは「否定」です。それは沖縄に基地を作りたいし、少女がレイプされるような事件が起こって半年以上も隠蔽されていても、文句の一つも言わずにアメリカ様とは仲良くしたいと思っている人たちは、もちろん瀬長亀次郎も否定だし、赤嶺政賢も否定なのです。だから対抗馬となる候補者を出すのは当然です。しかし、今回、「れいわ新選組」も対抗馬を出してきたということは、意味としては、そんな赤嶺政賢さんよりも「政治経験なし・47歳保育士の女性の方がはるかに役に立つ」と言っているに等しいのですから、口では「リスペクトしている」と言ってみても、その行動はまったくリスペクトしているとは言えない、ぶん殴っておきながら仲良くしたいと言っているのと同じなのです。
 ただ、山本太郎代表に質問してみて分かったことは、僕に見えているこの景色は、僕が「瀬長亀次郎」という人を知っていて、社会の教科書で習う程度の知識ながら「コザ騒動」「沖縄刑務所暴動」などを知った上で、さらには米兵が起こした数々の凶悪事件をある程度知っていて、「赤嶺政賢」という政治家が国会でどんな仕事をしてきたのかを知っているからこそ、「これは大変なことになっちまった」と思うことができました。
 しかし、山本太郎代表には、この景色はまったく見えていません。ネット上に湧いていた大量の支持者たち、誰一人として「瀬長亀次郎」の存在すら知りませんでした。瀬長亀次郎を知っている人たちは、れいわ新選組のやっていることの無謀さが見え、瀬長亀次郎を知らない者たちは「沖縄4区の理不尽を知れば、沖縄1区に候補者を立てるのは当然だ!」と言ってしまうのです。しかし、これまで沖縄が、沖縄の人々が、米軍や日本政府から受けてきた数多くの理不尽に比べれば、れいわ新選組の受けた理不尽など鼻クソにもなりません。時に家族が殺され、時に人生を狂わされ、時に家や土地が強制的に奪い取られてきた苦しみや悲しみ、これらを真正面から受け止め、米軍や日本政府に抗議をしてきたのが、赤嶺政賢さんであり、そのまわりで奮闘してきた運動体の方々なのです。
 つまり、「れいわ新選組」は悪意があるというよりも、無知とコミュ障をこじらせた結果、その自覚もほとんどないままに、とんでもないものを土足で踏みつけていたということになります。しかも、タチが悪いことに、自分たちが土足で踏みつけていることを、まったく自覚していないので、自分たちはあくまで「被害者」だとさえ考えています。


■ 「東京14区」との人質的な交換条件

共産党がれいわ新選組の重点選挙区「東京14区」を下ろしてくれたら「沖縄1区」を下ろす

 福島第一原発事故の後、僕は食品の中にどれくらいのセシウムが入っているのかを測定し、公表する活動を始めました。どの食材に、どれくらいのセシウムが入っているのかが分かれば、食べるか食べないかの判断ができるようになる。「すべては、知るところから始まる」というのが、僕が人生をかけて取り組んでいるテーマです。
 今、こうして「選挙ウォッチャー」として、全国各地を走り回り、見てきたこと、聞いてきたことをお伝えする活動をしているのも、「すべては、知るところから始まる」ので、れいわ新選組が何を考え、あるいは、共産党が何を考えているのかを知ることで、皆さんが判断する材料を提供できると考えているからです。知ればきっと、僕の行動も、あなたの行動も変わるかもしれない。「知る」ということは、とても大切なことなのです。
 山本太郎代表をはじめ、「れいわ新選組」の人たちは、沖縄1区の議席にどのような意味があり、「瀬長亀次郎」という人物が、「赤嶺政賢」という人物が、これまで沖縄でどんなことをしてきたのかを知りません。知る者たちは「れいわ新選組」の候補者擁立に恐れおののき、「それは明らかに一線を越え、文字通りの『オール沖縄』、つまり、これまで沖縄の運動に関わってきたすべての人々を否定するも同然の行為であるが、そのお覚悟があってのことか?」と震えました。
 しかし、よく考えたら、山本太郎という男には「無知」であるがゆえに恐ろしい行動を取ってきた前科があります。天皇陛下に手紙を渡したのも、本人は至って真剣で、まったく悪意や邪念はありませんが、知る者たちからすれば、膀胱に1滴残らず失禁するレベルで震え上がる話です。
 今回、赤嶺政賢さんが議席を守る「沖縄1区」に候補者を立てたのも、シンプルに「共産党さんに候補者を下ろしてほしいから」でした。この「東京14区」で、共産党さんが赤嶺政賢さんを大切にしているように、れいわ新選組の赤嶺政賢である櫛渕万里さんを何としても通すために、沖縄1区に候補者を立てることで、「選挙協力はしないが、候補者調整の交渉はしていきたい」という、ちょっと何を言っているのか分からないことをおっしゃっていました。
 そこで、れいわ新選組の支持者の皆さんが見ている前で、「もし共産党が東京14区で候補者を下ろせば、沖縄1区の候補者も下ろすのか?」と質問したところ、即答で「はい!」と答えました。

[◎]松島 みどり 67 現 自民党
[-]櫛渕 万里  56 現 れいわ新選組
[-]斉藤 佳代  44 新 日本維新の会
[-]原 努    42 新 日本共産党
[-]伊藤 奈々  35 新 国民民主党
[-]大賀 靖郎  41 新 参政党

チダイズム「衆院選2024・事前予測レポート(東京)」の東京14区の当落予測

 申し訳ありませんが、僕の一番の売れ筋商品は、この事前予測レポートになりますので、ここだけはどうしても有料になりますが、東京14区の印のところだけを特別に無料公開させていただきます。のちに変化する可能性があることをご留意いただきたいですが、ここには共産党から元墨田区議の原努さんが立候補してくる見込みです。
 まるで人質を取るような話であり、このようなやり方は、これまで東京が沖縄の人たちに繰り返してきたハラスメントと同じことをしているので、僕は共産党がこのような交渉に一歩たりとも引かないのではないかと思っていますが、無知であるがゆえ、大切な所に土足で入ってしまった山本太郎代表は、東京14区から原努さんを下げれば、沖縄1区の久保田みどりさんも取り下げると宣言しました。
 すべての選択肢、すべての決定権を持っているのは共産党であり、僕から下げろだの、下げるなだのを言うつもりはありません。「オール沖縄」の皆さんの考えもあるでしょう。ただ、れいわ新選組が沖縄1区の候補者を下げるつもりがないわけではないということは分かりました。すべては「瀬長亀次郎」すら知らない人たちで集まっている政党が、恐ろしいほどの無知ゆえに、このような擁立に至り、まるで人質のように「東京14区を下ろしてくれたら沖縄1区を下ろす」と言っているだけ。すべてはチビチリガマを荒らしてしまった少年たちと、まったく同じ構図なのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

山本太郎代表の街頭演説を盛り上げる生バンドの皆さん

 チビチリガマを荒らしてしまった少年たちは今、自分たちの無知を恥じてチビチリガマを守るための活動をしています。歴史を知ることで、何も知らなかった次の世代に、ひょんなことからバトンがつながっていることになりました。
 だから、歴史を知ることは、とても大切です。あの少年たちも、歴史さえ知っていれば、あんな「肝だめし」をすることもなかっただろうに、知らなかったために荒らしてしまったのです。
 ですから、山本太郎代表が、あるいは沖縄1区を人質にしながら東京14区で立候補している櫛渕万里代表が、もし瀬長亀次郎を知っていて、瀬長亀次郎の時代から脈々と現代につながる歴史を知ってさえいれば、こんな暴挙に出ることもなかったのかもしれません。
 戦争の体験が忘れ去られ、今、再びの軍拡に向かっている日本で、我々に必要なのは、何より「知ること」ではないでしょうか。


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