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「文学フリマ」の成功から考える小説を書く人が増えた理由

自ら作った作品を手売りできるフリーマーケット「文学フリマ」が盛況です。39回目の「文学フリマ東京」は、東京ビックサイトで開催され、約1万5000人の方が来場したそうです。回を重ねる毎に来場人数が増え続けています。
書店が減り、小説の売上が減少している現状で、どうして文学フリマは盛況なのか考えてみます。

よく言われるのは、書く人が増えているということです。
その背景には書くハードルが低くなったことがあると思います。PCやスマホが普及して誰でも容易に執筆環境を整えることができるようになりました。ある程度の資料ならネットで入手することもできます。

もうひとつ言われるのは、商業出版以外の小説を求める人が増えているということです。
いくら書き手が増えても読む人がいなければ、フリーマーケットは成立しません。文学フリマでは書き手だけではなく、本を求めて買いに来る人もたくさんいます。
商業出版のマーケットが縮小し、余裕がなかった出版業界では、売上が見込める本の出版にリソースを集中するようになっており、売れる見込みが薄い本の出版に消極的になっている傾向があります。
少数の人が好む本が店頭に並ばなくなり、多様なニーズを吸収できなくなっているのかもしれません。
印刷する冊数が比較的少なく、大幅な利益を求めていないフリマにはさまざまな趣向の作品が並びます。たくさんの本の中から自分の好みに合った作品を見つける宝探し的楽しさがあります。

一方で、書く人が増えているわけではないという話もあります。書く人は以前から「小説家になろう」などネット投稿サイトに集まっていますが、ここ数年で利用者数はそれほど伸びていないようです。
文学フリマというリアルに可視化された環境ができたことで、小説を書きたい、買いたい人が集まったということがありそうです。

正確に書く人をカウントすることはできないので、実態はわかりませんが、もしも小説を書く人が増えているなら、出版業界にとって良いことだと思います。
他著の小説を読まずに書く専門の人もいるでしょうが、良い小説を書くために他の小説を読んで参考にする人はいるでしょう。
良い小説を書くためには、良い小説を読む必要があります。

書く人が増えれば、今までになかった多様な小説が生まれ、今まで掬うことができなかった誰かのニーズを満たすかもしれません。自分に合った小説に満足した人が、新しい小説を求めるようになれば市場は拡大していきます。
文学フリマの成功は出版業界にとって良い兆しだと思いたいです。

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