自律性を強要しない働き方~ナチュラルリーダーシップの可能性~
こんにちは、ログラスでアジャイルコーチをしてます、おーのAです。
株式会社ログラスProductチーム AdventCalendar 2024 シリーズ1の5日目の記事になります!
ログラスではアジャイルのスケーリングフレームワークであるFASTの導入を推進しています。ログラスで大事にしている価値観として自律があります。今日はFASTの価値、「自律性」「自己組織化」「ナチュラルリーダーシップ」に触れつつ、表題について書いていきます。
自律性への違和感
「自律性を発揮せよ」。これは多くの職場や組織で聞かれる言葉です。しかし、この一言に違和感を覚えたことはありませんか?自律性とは本来、各個人が内発的な動機に基づいて行動する姿勢のはず。それが外部から「発揮せよ」と指示されることで、かえって不自然さやストレスを感じるケースもあるのです。
組織運営や働き方改革の議論の中で、「自律性」という言葉は頻繁に使われるようになりました。一方で、それが本来の意味を超え、外部から強要される場面も少なくありません。この矛盾を解消する鍵はどこにあるのでしょうか?
近年、アジャイル手法の一つである「FAST」では、自律性や自己組織化などを重要な価値観として掲げています。その一つとして登場する「ナチュラルリーダーシップ」という概念は、自律性を本来の形で引き出し、組織を自然に動かす新しい可能性を秘めていると感じました。この記事では、自律性とリーダーシップの関係性を掘り下げ、本来あるべき「自然な自律性」について考察していきます。
自律性を強要する矛盾
自律とは、他者からの支配や制約を受けず、自らの価値観や理念にもとづいて判断・行動ができることを指します。本来、自律性は内発的な動機づけに根ざし、誰かに指示されるのではなく、自らの意思で行動するものです。
しかし、現実には「自律性を発揮せよ」という言葉が外部から投げかけられることがあります。例えば、職場で「主体的に取り組んでください」「越境して行動しましょう」と言われる場面。これらのメッセージは一見、社員の成長やチームの成功を願うポジティブな意図を持っていますが、受け手にとっては「自律性を強要されている」という圧力に感じられることも少なくありません。
強要された自律性にはいくつかの問題があります。第一に、外発的な動機づけに基づく行動は、内発的な動機づけに比べて持続性が低いとされています。第二に、越境することが善であるという価値観が、個々の仕事の役割や価値観を無視する場合もあります。これにより、仕事のバランスが崩れ、逆にモチベーションを失うこともあります。また、強制的な環境下ではパフォーマンスや創造性が損なわれる可能性があります。
ナチュラルリーダーシップの可能性
「ナチュラルリーダーシップ」という言葉を聞いたとき、どのようなイメージを持つでしょうか?この言葉が指し示すのは、特定の役職や権限を持つ人だけがリーダーシップを発揮するという考え方とは異なり、誰もが自然にリーダーとしての役割を担う場面がある、という考え方です。(ナチュラルリーダーシップについては「ナチュラル・リーダーシップの教科書 小日向素子(著)」をご参考ください。)
この概念の背景には、人間が本来持っている直感や洞察力、共感能力といった「ナチュラル」な資質があります。ナチュラルリーダーシップは、それらの資質が組織の中で活用されるとき、リーダーシップが自然に発揮されることを意味します。例えば、課題に直面した際、専門知識や情熱を持ったメンバーがその場で中心となり、チームを導く。こうした行動が、正式な指名や指示を待たずに自発的に行われるのです。
自己組織化は、個人やチームが自然に自律性を発揮し、外部からの指示がなくても目標に向かって動き出す状態を指します。この現象は、自然科学の分野では広く知られています。例えば、アリの群れがリーダーを必要とせずに巣を作り上げるプロセスや、鳥の群れが滑らかに群れの方向を変える動きが挙げられるでしょう。これらの現象に共通するのは、それぞれの個体が自身の役割を自然に果たし、全体として調和の取れた行動をするという点です。
ナチュラルリーダーシップは自己組織化の原動力にもなります。ナチュラルリーダーシップが発揮される環境では、チーム全体が相互に影響を与え合い、自然な形でリーダーシップが循環します。このような環境では、個人の強みや特性が尊重され、内発的なモチベーションが高まりやすくなります。
一方で、ナチュラルリーダーシップを育むためには、メンバーが発言しやすい風通しの良い環境、失敗を恐れずに挑戦できる心理的安全性、そして役職にとらわれないフラットなコミュニケーションといった組織文化も必要です。これにより、「自律性を強要する」のではなく、自然に自律性が引き出される土壌が作られるのです。
自己組織化の未来像
組織においても、自己組織化は理想的な働き方として注目されています。しかし、それを実現するには、自律性を無理に促すのではなく、個人の価値観や能力を尊重し、自然なリーダーシップを引き出す仕組みが必要です。ナチュラルリーダーシップは、この仕組みの核となる要素です。
ナチュラルリーダーシップが根付いた組織では、以下のような未来が期待できます。
心理的安全性が高い職場
メンバーが安心して意見を述べたり行動したりできる環境が整い、全員が主体的に貢献できる。フラットなリーダーシップの循環
特定のリーダーに依存せず、チーム全体が必要なときに必要な形でリーダーシップを発揮する。高い柔軟性と創造性
自然発生的な自己組織化により、急速に変化する環境にも対応できる。
これらの特徴を持つ未来の組織は、効率性だけでなく人間らしさや共感を重視した「持続可能な働き方」の実現に近づくでしょう。ナチュラルリーダーシップによって、私たちは「自律性を強要される」時代を超え、内発的な動機づけが組織全体を動かす新しい時代を迎えることができるのです。
ログラスの挑戦
この記事で取り上げた「ナチュラルリーダーシップ」や「自律性を強要しない自己組織化」は、現代の組織運営において重要なテーマです。このような考え方は、私たちログラスのプロダクト組織でも深く根付いています。ログラスでは、アジャイル手法「FAST」を導入し、チームが自然に自己組織化しながら最大限のパフォーマンスを発揮できる文化を醸成しています。
しかし、FASTを単に導入するだけでは、本来の価値を引き出すことはできません。それを可能にするには、心理的安全性や内発的なモチベーションを大切にした、健全な組織文化が欠かせません。ログラスでは、こうした文化を日々育み、社員一人ひとりが自然体でリーダーシップを発揮できる環境を整えています。
私たちのチームでは、同じ志を持ち、組織の成長をともに支える仲間を積極採用中です。この記事を通じて共感いただけた方は、ぜひ私たちの採用ページをご覧ください。ログラスで、次世代の働き方を一緒に形にしていきましょう!
株式会社ログラスProductチーム AdventCalendar 2024 シリーズ1の6日目は@qa_kotatsuさんです!お楽しみに!