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システムコーチングが当たり前になる組織を目指して~アジャイルコーチの思考過程~

こんにちは、ログラスのアジャイルコーチのおーのAです。
この記事はログラスアドベントカレンダー 2024 シリーズ2の23日目の記事です!!!

システムコーチング®️とは

組織や人の関係性を対象にしたシステムコーチングは、2人以上の関係性すべてを想定したもので、その活用先は多岐にわたります。
コーチング対象としては、営利企業やNPOを始め、家族やパートナーシップ等も含まれます。さらにその目的は、イノベーションの促進や多様性の包含、成果や成長の促進、心理的安全性の回復、葛藤解決など、人の関係性によって左右されうるほぼすべてのことが対象となります。

「システムコーチングって何ですか?」

※ システムコーチング®️はCRR Global Japan 合同会社の登録商標です。http://www.crrglobaljapan.com

導入:アジャイルコーチとしての新たな挑戦

私はアジャイルコーチとしてログラスにジョインしました。同時に、システムコーチングのプロフェッショナル実践コースを受講中でもあります。

ログラスには既に松岡さんというシステムコーチの先駆者が存在しており、システムコーチングそのものへの理解が一定程度浸透している環境で、システムコーチングを実践する身として恵まれた環境にいます。

私がジョインしてコーチが1人から2人体制になった現状ではありますが、システムコーチングが組織全体を支える「屋台骨」になっていると言える状況ではありません。

アジャイルコーチとして、この環境にどのようにシステムコーチングを根付かせ、より強固な組織づくりを実現できるのか。そんな問いを抱えながら、私は3ヶ月向き合い続けてきました。

システムコーチングは単なる手法ではなく、組織の関係性や文化そのものに影響を与えるものです。そのため、これを「当たり前」の組織にするためには、ツールやアプローチを超えたものが必要ではないか——という考えに辿り着き、これまでの思考過程をまとめることにしました。

この記事は、実践例ではなく、まだ思考過程のものです。システムコーチングをどう活かすか模索しているアジャイルコーチにとって、新たな視点やヒントになれば幸いです。

システムコーチングとチームビルディングの違いに対する葛藤

システムコーチングは、チームビルディングとは異なるアプローチを持つものです。しかし、私自身がその違いを明確に説明できずにいることに気づきました。この曖昧さは、システムコーチングを組織に根付かせるための大きな壁となり得ます。

チームビルディングは、チームの土台を築き、関係性を強化するための活動です。一方でシステムコーチングは、チームが自らを見つめ直し、内在する「モヤモヤ」や「課題」に向き合うためのプロセスを促進します。

しかし、実際にはチームが「モヤモヤ」や「課題」を第三者に相談するケースは多くありません。ほとんどの場合、大きな問題が発生してから初めて外部の力を借りようとします。このため、システムコーチングは結果的にチーム関係を再構築する手段、つまり「チームビルディング」の一環とみなされることが多いのです。

また、チームの関係性が十分に築かれていない初期段階でシステムコーチングを行う場合も、結果としてチームビルディングと同じ役割を果たすことになります。

このように、システムコーチングとチームビルディングの境界線が曖昧になる状況は少なくありません。しかし、システムコーチングが持つ本質は、単なるチームビルディング以上の可能性を秘めているはずです。

メンタルモデルをアップデートする~システムコーチングの本当の役割~

(メンタルモデルの説明は後述します)

システムコーチングは、チームの関係性を見つめ直し、対話を通じて本質的な課題に向き合うために有効なアプローチです。しかし、前述の通り、単なる「チームビルディング」や「対話の場のファシリテーション手法」として捉えられてしまうことが少なくありません。

私自身も「システムコーチングを使って具体的な成果を出さなければ」という意識にとらわれていた時期がありました。特に実践経験を積む段階では、セッションの成否ばかりに焦点が向いてしまうこともあります。しかし、本当にそうなのでしょうか。私がシステムコーチングを学んで伝えたかったことは、そんなことだったのだろうか、と悩み続けました。

私は2024年の多くの時間を、システムコーチングの学びに費やしてきたわけですが、システムコーチングのワークショップの手法そのものが重要な学びだったわけではありません。私にとって最も「衝撃的な気づき」を得たのは、自分自身のメンタルモデルが変化し、物事の見方や関係性への向き合い方が根本からアップデートされた瞬間でした。

この経験を思い出し、システムコーチングは「メンタルモデルのアップデート」という視点から捉えるべきだと考えました。

つまり、システムコーチングの本質は、関係性そのものを改善すること以上に、組織やチームが良い関係性を築くためのメンタルモデルをアップデートすることにあるのです。

システムコーチングがもたらすメンタルモデルのアップデートとは何か?

メンタルモデルとは、物事の捉え方や判断の枠組みを指します。個人やチームは、この枠組みに基づいて意思決定や行動を行っています。

システムコーチングによって組織が獲得すべきメンタルモデルは、関係性の問題を素早く認識し、適切に対処できる視点を持つことです。これにより、課題に対するアプローチを柔軟に変化させられる組織文化を育むことができます。

文化としてこのメンタルモデルが根付いた組織では、事柄の問題と関係性の問題を切り分けて考える力が備わります。これが、課題解決力と適応力を高める基盤になるのです。

どのように組織のメンタルモデルをアップデートするかについては、今後、事例を蓄積して発信したいと考えています。

アジャイルコーチが「メンタルモデルのアップデート」を担う理由

観察から始まるメンタルモデルのアップデート

メンタルモデルのアップデートを促すためには、まず組織やチームの状態を観察することが重要です。アジャイルコーチとシステムコーチングはどちらも、観察を通じてチームの力学や課題を捉えるアプローチを重視します。時に個人に焦点を当てつつ、時に組織(システム全体)に焦点を当てながら、その姿を観察します。このとき以下のような観察視点が役立ちます。

  • 関係性のパターンを見る視点:チーム内の対話の質やコミュニケーションの癖を捉え、関係性の問題点や改善ポイントを発見する。

  • システム全体を捉える視点:組織の構造や文化がどのように意思決定や成果に影響を与えているかを分析する。

  • 変化の兆しを捉える視点:チームや組織が小さな変化を見せたときに、その動きが何を示唆しているのかを観察する。

観察は単なる情報収集ではなく、コーチとして適切な「問い」を投げることでチーム自身が現状を見つめ直し、気づきを得るためのプロセスを支援する役割も果たします。

メンタルモデルのアップデートが組織に与える影響

アジャイルコーチは、組織全体にアジャイルの価値観を浸透させ、変化に柔軟に対応できる文化を築く役割を担います。そのためには、単なるプロセス改善やツールの導入ではなく、組織やチームのメンタルモデルをアップデートすることが不可欠です。

Zuzana Sochovaは書籍:SCRUM MASTER THE BOOKで次のように述べています。

"レベル3ではスクラムマスターの焦点はシステム全体に移り、アジャイルのマインドセットとスクラムの価値観を企業レベルに持ち込みます。そうすることで、従業員への接し方、マネジメントやリーダーシップのスタイル、プロダクトオーナーシップや戦略にいたるまで、組織がやり方を変えるのを手助けします。より柔軟になり、変化を歓迎するようになります"

"このレベルのスクラムマスターはアジャイルコーチやエンタープライズコーチとして、組織がより効果的で、満足でき、成功するための手助けをするようになります"

SCRUM MASTER THE BOOK 第3章 スクラムマスター道

この言葉は、アジャイルコーチが単なるファシリテーターではなく、組織全体の「考え方の枠組み」=メンタルモデルをアップデートする存在であることを示しています。

システムコーチングはこの役割を支える有効な手法です。関係性の質を高め、対話を通じてメンバーの思考パターンを問い直すことで、組織全体が変化し続ける力を育む基盤を築きます。

アジャイルコーチは、システムコーチングのアプローチを活用することで、組織に継続的な成長と適応力をもたらす支援をします。

まとめ:組織のメンタルモデルのアップデートのその先に

組織がシステムコーチングを基盤としたメンタルモデルにアップデートされた先、私にとってまだ未知なる世界が広がっている状況ではあります。しかし、このような組織では、システムコーチングが当たり前に実施される世界が待っていると信じています。

システムコーチングが当たり前になる組織では、チームやメンバー自身が「今こそ対話が必要だ」と自律的に気づき、行動を起こせる文化が根付くはずです。この状態を実現するために、アジャイルコーチとして私はこれからも観察と対話を重ね、組織の変化を支える存在でありたいと考えています。

これこそが私がシステムコーチングを学んでいるアジャイルコーチとして担っていく責務なのだと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ログラスではアジャイルコーチの採用を進めております。ご興味ある方はぜひお声がけください!今回の記事に関してシステムコーチングに興味をお持ちになった方もぜひ楽しく話しましょう!

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