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可視化して残す。Zotero × NotebookLMで実現する「忘れない」文献管理術

はじめに

論文を読んでも、内容をすぐに忘れてしまいませんか?

タイトルとアブストラクトを読み返しても記憶が蘇らない。Figureを見てようやく「あー、あれね!」と思い出す…。 こんな経験、誰しもあるはずです。

そもそも、タイトルや抄録など文字情報だけで内容を覚えておくのは、無理があります。

生成AIがこれだけ進化した今、モダンな文献管理の正解は、「ビジュアルアブストラクトを自動生成し、文献と一緒に保管すること」です。

具体的には、以下のステップです。

  1. NotebookLMでビジュアルアブストラクトを作る

  2. Zoteroの文献データにその画像を添付する

こうしておくと、後でライブラリを見返したときに、一瞬で内容がフラッシュバックするようになります。

先日、このワークフローを「Paperpile」で実現する方法を紹介したところ、半日で100スキを超えるなど大きな反響をいただきました。

「でも、私はZotero派なんだよな…」

そう思った方、ご安心ください。もちろん、Zoteroでも実装可能です。

1つだけ注意点があって、ZoteroはデフォルトでGoogleドライブと連携していないため、PaperpileのようにNotebookLMとの連携をシームレスにするためには「ひと手間」必要です。

この記事では、

  1. Zotero→NotebookLMへ文献データの移動

  2. NotebookLMでビジュアルアブストラクトを作成

  3. 生成物をZoteroに保管

このワークフローを最短距離で実践する方法を解説します。これを読めば、Zoteroでの文献管理が劇的に楽しく、効率化されるでしょう。


ZoteroとGoogleドライブを連携させる方法

まず、下準備です。 以前は「Zotfile」というプラグインが定番でしたが、Zotero 7へのアップデート以降、機能しなくなってしまいました。

そこで今回は、「ZotMoov」というプラグインを使用し、以下の手順でZoteroライブラリの実体ファイルをGoogleドライブに置く設定を行います。

  1. PC版Googleドライブをインストール

  2. ZotMoovプラグインをZoteroにインストール

  3. Zoteroの設定を変更

(※既にGoogleドライブと連携済みの方は、次の「Zotero→NotebookLMへの最速取り込み」まで読み飛ばしてOKです!)


PC版Googleドライブをインストール

PCのローカルフォルダとクラウド(Googleドライブ)を同期させるために必須です。

まず、こちらのページからGoogle Drive for Desktopをインストールしてください。

実際のページ。インストール手順が詳細に書かれているので、指示に沿って進めればOKです。

インストールが完了すると、PC(エクスプローラーやFinder)に「Google Drive」というドライブが追加されます。

このGoogleドライブの中に、Zoteroの文献を保存する専用フォルダを作成しておきましょう。(例:G:\マイドライブ\zotero_library)


「ZotMoov」プラグインのインストール

次に、Zoteroに「ZotMoov」を導入します。これを入れると、Zoteroに保存したPDFが自動的にGoogleドライブ上のフォルダへコピーもしくは移動されるようになります。

  1. こちらのGitHubページに移動

  2. 「Download the latest release here」から最新版のファイル(.xpi 形式)をダウンロード

  3. Zoteroを開き、「ツール」>「Plugins(アドオン)」を選択

  4. 右上の歯車マーク(⚙) >「Install Plugin From File」をクリックし、先ほどの .xpi ファイルを選択

これでインストールは完了です(Zoteroの再起動が必要な場合があります)。


ZotMoovの設定

「編集」 >「設定」> 「ZotMoov」タブを開き、以下のように設定します。

  • Directory to Move/Copy Files To: 先ほどGoogleドライブ内に作ったフォルダを指定します。

  • Automatically Move/Copy Files When Added: これにチェック(✅)を入れると、今後Zoteroに追加するPDFが自動でGoogleドライブに転送されます。

※「File Behavior」を「Copy」にすると、ZeteroのデータベースとGoogle Driveの両方に添付ファイルが保存されます。

💡 既存のPDFを移動する場合
既にライブラリにあるPDFをGoogleドライブに移したい場合は、ライブラリ内の文献を選択(全選択も可)して右クリック >「Manage Attachments」>「Move Selected Files to ZotMoov Directory」を実行してください。


Zotero→NotebookLMへの最速取り込み

連携設定お疲れ様でした!ここからは快適な連携フローの解説です。

実体ファイルがGoogleドライブにある状態になったので、Paperpile同様、シームレスにNotebookLMへインポートが可能になります。

手順① Zoteroに文献をインポート

ブラウザ拡張機能(Zotero Connector)やドラッグ&ドロップで文献を取り込みます。 ZotMoovの設定が効いているため、裏側で勝手にGoogleドライブへPDFが保存されます。

拡張機能はワンクリックで保存できておすすめ

手順② NotebookLMで「Googleドライブ」を選択

NotebookLMのソース追加画面で「Googleドライブ」を選びます。

Zoteroに取り込んだばかりのPDFなら、「最近使用したアイテム」の最上部に表示されるので、選択するだけでインポート完了です。

💡 過去の論文を探すコツ
Googleドライブ内の論文を探すときは、検索窓にファイル名を入力します。

このとき、以下の方法が確実です。

① ZoteroライブラリからPDFファイルを選択し、ファイル名をコピー

② NotebookLM(Googleドライブ選択画面)の検索窓にペースト

これで確実にヒットします。


文献の「ビジュアルアブストラクト」を作成しよう

NotebookLMに取り込んだら、次は「アウトプット」です。
文字だけの要約ではなく、インフォグラフィックやスライド機能を活用して、一目でわかる自分専用のビジュアルアブストラクトを作成しましょう。

インフォグラフィックの作り方

編集ボタン(ペンのマーク)からカスタマイズします。

赤枠のプロンプト入力欄でインフォグラフィックのスタイル、色、強調ポイントなど指示することができます。

★おすすめのインフォグラフィック最適化プロンプト (2025/12/11追記)

画像生成は運ゲー要素が高く、クオリティのバラつきが大きいのが悩みどころ。

そこで、高クオリティのインフォグラフィックを再現性高く生成するためのカスタムプロンプトを作成しました。

正直めっちゃおすすめです(自画自賛)。
プロンプトが長いので、以下のポストからコピペをお願いします🙏

出来上がりはこんな感じ。

スライド資料の作り方

詳細な内容を残したい場合はスライド形式がおすすめです。
同じく編集ボタンから設定します。

  • 形式:詳細なスライド

  • 長さ:デフォルト

  • プロンプト:なし

この設定で生成するだけで、要点がまとまった非常に分かりやすいスライドが出来上がります。

引用:Khan AM, et al. PLoS Med 2022;19(5):e1004012

生成物をZoteroに保存すれば最強のメモになる

ここが最後の重要なステップです。 NotebookLMで作ったインフォグラフィックやスライドは、Zoteroの文献データに添付して保存しましょう。

保存の手順

① NotebookLMからダウンロード
生成物の右側にある三点リーダー (︙) からダウンロード。

② Zoteroに添付
Zoteroライブラリ上で該当文献を右クリックし
「添付ファイルを追加する」>「File」からダウンロードしたファイルを選択。(または、ファイルをドラッグ&ドロップで該当文献に重ねることでも添付可能です)

これで、論文PDFと一緒に「一目でわかるビジュアルアブストラクト」が保存されました。

複数のPDFや画像ファイルが添付できます。

この運用のメリット

  • 記憶の定着: 文字情報に加えて、視覚情報があると断然記憶に残りやすいです。

  • 復習効率: 久しぶりに開いた論文でも、添付された画像を見るだけで「ああ、この論文ね」と一瞬で理解できます。


まとめ

今回は、Zoteroユーザー向けに以下の4点をご紹介しました。

  1. ZotMoovを使ってZoteroとGoogleドライブを連携させる方法

  2. Googleドライブ経由でNotebookLMへ最速インポートする方法

  3. NotebookLMでビジュアルアブストラクトを生成する方法

  4. 生成したビジュアルアブストラクトをZoteroで管理する方法

ツールは組み合わせることで真価を発揮します。ぜひこのフローを試して、研究ライフをより快適にしてください!


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