玄人好みの4ドア×4シリンダー【5】FFになって登場したハチロクエンジン(4A-G型)搭載のスポーティセダン!|1985年式 トヨタ カローラ 4ドア 1600GT

デビュー当初は設定されていなかったものの、満を持して翌年10月に追加されたGT。TE71の血を受け継いだ、スポーティーセダンの登場だった

       

玄人好みの4ドア×4シリンダー|1985年式 トヨタ カローラ 4ドア 1600GT

日本国内だけでなく世界各国で販売され、累計販売台数は4500万台以上にもおよぶカローラ。クーラー、カラーテレビ、カーが「3C」と呼ばれて国民の豊かさの象徴とされた1966年に初代がデビューし、現在も「アクシオ」、「フィールダー」のサブネームを付けて販売され続けている日本を代表する国民的乗用車だ。そんな長い歴史を誇るグローバルベストセラーカーだが、本誌読者の多くがカローラと聞いて想像するのはスポーティーグレードのレビン、そのなかでもハチロクではないだろうか。コンパクトなボディに4A‐G型を搭載し、ライトウエイトスポーツならではの走りが楽しめるパッケージングは現在でも評価が高く、当時以上の人気を獲得している。しかし、大きな転換を図って新時代のカローラとして注目された同型のE80系セダンも、忘れてはいけない存在だ。

【画像17枚】シリーズ初のFFを採用した国民的ベーシックカーにもスポーツグレードを用意した。84年10月に追加された4A-G型。名機2T-G型の後継だがこちらはツインカム16バルブを採用し、いっそう優れたレスポンスや高回転での伸びを実現。そして130psというハイパワーを発揮する

1985年式 トヨタ カローラ 4ドア 1600 GT (AE82)

5代目として83年にデビューしたE80系だが、もっとも大きな変更点となったのは駆動方式だ。ハチロクはE70系のシャシーを流用したFRだったが、セダン系はより広い居住空間を確保するためにシリーズ初のFFレイアウトを採用。その結果、室内長、室内幅、室内高すべてにおいて、クラストップレベルの数値を実現した。併せて、サスペンションも新開発のストラット式4輪独立懸架とし、優れた操縦安定性や快適な乗り心地を手に入れた。

エクステリアデザインも大きく変化した部分だ。それまでは直線基調のシャープなスタイリングだったが、E80系は曲線を取り入れたスタイリッシュなフォルムに変身。デザイン性だけではなく、内側に大きく絞り込んだ前後のサイドパネルや徹底した各部の面一処理により、優れた空力特性も実現している。そして、セダンの居住性にハッチバックの利便性をプラスした5ドアセダンを新たにラインナップ。こちらは大きく傾斜したバックドアが特徴的で、斬新なスタイルに仕上げられた。

--{FFになってもスポーティな走りは健在!}--

エンジンは、キャブレター方式の1.5ℓSOHCと1.8ℓディーゼルのほか、1.3ℓSOHC(4ドアのみ)、電子制御EFIの1.6ℓSOHC(5ドアのみ)というラインナップでスタート。半年後には4ドアにも電子制御EFIの1.6ℓSOHCが搭載され、翌年には1・6ℓDOHCの4A‐G型を追加。FFレイアウトながら先代TE71セダンを彷彿させるスポーティーな走りを実現したのである。
このように、さまざまな面で進化を遂げて生まれ変わったE80系セダン。レビンの陰に隠れてしまいがちだが、現在も世界中で愛されているFFカローラの礎を築いた存在でもあったのだ。

【画像17枚】シリーズ初のFFを採用した国民的ベーシックカー

TEXT : Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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