漁獲証明 QRコード化 ブランド力向上に期待 佐世保・オーシャンソリューションテクノロジー

「水産資源を守りつつ、ブランド力を高めて価格の向上に貢献していきたい」と話す水上社長=佐世保市、オーシャンソリューションテクノロジー

 長崎県佐世保市三川内新町のベンチャー企業「オーシャンソリューションテクノロジー」が、QRコードで漁獲証明する技術を開発した。情報の開示で信頼性を高め、漁獲した魚のブランド力向上を期待。発売中のアプリ「トリトンの矛」に機能を追加した。
 トリトンの矛は、潮流や海水温度、魚種、漁獲量など漁業者が入力した操業情報を蓄積し、人工知能(AI)を使って取れる可能性が高い漁場などを漁業者に提案。ベテラン漁師が培ってきた長年の経験や勘の部分をアプリが補い、技術継承をスムーズにする。

QRコードを読み取ると漁獲海域などの情報を見ることができる(写真は一部加工)

 QRコード化の利点の一つは信頼性の向上。消費者がスマートフォンなどでQRコードを読み込むと漁獲海域などの情報を見ることができ、水上陽介社長(41)は「信用の積み重ねがブランド力の向上につながる」と力を込める。動画で漁業者の熱意などを伝えることができ、漁業者のファンを増やすきっかけにもなる。また魚を購入した年齢層などをデータ分析して新たな販売方法の検討に生かせば、水産振興の可能性も広がるという。
 二つ目は漁業者の所得向上。水上社長によると県外の漁協では、鮮度を保つために漁獲後すぐに血抜きや氷水で締める手間を加え、1キロ単価が30%上がった例もある。新鮮な魚を消費者に届ける過程を動画で証明することで、さらなる単価の引き上げも思い描く。
 デジタル化を推進し水上社長が目指すのは、漁師や漁協、仲買人ら各地域で水産業に携わる人たちのコミュニティーを守りながら水産業を伸ばしていくこと。需給バランスを保って値崩れを防ぎ、収益確保にもつなげていく。
 各地で実証実験を進めており、県内各地の漁協とも連携したい考え。水上社長は「水産資源を守り、ブランド力を高めて価格の向上に貢献していきたい」と話している。


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