野外4つのスクリーンで映画を同時上映 日本初の“映画フェス”「夜空と交差する森の映画祭」へ行ってきた(1/3 ページ)
埼玉の景勝地・長瀞にスクリーンをいくつも設けて、映画三昧の一夜を明かす。フェス形式としては日本初の野外映画祭は、特別な鑑賞体験をもたらすか。
野外の4つのスクリーンで異なる映画を同時上映、来場客が自由に回って鑑賞しながら夜明けを迎える。日本初の“映画フェス”となる「夜空と交差する森の映画祭」が、10月4日夕方から5日朝方にかけて開催された。会場は埼玉の景勝地・長瀞(ながとろ)のキャンプ場「フォレストサンズ長瀞」だ。
「森の映画祭」は1つのスクリーンで上映してきた従来の野外映画祭と違い、複数のスクリーンを観て回るという、少なくとも日本では初めてのスタイルの映画祭だ。同じように複数のステージでライブが同時進行する昨今の音楽フェスにちなんで、“映画フェス”という呼び名のもと実施された。
秋の長瀞を散策しながら映画鑑賞。ネット配信サービスで映画がますます手軽に楽しめるようになった今、こうして特別な“空間”で映画を観る需要は高くなっていきそう。一体どんなフェスになるのか、そして来場者はどう感じ取るのか。気になったのでぼくもアウトドアチェアを担いで参加してみた。
「夜空と交差する森の映画祭」
森の映画祭の代表は、自身も映画クリエイターである佐藤大輔さん(26歳)。2年の構想を経て本映画祭を実現させようと「森の映画祭実行委員会」を立ち上げ、今年7月にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で資金を募集した。最終的に目標金額の2倍以上となる約85万円を集め、一般発売のチケットも予定の300枚から1000枚に増やしてなお、ソールドアウト。初の映画フェスへ期待がうかがえる中での開催となった。
映画祭は台風18号の接近が危ぶまれながらも、無事に曇り空のなか午後6時30分にスタート。翌朝5時まで4つのステージで計47作品が上映されるという、映画三昧の一夜となる。
もともとテントサイトやコテージが点在する森は、薄暗闇にスクリーンや電飾がぼんやり光って落ち着く空間となっていた。木々にカラフルな豆電球が巻かれたり、頭上にフラッグが張り巡らされたりと、装飾がどれもアーティスティック。FUJI ROCK FESTIVALなど山林を舞台にした音楽フェスと似た雰囲気だ。
4つのステージはどれも長瀞の川辺というロケーションを活かしながら、それぞれ趣が違うものに。「MAIN STAGE」は林の開けたところに大きなスクリーンを設置したステージで、長編映画を4本流す。300〜500人が鑑賞できそうで、一般的な野外映画祭の環境に近い。
残り3つでは短編映画43作品を上映。用意された大きなシートやハンモックで寝ながら鑑賞できる「FOREST STAGE」、長瀞の川辺の段々とした岩畳をそのまま客席にした「THE ROCK STAGE」、スクリーンの裏から川の音が絶え間ない「RIVER SIDE STAGE」と、いずれも異なる鑑賞体験が期待できそうだ。
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