耳に残る音楽と記憶に残るロコロコたちとのゆる〜い夏の過ごし方「LocoRoco」レビュー(1/2 ページ)

今のゲームは、簡単に遊べるものが減ったと嘆いている人に朗報。LRボタンを使い、地面を傾け、ロコロコと呼ばれる生き物をゴールに導くだけの簡単タイトルが登場した。単純故に、つい熱中してしまう不思議タイトルを、早速プレイしてみた。

» 2006年08月02日 18時23分 公開
[篠崎薫,ITmedia]
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簡単=面白くない、複雑=面白い、ではないはずだ

何も知らずにプレイを始めても、すぐに違和感なく遊べるようになる本作。独特のタッチが目をひく

 今や周りを見渡すと、昔の頃と違い単純なゲームがほとんどないことに気づく。もちろんシンプル化への揺り戻しの流れがあることはある。だが、どれもが数多くのボタンを使ったり、慣れないギミックで操作させられたりと、どうにも手軽に遊べるゲームが少なくはないだろうか? その昔、インベーダーであればレバー1つで、使用するボタンもたったの1つだった。ルールも簡単で、敵の弾に当たらないようインベーダーを全滅させるだけ。単純明快なだけに、誰もが夢中になれた。

 ところが、単純なゲームは反面、できることが少ないとすぐに飽きられてしまう。そんなジレンマからか、ゲームは少しずつ複雑になり、気づけばアイデアで勝負するタイトルは減少していったように思う。そして今では、映画のように魅せるゲームが全盛を迎える一方、流行ものということで脳を鍛えるゲームの類などが目立つようになっている。一昔前のように、アイデアで楽しませてくれるゲームはないものか……と思っていたところに、彗星のように現れたのがこの「LocoRoco」。単純操作と簡単ルールに加えて、やり込み要素の多さと、一昔前のゲームが持っていたアイディアを兼ね備えた要素で満たされていた。

簡単ルールと操作で、誰もがすぐに遊べる親切仕様

ロコロコを転がしたい方向へ、本体を傾けるような感じでLRボタンを押すだけ。直感的な操作方法なので、迷うことはない

 実際のルールは非常に簡単。ロコロコと呼ばれる生き物を転がして、ゴールへ導くだけ。目的だけならば、単純なものはいくつもあるが、本作のすごいところは操作するキーの数。LRボタンで地面を左右に傾け、両方押して離すと地面から弾けるようにロコロコがジャンプする。○ボタンを押すと、くっついていたロコロコたちが分裂し、押しっぱなしにすると再び合体。つまり、操作するボタンはたったの3つなのだ。しかも、ロコロコを直接操作するのではなく、地面を傾けたりするなどして間接的にしか関与出来ない仕組み。Rを押せば地面が右に傾きロコロコは右へと転がり、Lならば左に地面が傾くためロコロコは左へと移動する。これならば老若男女問わず、誰もがすぐにルールと操作を覚えられるだろう。ジャンプも、LR両方を押して離すだけなので、違和感はまったくない。いかに本作のルールと操作方法が簡単なのかが分かったはずだ。とはいえ、単純なのはこれだけで、できること・やれることはかなり数多い。


ロコロコの実に触れれば、自動的にロコロコの数が増える。同時に大きくなるので、何となく強くなったような気分になれる?

 ロコロコをゴールへ連れて行けば、とりあえずはクリア。しかし、道中には食べるとロコロコが大きくなるロコロコの実や、捕まえると後で良いことがあるピコリ虫が見え隠れしている。それらを回収しながら進んで行き、ゴールにたどり着くのが正しいクリア方法。ステージによっては、ロコロコを食べようとする敵・モジャや、当たるとロコロコの数が減ってしまうトゲなどが配置されていることもある。モジャに食べられたり、トゲに触れるとロコロコは数を減らしてしまうので、ロコロコの実を食べておかないと、あっという間にゲームオーバーになる。しかし、安心してほしい。意地の悪いところにトゲなどが配置されていることはなく、モジャもジャンプして体当たりすれば倒せ、まったくもって親切設計なステージ配置となっており問題なく遊べるはずだ。トゲを避けたりモジャを倒したりと、若干のアクション要素は要求されるものの、これならアクションゲームが苦手な人でも苦労することはないだろう。

 先に進むと、通路が狭くなっていて通れない場所が出現する。そこで○ボタンを押すと雷が発生し、ロコロコは小さく分裂する。これで、大きなままでは通れなかった通路も、問題なく先に進んでいける。大きなロコロコが分裂し、大挙して落ちていく様を見ているだけでも何となく楽しい気分になってしまうから不思議なものだ。言ってしまえば、パチンコ玉がVゾーンへ向けて落ちていくような快感というのだろうか。なお、バラバラになったロコロコたちは○ボタンを押しっぱなしにしておくことで、再び大きなロコロコへと戻ってくれる。この時の、彼らの震える様が非常に可愛い。プルプルしながら一生懸命、仲間の元へと移動して大きくなろうとして頑張っている姿に、思わず「頑張れー」と声をかけたくなってしまう。こうしているうちに、どんどんとロコロコたちが可愛く見えるようになっていったら、もう本作のトリコとなっているに違いない。。

モジャやトゲは、ロコロコの天敵。モジャはロコロコがアタックすると倒せるが、トゲは倒せないので上手に避けよう
カミナリとともにロコロコが分裂して、一斉に落ちていく。入賞口に入ると大量のロコロコが出てくる……ということは無い
○ボタンを押し続けると、プルプル震えながら大きなロコロコへ戻る。わざと、近づけないような場所にロコロコを置いておき(いじわる)○ボタンを押すと、はぐれたロコロコが頑張って戻ろうとする。その様がキュート……あぁSっ気がフツフツと……

ゲーム内には、ユニークな仕掛けが盛りだくさん

 本作にはユニークな仕掛けがいくつも用意されているが、そのうちの1つが“じっとしている”という行為。何かありそうだが、何をしたらいいのか分からない。そんなときに本体をその場に放置して見ていると、何かが起きることがある。何かアクションを起こさないと先に進めないゲームが多い中、何もしないと何かが起きるという仕掛けはとても新鮮だった。その昔のアドベンチャーゲームで、ほとんどの場面に意味があるところで、何も意味のないダミーシーンが混ざっているのを思い出してしまった。そのくらい、今では珍しい仕掛けといえる。

 また、特定の場所へ到達すると、数字の吹き出しが表示されることがある。そこで、その数だけロコロコを集めていると、何らかのイベントが発生する。とはいえ、そのシーンにたどり着くまでにピッタリか、足りない数が表示されることが多いため、実際にイベントを起こすのは一苦労だった。一定数のロコロコを集めるのは簡単そうでいて、案外すんなりいかないもの。ロコロコが旅する地面には見えない穴が開いている場所があり、そこに触れると先が見えるようになる。そういったところにロコロコの実が隠されていることがあるため、それを回収して初めてイベントシーンで要求される数に到達できることが多いのだ。ただし、それはあくまでもイベントを発生させるためであって、クリアするだけならば何の問題もなく、スルーしてもOK。ライトに遊びたい人には影響を与えず、やり込みたい人には機会をきちんと提供するという、どちらのニーズにも応えているのには好感が持てた。

一定数のロコロコを集めるのは大変だが、不可能ではない。気になる人はロコロコの実を探してみよう。面倒ならば、スルーしても問題なし
こんな感じで、隠し通路があったりする。それっぽい感じがするので、勘が鋭い人なら見つけるのに苦労しないかも?
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