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マシーネンクリーガーが教えてくれた筆とエアブラシの「ハイブリット塗装」が最高に楽しかった話。

 模型雑誌「月刊ホビージャパン 2025年1月号」のP.247ページ。このページの文章だけでも本書の価値があるといっても良いほど、僕は衝撃を受けました。日本を代表する模型アニキである横山宏氏とMAX渡辺氏が中心になってプラモの楽しさを届けている連載「Ma.K.in SF3D」内の記事にある文章です。

 そのページには筆塗りとエアブラシ塗装の「ハイブリット塗装のススメ」が掲載されています。マシーネンクリーガーの模型に迷彩塗装をする際、両方使うからこそできる表現がある! そして両方使うからこそ楽しいのだと横山宏氏が説いているのです。迷彩の境界線をラフに筆でぼかしながら塗り、さらに迷彩をぼかしたいところをエアブラシで塗ると言ったものなのですが、これによって筆塗りしたところとエアブラシ塗装をしたところの迷彩にメリハリが生まれて、より豊かな塗装面になるとのことなのです。

 その内容があまりにも良くて、僕はタイガーモデルのティーガーIで、ハイブリット塗装に挑戦してみたのです。迷彩ではなく単色塗装ですが、まずは上の写真のように、水性ホビーカラーのジャーマングレーの513、514、515の3色を使用してグラデーション塗装します。これまでなら、この状態から汚し塗装であるウェザリングに移行していました。

 今回はここから筆の登場です。全て塗り上げた上から、エアブラシ塗装で使用した色と一緒のもので筆塗りしていきます。色は一緒でも筆のタッチや塗料の濃度で、色の表情に変化が出ます。

 記事内の「筆塗りというのは模型に対して全てにピントが合う、そしてエアブラシ塗装というのは部分的にフォーカスをあまくすることができる」という言葉には、雷に打たれたようなショックを受けました。この言葉が今回ハイブリット塗装にチャレンジしてみようとなったきっかけです。被写界深度(ピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のことです)を同一画面の中にいくつか設定できるとまで語られています。僕的には「カメラを構えてピントを合わせた時のように、その模型で強く見せたい部分に筆のタッチを残し、ぼかしたいところはエアブラシでふんわりさせる」と解釈(あっているのか?? やってみるっきゃないのだ!!)。さらに色の明暗も筆塗りだとエアブラシ塗装よりもさらにメリハリが出せます。筆跡による視線の誘導と、色の明暗による模型の艶やかさを意識して塗ることにしました!

 かっこいいこと言ってますが、まずはここを明るくしたい! ここは暗くしてメリハリを出すぞって場所を狙って、エアブラシの綺麗な塗面にどしどし筆跡を乗せていきます。最初の1手は緊張しますが、2手目からはどんどん筆が動きます。

 エアブラシらしい、滑らかなグラデーション塗装が一変。筆跡によって、すでにダメージ感あるような雰囲気のティーガーIになりました。僕的には筆跡がある模型はものが大きく見えて、自然と視線が誘導されます。このティーガーIもハイブリット塗装した方が、自分好みになりました。筆跡がすでに汚しの雰囲気になっているので、このままシームレスにウェザリング塗装ができるので、汚した時にもより馴染みやすいです。

 戦車のアイコンの一つである砲身。ここは丸みが強調されるように細かな筆跡をたくさん残しました。まさにここを見てくれーという僕の思いの丈の筆跡です。この後、エアブラシで筆跡を落ち着かせたいところを軽く塗り整えました。

 自分がティーガーの中でかっこいいなと思うところが際立つように筆を入れ、かっこいいところを引き立たせるためにエアブラシ塗装ならではのぼかしを活かす……。そんなことを考えながら塗っていくと、目の前の模型がどんどんカッコよくなっていきました。筆だけ、エアブラシだけでは楽しめなかった世界がそこにはありました。ハイブリット塗装、本当に面白いので、ぜひあなたの好きな模型でやってくださいね〜〜。それでは。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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