安倍政権に“96億円カツアゲ”された今治市、地元住民の声【加計学園問題】
愛媛県今治市の加計学園獣医学部新設で、「総理の意向」が働いたかどうかが大問題になっている。その「意向」は文科省だけでなく現地にも及んでいた!? 地元住民を直撃、その声をリポート。
今治市は愛媛県北東部、瀬戸内海に面した人口約16万人の都市。陸部と島嶼部をつなぐ「しまなみ海道」はサイクリングの聖地としても知られる。そんなのどかな地方都市が今、加計学園問題に揺れている。
「加計学園問題は、国による地方の“カツアゲ”です!」
そう憤るのは、今治市民で「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏。
「国がお金を出して獣医学部をつくってくれると勘違いしている今治市民もいます。でも実は、国は1円も出してくれないんです。今治市は今年3月に37億円相当の土地を加計学園に無償譲渡し、さらに最大で約96億円、つまり獣医学部建設費の半額を税金から拠出することになっています。これは市の歳出の12%にも当たります」
今治市の財政状況は全国でも最低レベルで、本来は財政健全化に注力しなければならない状況なのだという。
「今治市の試算では、獣医学部誘致によって年間3000万円の税収増が見込めるというのですが、これでは元が取れるまで320年もかかってしまいます。私たちは、千葉県銚子市と同じような状況になることを危惧しています。銚子市の財政は破綻寸前ですが、その大きな原因となったのが、加計学園系列の千葉科学大学を設立するための補助金支払いでした」(黒川氏)
千葉科学大学建設による銚子市の税収増は、水道利用料などの財政効果が年間2億6000万円ほど。一方、建設費支払いのための地方債負担は年間4億6000万円で、年間2億円の負債を20年間分増やす要因になった。
「結局、銚子市は千葉科学大学のために77億5000万円を投じたあげく、40億円も赤字を増やして財政破綻寸前まで追い詰められました。同じことが今治市でも起きない保証はありません」(同)
先月、「今治加計獣医学部問題を考える会」では今治市民を対象とした電話世論調査を行った。その結果、莫大な市税を大学誘致に使うことに疑問や不安の声が多かったという。
「『大学の誘致より住民のために市税を使ってほしい』という意見が全体の62%、『多額の市税を誘致に使うことに不安』という意見は80%に上りました」(同)
すでに今治市の財政は逼迫していて、多くの行政サービスが十分に提供できていない状況だ。例えば、地元商工会が求めている「しまなみ海道での自転車レース」も、わずか数十万円の予算が確保できずに開催できていない。子供の医療費補助もなく、生活保護申請も水際で拒否されるケースが多発している。
「先日も老夫婦が生活苦から無理心中するという事件が起きました。それなのに、加計学園のためには土地の無償提供を含めて100億円以上をポンと出すなんて、到底納得がいきません。どうせ税金を使うなら、もっと地元のために使うべきです。例えば、島嶼部の人々は病院などに通うために陸部に来ると、橋の通行料を往復で3000円近くも取られるんです。生活に不可欠な道路なのですから、通行料への補助を行ったほうがよっぽど住民のためになります」(同)
貧乏自治体にお金を出させて、国は1円も出してくれない!?
【関連キーワードから記事を探す】
「文春砲をネットでリライトして200万儲けた」スクープおこぼれ商法の手口
なぜ高校球児は“下級生をいじめる”のか「しごきを美化するOBにも問題が」名監督が実際に行った対策とは
「TKO木下の修正依頼は1か所だけ」取材を重ねた作家が直面した“謎のこだわり”
TKO木本は「自分のことを語らない」。密着取材した作家が語る“転落を招いた原因”
RIZIN「花束騒動」中途半端な謝罪や釈明会見で、絶対に許してはいけない理由
完成確率は20%? 陥没事故発生で遠のく外環道完成
関電幹部が「原発マネー」3億円をもらって、“被害者ヅラ”する裏側
「名護市長選の自民候補勝利の裏に公共事業バラマキが…」古賀茂明氏
前川喜平・前文科事務次官が証言「加計学園獣医学部新設は、素人が説明・評価して進められた」
石破茂氏の発言で懸念広がる加計学園の「バイオハザード問題」
モリカケ問題、共謀罪…今年の政治はどうだった? 新聞5紙から読み解いてみた
前川喜平・前文科事務次官が証言「加計学園獣医学部新設は、素人が説明・評価して進められた」
石破茂氏の発言で懸念広がる加計学園の「バイオハザード問題」
文科省は靖国神社を差別していた。行政のチェックは政治家の役割【評論家・江崎道朗】
稲田防衛大臣の失言より豊田議員の「このハゲー」騒動が大きく報じられることの危機【菅野完】
日本政府のコロナ対策を風刺し続けてきたマンガ家が見る「日本のコロナ禍」
許すな、「認諾」による「森友問題」赤木さん自殺の真相隠蔽<弁護士 弘中惇一郎氏>
安倍政権から始まったデータ改ざんの深刻度<弁護士・明石順平>
「緊急事態条項」が必要だという嘘と勘違い<法学者・小林節氏>
またしても無意味な政府の新型コロナ対策。「内閣官房モニタリング調査」が使い物にならないワケ