こんにちは。ココロ社です。
「確認」という言葉……学生時代には、単純に「ものごとを確かめること」という意味でしか使うことはなかったことでしょう。しかしサラリーマンの世界における「確認」とは、出社から退社までのすべてを司るといっても過言ではない、いや明らかに過言ですが、守備範囲の広い言葉であることを知っていましたか? 今知りましたか?
……などと書いてもピンと来ない方が多いと思います。文例をもとに「確認」していきましょう。
目次
(1)「見る」をもっともらしく表現するための「確認」
まず、学校で習った意味に近い「確認」です。
たとえば、発注数を間違えてしまって、謝るときに、なんと言いましょうか。
「確認」使用前
この言い方だと、いかにもちゃらんぽらんに聞こえてしまうので、「確認」を使います。
「確認」使用後
これなら、なぜか「ああ、確認が不十分だったのだな」と思って、妙に納得してしまいますね。言葉を替えるだけで印象がよくなるので、「確認」不足の方はお試しください。
(2)「間違いを直す」という意味での「確認」
謝りを指摘するメールを出すときです。
「確認」使用前
クライアント様に対してこの書き方だと、つっけんどんな印象を与えてしまいますし、万一、指摘が誤っていたら気まずくなりますよね。ここでもまた「確認」が活躍します。
「確認」使用後
間違っていた場合は、正しいものを出し直すことも含めての「確認」なのです。
このように、相手が間違っているのではないかと思われるときは「確認」が便利です。
(3)「何もしていない」という意味での「確認」
未着手の仕事についてと聞かれたときを考えてみましょう。
「確認」使用前
「えへへ……何もしていませんでした」
このやりとりのあと、大惨事が起きていることは想像に難くないですが、ここで「確認」を使うことで悲劇を免れます。
「確認」使用後
「いま確認中です」
このように答えると、あたかもやっているかのような雰囲気が多少醸し出されます。実際、嘘をついているわけではありません。なぜなら、自分にやる時間ややる気があるのかを「確認」していたところなのですから……。
(4)「態度を改める」という意味での「確認」
遅刻を注意するメールを考えてみましょう。
「確認」使用前
定時は 9時なのを知ってますよね? 社会人としての基本ですから、ちゃんと時間を守ってください。
こんな言われ方をしたら自分のやらかしたこととはいえ、直帰してしまいたくなりますね。しかも、これでは電車の遅延などのやむをえない事情で時間に遅れたという場合、注意した上司に言い返したとしても引っこみがつかなくなってしまいまいます。
「確認」使用後
定時は9時になります。ご確認お願いします。
語義通りに取ると、「『確認』も何も、遅刻しないように早く起きるだけだろう」と思うのですが、ダイレクトに指示をするより言いやすいし、聞きやすくなります。
あまりにも鈍感な人には「時間を守れ」と言うしかないですが、ノーマルな相手を叱責するとき、「確認」が活躍するのです。
(5)「学ぶ」という意味での「確認」
最後に、冒頭の「確認していきましょう」についてです。
「確認」使用前
わたしのような見知らぬオッサンに「学べ」と言われても気分が悪いですよね。そういうときは「確認していきましょう」と言えば、マイルドになるのです。
「確認」使用後
このように、「確認」という素晴らしい言葉によって、幾多のサラリーマンのプライドが傷つくことなく、日常が平穏に過ぎていくのです。会社のビルの屋上には「確認神社」があってもいいくらいなのではないかと思いますが、言い方を工夫して、無駄な波風は立てずに暮らしていきたいものですね。
著者:ココロ社 (id:kokorosha)
大阪生まれ。東大文学部卒業後、テレビゲーム製作を経て平凡な窓際サラリーマンとなる。傍らで珍妙なブログ「ココロ社」を運営。書籍の執筆もしており、著書に『マイナス思考法講座』(阪急コミュニケーションズ)『モテる小説』(阪急コミュニケーションズ)『忍耐力養成ドリル』(技術評論社)など。好きな犬はヨークシャテリア。