ニュース・ワーカー http://newsworker.exblog.jp 元新聞労連委員長の美浦克教が、メディアや労働運動を主なテーマに2005年4月から06年10月まで運営しました。現在はhttp://d.hatena.ne.jp/news-worker/で「ニュース・ワーカー2」を運営中です。 ja news-worker 2018 Wed, 26 Dec 2018 11:23:23 +0900 2018-12-26T11:23:23+09:00 hourly 1 2013-06-01T12:00:00+00:00 ニュース・ワーカー https://pds.exblog.jp/logo/1/200503/03/55/c007085520050512123855.jpg http://newsworker.exblog.jp 80 60 元新聞労連委員長の美浦克教が、メディアや労働運動を主なテーマに2005年4月から06年10月まで運営しました。現在はhttp://d.hatena.ne.jp/news-worker/で「ニュース・ワーカー2」を運営中です。 新しいブログの運営を始めました http://newsworker.exblog.jp/8650781/ http://newsworker.exblog.jp/8650781/ <![CDATA[ 新しいブログの運営を始めました。

 ニュース・ワーカーⅡ

 愛着のある「ニュース・ワーカー」の名称は継承しますが、まったく別のブログとして運営します。よろしければ、ご訪問ください。

※追記 2008年11月30日
 ニュース・ワーカーⅡは「ニュース・ワーカー2」と改題の上、はてなダイアリーに引越しました。
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/

※追記 2018年8月21日
 「ニュース・ワーカー2」は現在、はてなブログに移行しています。
http://news-worker.hatenablog.com/
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身辺雑事 news-worker Sun, 13 Apr 2008 15:34:16 +0900 2008-04-13T15:34:16+09:00
本ブログの運営を休止します http://newsworker.exblog.jp/4821956/ http://newsworker.exblog.jp/4821956/ <![CDATA[ お知らせです。
 このエントリーをもって、本ブログの運営を休止することとした。
 昨年春、このブログを開設したのは、既存メディアの労働組合運動に専従活動家として身を置いている自分自身が、自分の活動や新聞労連の活動を紹介しながら、ネットと既存メディアのかかわりを考えていきたいと思ったことが理由だった。同時に、閉鎖的なメディアの内側にいて、日々働いている同僚たちや記者たちの苦悩や悩みも少しでも紹介し、メディアの内側にいるわたしたちが読者・視聴者・市民の方々と一緒に既存メディアの今後を考えて行くことの一助になれば、とも考えていた。実名での運営は、やるからには新聞労連という社会的存在の団体の責任者として当然のことだと考えた(昨年4月のエントリー)。
 ことしの7月に新聞労連委員長を退任し、8月には原職場に戻った。そのころから、このブログをどうするか考えていた。9月いっぱいでMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)議長職も退任したことで一つの節目が訪れている、と今は感じている。
 このブログを通じて多くの方々からご意見をいただいたことに感謝している。本当にありがとうございました。
 ここまでの活動の記録の意味で、過去のエントリーは閉鎖、削除はせずに残しておく。トラックバックは可能だが、コメント欄は閉鎖することとした。個別のご連絡はメールでお願いしたい。
 わたし自身の立場がまた変わることがあるかもしれない。そのときには、この「ニュース・ワーカー」の運営を再開したい。

*ブログ開設以来、きょう午前11時現在までの来訪者は、exciteのカウンターでは58601件を記録した
*連絡用のメールアドレスは「自己紹介とブログ運営方針」を参照されたい
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身辺雑事 news-worker Sat, 28 Oct 2006 11:13:27 +0900 2006-10-28T11:13:27+09:00
宮古島への陸自配備と下地島空港の軍事基地化で懸念されること http://newsworker.exblog.jp/4692008/ http://newsworker.exblog.jp/4692008/ <![CDATA[ 他メディアでは報道されていないが、沖縄の県紙の琉球新報にこんな記事があった。
宮古島に陸自新基地 09年度に200人配備
 中期防衛力整備計画(中期防、2005-09年度)で明記された陸上自衛隊第一混成団(那覇、約2000人)の旅団化(3千-4千人)の一環として、09年度をめどに、宮古島に新たに約200人規模の部隊を配備させ、新たな基地建設も検討していることが3日までに分かった。将来的には600人規模まで増強する見通し。複数の政府関係者が明らかにした。陸上幕僚幹部(陸幕)も南西諸島への部隊配備検討を始めた。宮古島市には打診はないが、伊志嶺亮市長は自衛隊増強に反対する姿勢を示しており、今後地元を中心に波紋が広がりそうだ。
 今は合併で宮古島市になっているが、宮古島から船で20分ほどの伊良部島と隣接する下地島(旧伊良部町)には、民間パイロットの訓練に使われている3000メートル級滑走路を備えた下地島空港がある。同空港をめぐってはこんなことも起きている(沖縄タイムス記事)。
11日に下地島使用/米軍が届け出
 在沖米海兵隊外交政策部(G5)は六日、フィリピンでの合同演習に参加するため、普天間飛行場所属のヘリなどが県管理の下地島空港(宮古島市)を十一日に給油目的で使用する、と県空港課に届け出た。
 使用機種は、KC130空中給油機一機とCH46ヘリ八機。県の花城順孝知事公室長は六日、同外交政策部に対し「県民に大きな不安を与えており、県民は恒常化につながることを大変懸念している」と使用中止を申し入れた。

宮古島市民一斉に反発/「住民意思を無視」
 【宮古島】米軍が下地島空港を十一日に使用すると県に届け出たことに対し、宮古島市では六日、保革を超えて一斉に反発した。同空港の平和利用を検討するため、四月に推進室を立ち上げた伊志嶺亮市長は「なし崩し的な米軍の姿勢に憤りを感じる」と反対の姿勢を示し、伊良部島からも「自衛隊も含め、軍事利用は認められない」と一方的な米軍の通告を批判する声が上がった。
 「住民意思を無視した米軍の使用届に憤りを感じる」。「軍事利用に反対する伊良部住民委員会」の福島正晴委員長は怒りを抑えるような口調で語った。二〇〇五年三月に市町村合併の賛否と絡めて旧伊良部町で自衛隊誘致案が浮上した際に住民が示した反対の意思は変わらないと訴えた。

 宮古島は第二次大戦では、沖縄本島のような地上戦こそなかったものの、米軍による艦砲射撃と空襲で大きな被害を受けた。しかし、米軍基地のフェンスが延々と続く本島のような直接的な基地の圧迫がないためか、基地問題への市民の意識は本島に比べて低い、という話を聞いたことがある。それでも下地島空港の軍事利用には反対の根強い市民感情がある。
 宮古島への陸自配備は下地島空港の恒常的な軍事利用の構想とセットになったものだろう。日米の軍事一体化の一環とみていいと思う。台湾からほど近いところに、そんな軍事拠点を構えればどうなるか。日米が自ら周辺の軍事的緊張を高めるだけではないだろうか。あるいは、琉球新報記事が指摘しているように、尖閣諸島をめぐって直接、中国を刺激する。
 仮に有事になったとして、そもそも200人の陸自隊員で宮古島の市民を守りきれるわけがない。下地島〝基地〟の警備、防衛で手いっぱいだ。戦時下で軍が住民を守らない、時には住民を殺害しさえすることは、沖縄戦の歴史が証明している。
 石垣島や周辺の島々をも含めて、市民の生命財産を守るためには、いらぬ軍事的緊張を排除するしかないはず。「基地のない沖縄」「基地のない日本」へのロードマップが必要だと思う。]]>
平和・憲法~沖縄 news-worker Sun, 08 Oct 2006 01:40:48 +0900 2006-10-08T01:40:48+09:00
MIC定期総会の報告 http://newsworker.exblog.jp/4691609/ http://newsworker.exblog.jp/4691609/ <![CDATA[ 9月30日に開かれた日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の定期総会の報告。わたしが所属する共同通信労組の機関紙に掲載されたレポートを、同労組執行部の了解を得て転載する。一部を加筆修正しているが、MICの活動ぶりもお分かりいただけると思う。
労働組合は平和のための権利
 新聞労連をはじめ民放労連や出版労連など、マスコミ関連や文化、情報産業の単産(単位産業別組合)でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(略称MIC=ミック)の第45回定期総会が9月30日、東京・お茶の水の全労連会館で開かれ、筆者(美浦)が2年間務めてきた議長職を退任、新議長に新聞労連委員長の嵯峨仁朗さん(北海道新聞労組)ら新執行部を選出した。総会では、「労働組合は平和のための権利」として、「労働組合という権利を広め、そして高め、働く者の権利の侵害を許さず、自由にモノが言える社会を守り、憲法改悪と戦争を許さないために、広範な連帯と共同の先頭にわたしたちMICが立とう」とする2007年度の運動の基本方向を採択した。
 MICに加盟しているのは新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連(印刷)、映演共闘(映画演劇)、映演労連(同)、広告労協、音楽ユニオン、電算労(IT関連)の8産業9団体。組合員数は計6万人余に上る。1963年発足のマスコミ共闘が前身で40年以上の歴史を持ち、最大組織の新聞労連委員長が議長を務めるのが慣行になっている。「MIC」の略称はマスメディア(M)、情報(I)、文化(C)にちなむ。
 近年は「NO WAR!MORE JUSTICE!(平和と正義のために)」をスローガンに掲げ、平和と憲法、争議支援などを中心に活発な活動を展開。春闘や秋年末闘争(冬季一時金闘争)では、決起集会や争議組合支援行動のほか、出版社や印刷業者が集中する神保町地区の昼デモ、銀座の夜のデモ行進が恒例となっている。憲法改悪反対の取り組みでは日本ジャーナリスト会議(JCJ)と共同で昨年4月、WEBサイト「憲法メディアフォーラム」を立ち上げ、インターネット上で情報発信を続けている。
 国際交流にも力を入れており、一昨年10月にスイス・ジュネーブのILO本部で開催されたメディア産業などの国際会議に筆者ら3人を日本の労働側代表団として派遣。韓国の全国言論労組とは2年に1度、日本と韓国で交互にシンポジウムを開催しており、戦後60年の昨年は8月15日を挟んでMICの代表団40人余がソウルを訪問し、韓国のマスコミ労働者と交流を深めた。
 MIC定期総会では、執行部が1年間の活動を報告し新年度の運動方針を提起。討論では各団体から計27人が登壇した。
 教育基本法「改正」を当面の最重点課題に掲げ、憲法「改正」も公言してはばからない安倍政権の発足に対し、対抗して労働運動として平和と憲法を守る取り組みの強化を訴える発言が相次いだほか、解雇の金銭解決や労働時間規制の撤廃が焦点になっている労働契約法制論議、労働組合の組織拡大と非正規雇用の労働者の支援と組織化、労働組合の経営監視機能、メンタルヘルスの取り組みなどをめぐって活発な発言が続いた。 
 MIC総会の討論を振り返って、筆者の印象に残っているのは、団塊世代の大量退職(いわゆる「07年問題」)を控えている中で、若手組合員に対する労働組合の求心力の低下を指摘した発言だ。
  「今の若い人たちは、労働組合にうさん臭さを感じている。一方で、賃金や労働条件は会社が善意で用意してくれていると思っている。事実はそうではない。わたしたちの労働条件の一つひとつは、組合が職場の要求を吸い上げ、会社と交渉し勝ち取ってきた。組合が果たしてきたそうした役割が、組合員の意識の中に引き継がれていない」。
 この2年間、単組も含めれば計3年間、組合専従職にあった者として、内心じくじたるものを感じている。同時に、職場の一人ひとりが参加する労働組合運動をどう再構築するのかが、今や最大と言ってもいいわたしたちの課題になっていることを痛感している。
(参考)
MICホームページ
http://www.union-net.or.jp/mic/
憲法メディアフォーラム
http://www.kenpou-media.jp/
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労働組合 news-worker Sun, 08 Oct 2006 00:33:39 +0900 2006-10-08T00:33:39+09:00
現職警官の飲酒運転をめぐる2つの処分 http://newsworker.exblog.jp/4688467/ http://newsworker.exblog.jp/4688467/ <![CDATA[ 飲酒運転をめぐる公務員の懲戒処分について、静岡県知事と兵庫県知事の発言を紹介した9月27日のエントリー「『免職は死刑に等しい』『直ちに免職は行き過ぎ』~2人の知事の発言」に対し、多くの方からコメントをいただいた。何人かの方とは1週間にわたって意見の交換をさせていただいた。
 わたしが2人の知事の発言に共感を覚えるのは、ものごとは「1かゼロ」か2つに割り切れるものばかりではない以上、公務員の飲酒運転の処分にも一定の幅を残しておいた方がいいのではないかと思うからだ。飲酒運転そのものは明確に悪だ。しかし「飲酒運転は一律免職」とすれば、それは他の交通違反、法令違反にまで将来的に広がって行きかねないとの危ぐを拭い去ることができない。法令に限らず、内規まで含めてあらゆるルール違反は一発で免職、という事態に道を開きかねないことを恐れる。
 そうしたわたしの意見に対し、現に公務員の飲酒運転が後を断たない中で、最初から「飲酒運転をする人間が公務員の中にもいるのは仕方がない」との前提で、「一律免職」に批判的な発言をするのは知事としておかしい、社会の空気が分かっていない、との批判的なコメントをいただいた。知事としてまず示すべきは、いかに飲酒運転を撲滅するかであり、公務員である以上「一律免職」は当然のこと、現状は民間より甘すぎる。飲酒運転が他の交通違反などと比べて、いかに重大な犯罪行為かを考えよ、ということだ。
 少し乱暴かもしれないが、この1週間の意見の交換を要約すると、そういうことだ。
 正直に言って、わたしの考えは少し揺れている。そこにもってきて、さらに考えをあらためざるを得ないのではないかと思わされる出来事が、飲酒運転取り締まりの元締めである警察をめぐって起きた。飲酒運転の現職警官に対する富山県警と警視庁の対照的な処分だ。

 富山県警のケースの概要は、地元紙北日本新聞の記事を引用する。
9日後ようやく発表 飲酒運転警官停職6カ月 2006年10月05日
 南砺署の男性巡査長(52)が飲酒運転で摘発された問題で、県警は四日、巡査長を道交法違反(酒気帯び運転、運転中の携帯電話使用)の疑いで書類送検し、停職六カ月の懲戒処分としたと発表した。県議会などから早期に公表するよう求める声が出ていたが、発表は摘発の九日後になった。県民からは「処分が軽過ぎる」などの声が上がった。巡査長は同日付で依願退職した。
 県警は巡査長が昭和六十年にも酒気帯び運転で物損事故を起こし減給の懲戒処分を受けていたことや、調べに対し「(摘発される前にも)二、三回飲酒運転した」と話していることも明らかにした。
 調べでは、巡査長は九月二十五日、砺波市内のスーパー駐車場で日本酒三合(五百四十ミリリットル)を飲み、車を運転。高岡市内でパチンコした後、酒店でさらに日本酒を買い、運転しながら一合(百八十ミリリットル)を飲み、計十四キロ走行した。午後二時四十分ごろ、砺波市太郎丸の県道で携帯電話をかけながら運転しているのを県警高速隊員に発見され、呼気一リットル中〇・二五ミリグラムのアルコール分が検出された。言動がしっかりしていたことから酒酔い運転ではないとした。
 警視庁のケースは毎日新聞記事を引用する。
<飲酒運転>警視庁が交通執行課巡査部長を懲戒免職に[ 10月06日 12時50分 ]
 警視庁は6日、千葉県警に酒気帯び運転で逮捕された同庁交通執行課の藤崎信一巡査部長(47)=千葉県東金市油井、既に釈放=を懲戒免職にした。
 藤崎元巡査部長は先月28日、千葉県大網白里町の県道で、酒を飲んで乗用車を運転したとして、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕され、翌日釈放された。東京都内で同僚7人と飲酒し、自宅近くのJR外房線大網駅から車を運転していた。
 警察庁の酒気帯び運転の懲戒指針は「停職」か「減給」だが、(1)秋の全国交通安全運動期間中だった(2)本人の業務が交通違反の取り締まり(3)内部で飲酒運転の処分を重くするとの通知を出していた――ことを踏まえ、懲戒免職とした。
 富山県警はこんな説明もしたようだ。(地元紙富山新聞の記事を引用=リンク切れ)
摘発から九日後に事実関係を公表したことについて、岸田警務部長は、追跡捜査が 必要で発生当日の発表は適切ではなかったとしたうえで、「早いか遅いかという評価はできない。一刻も早く公表したいと考え、捜査していた」と述べた。
 問題が発覚して以降、県警は「処分決定時に公表する」との姿勢を取り続けた。県警本部には四日までに、抗議や苦情の電話が約二百本、メールが約五十通あったほか、石井隆一知事は三日に安村隆司本部長を呼んで厳正な対処と速やかな発表を求めるとともに、定例記者会見で不快感を示していた。
 停職六カ月は、県警職員の物損、人身事故のない酒気帯び運転の処分では最も重いもので岸田警務部長は「酒を飲みながら運転しており、最近の飲酒運転もほのめかすなど悪質性を十分に考慮した」と述べた。

 付け加えるなら、富山県警の巡査長には退職金1800万円が支給されるという。
 わたしが解説するまでもないと思う。富山県警も警視庁も、事故を起こしていない酒気帯び運転では「免職」の明文規定は持っていなかったのは同じだ。しかし、この処分の差はどうだろう。富山のケースは「運転中の飲酒」、言ってみれば〝酒飲みながら〟運転だ。現職警官の前代未聞の不祥事と言っていい。なのに、こういう処分しか出せないのだから、最初から就業規定で「飲酒運転はいかなるケースであれ、一律免職」とするしかないという意見が極めて説得力を持ってくると思う。「一律免職」の規定はなくとも運用で厳正に臨む警視庁のケースだけだったならば、わたしも自分の考えに確信を強めることができたかもしれない。しかし、富山県警のケースを見せつけられては、率直に言って、聞く人の耳に届く言葉をもはや見出せない。
 富山県民の怒りは収まらないだろう。1999年に神奈川県警で不祥事が相次いで明らかになったとき、わたしは横浜に在勤していた。そのときのことを思い出す。県民の怒りはすさまじく、交通違反取締りの検問でも現場の警察官たちは県民ドライバーから罵倒され続けた。因果関係は県警は認めなかったが、警察官の中途退職者が増加した。警察の現場の士気が崩壊していたのだと思う。
 富山県でも同じではないか。仕事に自覚と誇りを持っている警察官ほど、今回の処分にはやるせなさを感じているのは想像に難くない。現場の士気が崩壊すれば、飲酒運転の取り締まりの実効も薄れてしまう。飲酒運転の撲滅自体が遠のく。
 前回のエントリーにいただいたコメントの中には、飲酒運転の撲滅には、一過性のものではない継続した報道が必要とのご意見もあった。富山の記者たちにがんばってほしいと思う。富山県警に対し、県民意識とのズレを追及することを含めて。わたしたちも持続する報道のためにがんばらなければならない。
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社会経済 news-worker Sat, 07 Oct 2006 13:57:54 +0900 2006-10-07T13:57:54+09:00
お知らせ~北海道はこれでいいのか!『道政・道警・裏金報道』を考える集い http://newsworker.exblog.jp/4676736/ http://newsworker.exblog.jp/4676736/ <![CDATA[ ブログを通じて知り合った方から教えてもらったイベント。お知らせとして転載する。
北海道はこれでいいのか!『道政・道警・裏金報道』を考える集い
日時: 10月29日(日曜日)午後6時
場所: かでる2・7「かでるホール」
札幌市中央区北2条西7丁目
基調講演: 田原総一朗(ジャーナリスト)
パネルディスカッション: 山口二郎(北海道大学大学院教授)
原田宏二(元北海道警釧路方面本部長)
宮崎学(作家)
大谷昭宏(ジャーナリスト)
コーディネーター: 市川守弘(弁護士)
入場料: 1,000円
お問い合わせ: 10.29北海道を考える集い実行委員会
(TEL. 011-272-0500)
 出演者の一人、大谷昭宏さんのこちらも参考になる。]]>
メディア news-worker Thu, 05 Oct 2006 10:15:01 +0900 2006-10-05T10:15:01+09:00
共謀罪審議はどうなるだろうか http://newsworker.exblog.jp/4663354/ http://newsworker.exblog.jp/4663354/ <![CDATA[ きょう2日付けの朝日新聞朝刊と東京新聞朝刊のそれぞれ1面に、共謀罪についての日本政府の基本的なスタンスが問われる記事が掲載されていた(東京新聞)。
(東京新聞記事より)
政府、国連で『共謀罪』批判
 「国際組織犯罪防止条約を批准するには、共謀罪創設が不可欠」とする政府が、実は、国連で「共謀罪は日本の法体系になじまない」と主張し、共謀罪を導入せず条約に加わろうとしていたことが、一日、民主党や日本弁護士連合会の調査で明らかになった。共謀罪必要論を根底から揺さぶる事実だけに、臨時国会で野党の厳しい追及を受けるのは必至の情勢だ。
 国連審議を伝える外務省公電の分析で分かった。国連条約は第五条(原案当時の三条)で共謀罪や参加罪の導入に触れている。導入は義務づけではないとの条文解釈もあるが、政府は「同条で義務づけられた」と解釈している。共謀罪は英米法、参加罪は独仏などの大陸法になじむといわれ、最も狭義の参加罪は「犯罪を行わなくとも、単に犯罪組織に加入すれば罪になる」結社罪を指す。条約原案は共謀罪や結社罪の導入を促していた。

 きょうの記事が言わんとしていることの重みは、保坂展人衆院議員のブログ「どこどこ日記」の解説が分かりやすい。

「どこどこ日記」-共謀罪、驚きの「条約起草時の日本政府の主張」
 保坂議員も指摘の通り、臨時国会の衆院法務委員会の審議から目が離せなくなりそうだ。]]>
平和・憲法~共謀罪 news-worker Mon, 02 Oct 2006 22:38:54 +0900 2006-10-02T22:38:54+09:00
自己紹介とブログ運営方針(2006年10月改定) http://newsworker.exblog.jp/4663116/ http://newsworker.exblog.jp/4663116/ <![CDATA[管理人自己紹介
 美浦 克教(みうら・かつのり) 1960年福岡県生まれ。1983年に共同通信社に入社。2004年7月から06年7月まで日本新聞労働組合連合(新聞労連)中央執行委員長。04年10月から06年9月まで、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)議長。
 個別のご連絡はメールでお願いします。[email protected]

 新聞労連は、朝日、読売、毎日など大手一般紙や地方紙、共同、時事の両通信社や専門紙など全国の新聞関連の労働組合が80余り集まった日本の新聞産業で唯一の産業別労働組合です。詳しくは新聞労連のホームページをご覧ください。
 MICは新聞労連のほか民放労連や出版労連など、マスコミ関連の8産業9団体でつくる共闘組織です。詳しくはMICホームページへどうぞ。

このブログについて
 このブログは、わたし美浦克教が、新聞をはじめとするメディアとジャーナリズムの問題、あるいは労働組合運動について思うところ、感じることを表現しながら運営していきます。このブログで発信することはわたし個人の見解、考えであり、新聞労連や勤務先の共同通信社など、いかなる組織の見解をも代弁するものではないことを表明します。

 本ブログの趣旨やエントリーの内容とは無関係など、迷惑行為であることが明らかなトラックバックやコメントは、管理者の判断で削除することがあります。
 真摯な議論のためのトラックバック、コメントは歓迎です。

 インターネット上の意見交換のルール、エチケットはわきまえていきたいと思いますが、技術的に未熟ですので失礼があるかもしれません。ご容赦願います。


(2006年10月28日加筆修正)
 このブログは、わたし美浦克教が、新聞をはじめとするメディアとジャーナリズムの問題、あるいは労働組合運動について思うところ、感じることを表現しながら、2005年4月から運営しました。労組役員を退任したのを機に、06年10月28日をもって休止することとしました。
 トラックバックは可能ですが、本ブログの趣旨やエントリーの内容とは無関係など、迷惑行為であることが明らかなトラックバックは、管理者の判断で削除することがあります。
 コメント欄は10月28日をもって閉鎖しました。

「食日記」独立しました
 本ブログ「ニュース・ワーカー」に当初設けていた「食日記」のカテゴリーは別ブログに独立させました。「一生の食事回数には限りがある」へどうぞ。
 「ニュース・ワーカー」の過去エントリーはそのまま残します。]]>
自己紹介とブログ運営方針 news-worker Mon, 02 Oct 2006 22:17:16 +0900 2006-10-02T22:17:16+09:00
MIC議長を退任 http://newsworker.exblog.jp/4652983/ http://newsworker.exblog.jp/4652983/ <![CDATA[ 昨日(9月30日)、日本マスコミ文化情報労組会議(略称MIC=ミック)の定期総会があり、2年間務めた議長職を退任した。これで労働組合の役職はなくなり、1人の組合員に戻った。7月に退任した新聞労連委員長在職中も含めて2年間、多くの方々に支えていただいたことにあらためて感謝している。ありがとうございました。
 MIC総会の詳報は追ってご報告したい。]]>
労働組合 news-worker Sun, 01 Oct 2006 03:25:47 +0900 2006-10-01T03:25:47+09:00
安倍内閣が71-63%の支持率 http://newsworker.exblog.jp/4639955/ http://newsworker.exblog.jp/4639955/ <![CDATA[ 発足間もない安倍晋三内閣の新聞各紙の支持率調査が出そろった。支持率が高い順に日経71%、読売70・3%、毎日67%、共同通信65%、朝日63%。歴代2位の日経を除けば、いずれも政権発足時としては小泉内閣、細川内閣に次いで歴代3位の高支持率となった。
 朝日は安倍首相が最優先課題にあげている臨時国会での教育基本法「改正」案の賛否も同時に尋ねている。それによると「今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」が66%、「今の国会で成立を目指すべきだ」は21%、「改正する必要はない」は6%だった。安倍首相はこの民意に謙虚に耳を傾ける度量を備えているだろうか。
 新内閣の顔ぶれは、当人たちがいくら否定しようが「論功行賞内閣」「学園祭内閣」などとメディアに酷評されている。安倍総理総裁実現に尽力して功を認められた人間と、同じ発想、思想で以前から仲の良かった人間ばかりを登用したという意味だ。5人の首相補佐官も含めれば、まさにその通りだと思う。安倍氏の思想と相反する人間は排除されていくのだろう。それは己の信念を貫き通す意思の強さと見えるかもしれないが、多様な意見に耳を貸す謙虚さ、聡明さとは無縁ということかもしれない。耳当たりのいいことしか言わない人間だけで周辺を固めようとするのは、つまり「世間知らずのお坊ちゃま」ということではないのだろうか。
 昨年9月11日の衆院選挙の結果の感想として、このブログでも書いたが、かつての自民党は派閥の連合体だった。派閥間の緊張関係と合従連合が、結果として「1億総中流」と呼ばれた安定を社会にもたらした。安倍首相が敬愛して止まないという祖父岸信介元首相が退陣した1960年以降のことだ。その自民党はすっかり変わってしまったのだな、ということを今回の安倍政権誕生でも感じる。異論を受け入れない総理総裁の姿勢と、ある種の猟官運動の趣をもって党内が安倍政権へとなだれを打った様相には、やはり不安を覚える。以前の派閥政治に戻るべきだとは思わないが、以前の方がマシだったのではないか。少なくとも教育基本法や憲法9条は存続し、自衛隊はあってもまがりなりにも日本と日本人は直接、戦争に加担せずにいた。
 支持率に話を戻すと、高支持率のスタートではあるが、世論は案外と安倍政権が今後、何をやるのかを冷静に見定めようとしているのではないか、という気もしている。]]>
社会経済 news-worker Thu, 28 Sep 2006 22:02:54 +0900 2006-09-28T22:02:54+09:00
平良夏芽さん釈放 http://newsworker.exblog.jp/4633954/ http://newsworker.exblog.jp/4633954/ <![CDATA[ 沖縄県名護市辺野古地区の米海兵隊キャンプ・シュワブ前で25日に公務執行妨害の現行犯で逮捕されていた「平和市民連絡会」の共同代表で牧師の平良夏芽さんが27日、釈放された。さすがに那覇地検も、拘置延長を裁判所に請求する理由がないと判断したらしい。そもそも逮捕の必要があったかどうか。ある種の見せしめ、基地反対運動に対する弾圧と批判されても仕方がない。
 那覇地検は在宅捜査を続ける様子だが、仮に公務執行妨害罪が成立するとしても、処罰する必要があるのかどうかは別の問題。不起訴処分を期待したい。
共同通信記事
普天間移設反対の牧師釈放 那覇地検、在宅で捜査継続 [ 09月27日 18時40分 ] 共同通信
 米軍普天間飛行場の移設先のキャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)内での埋蔵文化財調査を妨げたとして、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された市民団体「平和市民連絡会」共同代表の平良夏芽牧師(44)が27日、釈放された。
 釈放の理由について那覇地検は「事実関係は明白で逃走の恐れもなく、拘置請求する必要性はない」と説明。在宅で捜査を継続するという。
 平良牧師は日本キリスト教団に所属し、移設反対派市民の中心メンバーの1人。沖縄県警によると、普天間移設反対運動で初の逮捕者。
 こちらも。ジュゴンの家・日誌。]]>
平和・憲法~沖縄 news-worker Wed, 27 Sep 2006 21:22:37 +0900 2006-09-27T21:22:37+09:00
「免職は死刑に等しい」「直ちに免職は行き過ぎ」~2人の知事の発言 http://newsworker.exblog.jp/4630126/ http://newsworker.exblog.jp/4630126/ <![CDATA[ 連日、飲酒運転の摘発の報道が続き、飲酒運転への厳罰化を打ち出す自治体の例も報道されている中で、静岡、兵庫両県の知事が、こんな発言をしている(共同通信、毎日新聞)。
「免職は死刑に等しい」 飲酒運転で静岡県知事 [ 09月25日 22時28分 ] 共同通信
 静岡県の石川嘉延知事は25日の定例会見で、飲酒運転の公務員の免職処分について「日本の雇用慣行からすると、免職はその人の職業生活上、死刑判決に等しい」と述べ、画一的な厳罰化の動きに疑問を示した。
 石川知事は「刑法の場合でも、犯した罪の状態と結果に相応の罰則をするのが鉄則。例えば酒気帯びで検問に引っ掛かった場合にオートマチックに適用するのはいかがなものか」と話した。
<飲酒運転>「直ちに免職は行き過ぎ」 兵庫県知事 [ 09月26日 22時31分 ]
 兵庫県の井戸敏三知事は26日の定例記者会見で、職員の飲酒運転を厳罰化する自治体が相次いでいることについて「飲酒運転をしたから直ちに免職というのは、行き過ぎているのではないか」と述べ、疑問を示した。飲酒運転以外の処分案件と比較した場合に「懲戒処分としてのバランスをあまりにも欠き過ぎている」と説明した。
 以前のエントリーにも書いたことの繰り返しになるが、朝日新聞記者の酒気帯び運転→懲戒解雇のケースは過酷に過ぎると思うけれども、新聞記者である、しかも警察担当記者として飲酒運転絡みの記事も書いている記者であるという一点で、わたしは懲戒解雇もやむをえないと思っている。
 ただ、公務員であれば(新聞記者は公務員ではないが)同様に厳罰を下していいのかと言えば、一律にそうだとは言えない。その意味では、2人の知事の発言もまた極めて当たり前のことだと思う。これらの発言が社会に共感を持って受け入れられるなら、その世論がマスコミ報道を少しずつでも変えていく、マスコミも報道のトーンを変えざるを得ない、ということも期待できるような気がしている。]]>
メディア news-worker Wed, 27 Sep 2006 01:17:27 +0900 2006-09-27T01:17:27+09:00
辺野古で平良夏芽さんが逮捕された http://newsworker.exblog.jp/4624311/ http://newsworker.exblog.jp/4624311/ <![CDATA[ 在日米軍再編の焦点となっている沖縄の米海兵隊・普天間飛行場(宜野湾市)の移転問題。代替基地の建設地として日米両政府が合意している名護市辺野古地区の米海兵隊キャンプ・シュワブ前で25日、反対運動の市民運動グループと警備の警官隊が衝突し、「平和市民連絡会」の共同代表で牧師の平良夏芽さんが、公務執行妨害の現行犯で逮捕された。
 平良さんは、新聞労連の活動で辺野古を訪れた際にお話をうかがったことがある。イラク戦争に反対し、子どもたちの援助のために戦火が止まないイラクを訪問したこともある。そのイラクに沖縄から海兵隊が派遣されて以後は、沖縄から人殺しの部隊を出させてはいけないと、辺野古の地で普天間基地移設に反対する活動を続けている方だ。その活動も絶対に暴力的な手法は用いなかった。
 報道によれば、名護市教育委員会が二十五日午前、移転候補地の埋蔵文化財の分布状況などを確認する現地踏査に着手。これを沖縄県警機動隊が警備していた。平良さんは体を張って市教委調査団の車を止めようとしたと伝えられるが、果たして逮捕が必要な事案なのかどうか。警察官を含めて目撃者は大勢いるし、平良さんに逃亡の恐れがあるとも思えない。この先、送検されるのか、起訴を含めて刑事処分が下されるのか。
 サイトで見る限り、地元紙は大きく報道している(沖縄タイムス、琉球新報)。共同通信も記事を配信しているが、沖縄の基地の現場で何が起きているのか、県外にも広く知られるべきだと思う。
 沖縄タイムスの記事の一部を引用する。
流血に悲鳴と怒声/なすすべない反対派
調査団員表情かたく
 【名護】「頼む。この現状をみんなに知らせて!」。米軍普天間飛行場移設問題で初の逮捕者が出た。二十五日午前、警察車両で連行される平和市民連絡会の平良夏芽牧師(44)は、顔や手から血を流しながら叫んだ。名護市キャンプ・シュワブ内の文化財調査で、同市教育委員会調査団の車両を止めようとした牧師は公務執行妨害で逮捕された。この日集まった反対派メンバー約二十人のうち数人が調査団の車の前に身を投げ出すなど必死に止めようとしたが、倍近い人数がいる警察に次々と排除された。現場は怒号と悲鳴が入り交じり、騒然となった。
 午前十時、名護市教育委員会文化課のワゴン車がキャンプ・シュワブ第一ゲートに到着すると、反対派市民らが話し合いを持つため、車を止めようとした。だが、これまでとは違い、職員が乗った車の窓は閉じられたまま。警察が反対派を制する中、職員らは緊張した面持ちで基地内に入ろうとした。
 反対派住民らは車の前に身を投げ出したり、ゲート入り口の路上に座り込んだりして抵抗。警察官らが住民らの手足を抱え、力ずくで排除すると、「痛い」「止めて」などの怒声や悲鳴が響いた。
 車の下にもぐりこんだ平良牧師は顔などを負傷。公務執行妨害の現行犯で警察に連行された。
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平和・憲法~沖縄 news-worker Tue, 26 Sep 2006 01:31:26 +0900 2006-09-26T01:31:26+09:00
憲法と教育基本法に忠実な司法判断が出た http://newsworker.exblog.jp/4612692/ http://newsworker.exblog.jp/4612692/ <![CDATA[ 東京都教委が都立学校の教職員に、国旗国家への起立・斉唱を義務付け、校長の職務命令に従わない場合は処分の対象になることを根拠付けた通達をめぐって、東京地裁は21日、違憲違法との判断を示し、原告の都立学校教職員401人が全面勝訴した(毎日新聞記事)。
国旗国歌:学校強制に違憲判決 教職員401人が全面勝訴
 卒業式や入学式などで、日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教委の通達は違憲違法だとして、都立学校の教職員ら401人が義務がないことの確認などを求めた訴訟で、東京地裁は21日、原告全面勝訴の判決を言い渡した。難波孝一裁判長は「通達は不当な強制に当たり、憲法が認める思想・良心の自由を侵し、教育基本法にも違反する」と指摘。教職員らに従う義務がないことを確認したうえ、通達違反を理由にした処分の禁止や1人当たり3万円の賠償も都と都教委に命じた。都側は控訴する方針。
 判決は、国旗国歌の生徒への指導が有意義であることを認めつつ、懲戒処分などを背景に教職員に強制するのは「行き過ぎた措置」と明確に断じ、教育現場での日の丸、君が代を巡る訴訟で初めて違憲判断を示した。処分の「事前差し止め」を認めた判決は異例。全国各地の同種訴訟に大きな影響を与えそうだ。
 争われたのは、都教委が03年10月23日に都立の高校や盲・ろう・養護学校長あてに出した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」。都教委は通達に基づき、教職員に式典での起立などを命じる職務命令を出すよう校長に指示した。
 判決はまず、日の丸、君が代について「第二次大戦までの間、皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ、現在も国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない」と指摘。「掲揚や斉唱に反対する教職員の思想・良心の自由も、他者の権利を侵害するなど公共の福祉に反しない限り、憲法上保護に値する」と位置づけた。
 (中略)そのうえで「通達や都教委の指導、校長の職務命令は、教職員に一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するに等しい」として、教育基本法10条1項で定めた「不当な支配」に当たり違法と判断。「公共の福祉の観点から許される制約の範囲を超えている」として、憲法19条の思想・良心の自由にも違反すると結論付けた。
 憲法と教育基本法に忠実な判断を示した判決として、高く評価したい。

 言うまでもなく、憲法は国民の諸権利を定めている。国民の諸権利を権力の側が侵害することがないように、保護されるべき権利の数々を明文化したものだ。憲法の基本的な性格は、権力の側を縛るものといっていい。99条に独立の条文として「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」として、公務員の尊重・擁護義務を規定しているのはこのためだ。
 日の丸・君が代がどの程度「国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められ」ているかは、また別の問題だと思うが、仮に国旗国歌としての価値を認めたくない人が社会の圧倒少数であったとしても、その人たちの内心の自由はやっぱり保護されるべきだと思う。外形的に強制力を伴って起立、斉唱を迫られる、あるいはそう教え込まれるのであれば、内心の自由の侵害ではないか。
 この判決に対しては評価の一方で、「学校現場の実態を見ていない」「これでは公教育は成り立たない」との批判も出ている。入学式や卒業式などの学校行事は整然かつ粛然と行われるべきであるのに、起立・斉唱に反対する教員らがそれを乱している、これらの教員らは公務員の服務義務に反しているという趣旨だろう。それは学校行事の運営の問題であって、憲法上の権利擁護の問題とはまったく異質、次元が異なる問題だと思う。これもまた言うまでもないことだが、日本は立法、行政、司法の三権が分立している。「学校の管理」をめぐる行政権の行き過ぎを、裁判所が司法権の行使として、憲法と教育基本法に照らして指摘したのだから「実態を見ていない」「公教育が成り立たない」という批判は筋が違う、裁判所に向けられる批判としては的外れな気がしている。
 憲法、教育基本法に照らして、問題は「懲戒処分という外形的な強制力を伴うか否か」に絞られると思う。卒業式や入学式で日の丸を掲げ、君が代を流したいなら、起立したい人、歌いたい人だけが起立し、歌えば済む話だろう。そうしたい人を止める権利もだれにもないのだから。そうした学校行事の運営は可能なはずだ。そもそも1999年に成立した国旗国家法も、教育現場などでの強制は前提としていないはずだ。
 この東京地裁判決をめぐっては、「踊る新聞屋-。」さんの「こんな判決を書いた裁判長の今後が気になる」のエントリーが、別の視点を指摘されていて興味深い。つまり、行政権の行き過ぎをとがめるような判決を出した裁判官は、その後の人事で報われないケースがままあるという話なのだが、わたしの司法取材の経験からも、そういうことはあると思う。
 折りしも教育改革を掲げる安倍政権が発足しようかという時期の判決だ。安倍氏の掲げる改革とは、教育基本法を変えて教育を政府国家の管理下に置こうというものだ。教育基本法が憲法の理念を教育現場で具現化する役割を負っていることを考えれば、これはプレ憲法「改正」と言ってもいい。その指向に真っ向から反する判決だけに、難波裁判長は文字通り「法と良心」に、とりわけ裁判官としての「良心」に忠実であろうとしたのだろうと想像する。
 「難波判事が人事で不利益を被らないよう、裁判所人事を注目しているぞ、とせめてアピールしておこう」は、「踊る新聞屋-。」さんと全く同感だ。]]>
平和・憲法 news-worker Sun, 24 Sep 2006 10:39:33 +0900 2006-09-24T10:39:33+09:00
不明の中国新聞松田記者が一刻も早く見つかることを願う http://newsworker.exblog.jp/4609710/ http://newsworker.exblog.jp/4609710/ <![CDATA[ 一つ前のエントリーで書いた朝日新聞記者の酒気帯び運転もそうだが、この1週間の間に「新聞記者」という仕事について考えざるをえない出来事がもう一つあった。台風13号による大雨の中を16日夜、マイカーで被災現場の取材に向かったまま行方不明になった広島の中国新聞記者、松田高志さん(27)のことだ。
 ニュースとは何か、と言えば、答えの一つに挙げることができるのは「非日常」だ。災害はその典型の一つであり、戦争が「最大のニュース」と言われるのも同じことだ。だから職業としての新聞記者は、本来的に危険に近づくことを避けられない。
 危険が予想される取材では、事前に考えうる限りの対策を取ることが鉄則になっている。豪雨の中を夜間、マイカーで取材に向かったことは適切だったのか。検証は必要だが、今は一刻も早く、松田さんが見つかることを願っている。]]>
メディア news-worker Sat, 23 Sep 2006 21:41:23 +0900 2006-09-23T21:41:23+09:00
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