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バイデン暴露記事の拡散ブロックするツイッターに非難殺到 CEOは誤り認めたが・・・

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
「一見紳士で優しい祖父像。だが叩けば埃が出る」と揶揄されるバイデン候補。(写真:ロイター/アフロ)

大統領選を2週間後に控え、再びオクトーバー・サプライズが起きた。

ニューヨーク・ポスト紙が今月14日、民主党ジョー・バイデン候補と息子のハンター・バイデン氏に関わるある「暴露記事」を独占入手しスクープしたところ、SNS上で大騒ぎとなった。

米ツイッターとフェイスブックが、瞬く間に拡散された暴露記事の投稿を突然削除したり、拡散しているアカウントを凍結するなどしたのだ。

当然のごとく、記事の拡散に乗り出したトランプ陣営の公式アカウントやホワイトハウス報道官、ケイリー・マッケナニー氏のアカウントも凍結された。これには共和党も猛烈に反発した。

問題の暴露記事とは?

バイデン氏が副大統領だった5年前、息子のハンター氏が当時、取締役をしていたウクライナのエネルギー企業、ブリスマ(Burisma)の幹部に父親のバイデン氏を紹介した証拠を示すものだった。これまで「息子と海外での取引について話したことはない」と主張し続けていたバイデン氏の発言を覆すものだ。

また記事には、ハンター氏が(裸で?)クラック・コカインとされるものを吸っている写真も掲載されている。

それらのメールがなぜ今になって公になったかというと、パソコン修理店から昨年回収されたラップトップが実はハンター氏が所有していたもので、その中にメールが残されていたようだ。修理店オーナーがFBIに通報し、その情報を同紙が独占入手したもの。

ニューヨーク・ポストの暴露記事

  • 記事にあるハンター氏にあてられたメールには、「ワシントンDCへのご招待とお父さんのご紹介をありがとう」とある。

その真偽についてはFBIが調査中だ。だがSNS2社は、内容に信憑性がないフェイクニュースと扱ったのか、はたまた民主党に不利になるものは邪魔だとしたのか真意は不明だが、件のブロック措置に至った。

ツイッターCEO「容認できない」と謝罪

アクセスを制限するだけでなくリンクもブロックし、よりアグレッシブに排除したのはツイッターだった。しかしCEOのジャック・ドーシー氏はこのような声明を出している。

「説明もなしに、このような措置を取ったのは間違いだった」

  • ドーシー氏は(記事の)URLのブロックについて「我々のコミュニケーション不足により、(スタッフが)説明もなくそのような措置を取ってしまったことは(CEOとして)容認できない」「誤りだった」と認め、ブロック規定を更新したことを認めた。

「ツイッターは大きな誤りをした。大手テック企業が保守派と闘っているという右派の根拠のない陰謀論に対して、火に油を注ぐ形となった」と、ビジネス・インサイダー

説明もなく、現在は一般ユーザーのみブロック解除

ユーザーからは2社の対応について、「言語道断」「大企業による権力の乱用」「ソーシャルメディアは選挙結果を操作しようとしている」などの批判の声が上がっている。

15日にはツイッターの一般ユーザーが、同記事のツイートやリツイートをできるようになったが、同紙の公式アカウントは「ハンター氏に関する6ツイートを削除するまで」引き続きロックされたまま。

これら一連の騒動により、多くの人が再び記事を拡散、意図せず大きな関心を集めることとなった。しかしツイッターからは何も説明がないままで、なんとも後味が悪い。

Updated: Oct 21, 2020 1週間も同紙のツイッターアカウントはロックされたまま)

ニューヨーク・ポストは「2つのSNSで、259万人のインタラクション(いいね、コメント、シェア)を発生させた」と報じている。

ツイッターは最近になって、新型コロナを軽視するトランプ大統領のツイートをアグレッシブに削除する行動に及んだ。19日にはホワイトハウスの科学顧問、スコット・アトラス氏によるマスクの効果に疑問を呈するツイッターの投稿もブロックしたばかり。

政治に介入し検閲を強化しようとしているSNSのあり方が今、問われようとしている。

  • 記事の一部を修正、加筆しました。

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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