客引きの役目を終えつつあるコンビニの雑誌たち
コンビニでは雑誌が売れなくなりつつある
コンビニでは欠かせない商材の一つ、雑誌。コンビニで少年・少女、青年向け定期発刊誌を購入した経験がある人は多いはず。また、コンビニに足を運ぶ際、外から立ち読み客が見えることで、ある種の安心感を覚える人もいるだろう。コンビニ側にとって雑誌は、来客動機の高い商材としてだけでなく、店舗に繁盛している状況を演出させる効果も持つ、重要な存在だった。
しかしコンビニでは雑誌が売れなくなりつつある。雑誌全体の不調も一因だが、それ以上の下落スピードでコンビニでのセールスは落ち込んでいる。
原因は複数考えられる。思い当たるものを列挙すると、
・雑誌そのものの娯楽における立ち位置の低下
・外出時における暇つぶしの対象の立場をモバイル端末に奪われた
・コンビニで販売される機会が多い雑誌(専門誌)の不調
・コンビニでしか買えない雑誌の類の減少
・コンビニで販売されるタイプの雑誌における、付加価値や情報そのものの陳腐化
・成人向け雑誌の販売スペース縮小、取扱の中止
・インターネット通販の普及に伴う、コンビニでの雑誌購入の必然性の低下
などが挙げられる。雑誌そのもののコンビニでの販売はコンビニの生誕と同時に始まったものであるが、時代の流れについていけなくなった感はある。
最初に足を運ぶが、特に無くても困らない
コンビニにおける雑誌の立ち位置の低迷は、コンビニ利用者に対する調査結果からも明らか。コンビニに来店をして最初に足を運ぶ場所としては上位にあるが、「コンビニから無くなったら困るもの」では順位は低め。食品やスイーツなどはともかく、チケット・コンビニ端末よりも下位層にある始末(以下2グラフはマルハニチロホールディングス調べ)。
さらにコンビニを利用する、選択する際のポイントとしても、「本・雑誌の充実」という項目はほとんど回答者が居ない(以下グラフはリサーチバンク調べ)。
コンビニ利用者にとって、本や雑誌は別に充実していなくてもかまわない、本や雑誌がコンビニにとって、十分な集客アイテムには成りえない現状を再認識できる。
「立ち読み効果」が逆効果と認識されるように
コンビニに雑誌が置かれる理由の一つは、利用客が立ち読みをすることで、店内に客がいることを店外からも知らしめ、呼び水的な効果を期待する面にあった。しかし最近ではその効用は他のアイテム、例えば淹れたてコーヒーやイートインコーナー、数々のエンタメアイテム(キャラクター系くじ)に十八番を奪われつつある。
さらにマナーの低下もあり、他の利用客に迷惑をかけるとの理由から、少年・青年雑誌そのものを雑誌コーナーから取り払い、レジで直接販売するというコンビニも登場するようになった(少年・青年雑誌の無いコンビニ雑誌コーナー)。
携帯電話、特にスマートフォンの浸透に伴う雑誌そのものの娯楽性の相対的低下(通勤・通学電車内で利用客が何をしているかを見れば一目瞭然である)も一因だが、コンビニにとって雑誌がかつてのような「客寄せアイテム」としての価値を見出しにくくなっている、そして実際に売れ行きも低迷している事実は否定しようがない。
コンビニから雑誌コーナーが無くなることはさすがにないだろう。しかし、今後さらにその規模を縮小する、ウェイトが小さくなることは避けられまい。一方で雑誌業界サイドから見れば、小規模書店が相次ぎ閉店する中、コンビニは重要な販売ルートの一つであるだけに、由々しき事態であることは言うまでもない。
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