AKB48グループの卒業ラッシュに巣立った元メンバーたちの2024年は? スタッフと結婚や起業も

昨年、AKB48グループでは「卒業ラッシュ」が起こった。1年間で卒業発表をしたメンバーは84人。巣立った彼女たちは今年、どんな活動を展開したのか。ピックアップして追ってみた。
32歳までアイドルを続けた柏木由紀は堅調
2023年に卒業発表が相次いだ中で、最も話題になったのは柏木由紀だ。AKB48の3期生として2007年に加入。黄金期からの人気メンバーで、同期の渡辺麻友ら神7が全員卒業した後もグループの屋台骨を支えてきた。今年4月まで歴代最長の17年、32歳までアイドルを続けた。
女優志向はなく、卒業後もバラエティを中心にテレビに多く出演している。11月だけでも『ミュージックジェネレーション』、『酒のツマミになる話』、『踊る!さんま御殿』、『NHKのど自慢』、『クロナダル』などのほか、『5時に夢中!』、『正義のミカタ』、『MUSIC X』といったローカル局やBSの番組にも。
配信シングルやメイク本の発売、コスメブランドのプロデュース、「ヤングジャンプ」の表紙水着グラビアに、AKB48時代から続けているYouTubeチャンネルも週1ペースで更新と、活動は変わらず精力的で多岐にわたっている。
渋谷凪咲は女優業を広げ、中井りかは結婚
グループ時代から個人活動の多かったメンバーでは、バラエティ力の高い元NMB48の渋谷凪咲が『DayDay.』や関西ローカルの『大阪ほんわかテレビ』、『かまいたちの机上の空論城』、『よ〜いドン!』のレギュラーを続けている。
加えて、今年は初主演映画『あのコはだぁれ?』が公開され、ドラマ『離婚弁護士スパイダー』でメインキャスト。来年1月からは『地獄の果てまでつれていく』で、自身のフワフワしたキャラクターのまま平然と殺人を繰り返す役を演じる。

一方、バラエティでの毒舌キャラで「炎上クイーン」と呼ばれていたのが元NGT48の中井りか。『今日から友達になれますか?』のMCなど一時はレギュラーも多かったが、昨年8月に卒業後は充電期間に入り、今年1月に「週刊プレイボーイ」のグラビアで活動を再開。3月には結婚を発表した。
相手はレギュラー出演した『青春高校3年C組』のスタッフだったテレビ東京のディレクター。9月に『オールナイトフジコ』に出演した際には、第一子の妊娠を発表しつつ、「旦那が森香澄さんたちと飲み会に行ったのを黙っていたことにムカついて、お皿を投げて怒りました」と夫婦生活をネタにしていた。

HKT48時代を超えて躍進する田中美久
卒業後に活躍がより目覚ましくなったのは、元HKT48の田中美久だ。2013年に小6でグループに加入。同期で同い年の矢吹奈子との“なこみく”で人気を博し、センターも務めた他、在籍中から個人でグラビアにも乗り出していた。
昨年12月に卒業後、今年3月から主演したドラマ『シンデレラ・コンプレックス』では、イケメン教師を誘惑する狂気じみた地雷系JKという役どころで、直近までアイドルだったと思えないほど、振り切った演技を見せた。
その後もドラマ出演が相次ぎ、放送中の『3年C組は不倫してます。』ではまた教師と不倫する役で、主人公らの高校生不倫にも裏で関わり、ストーリー転換のカギを担っている。
9月に発売した2nd写真集『気ままに。』では、自ら望んでアイドル時代はなかった大胆カットも盛り込み、重版がかかった。雑誌グラビアもいっそう増えて、最近でも「ヤングチャンピオン」、「ヤングアニマル」、「FLASH」、「少年マガジン」と表紙を飾るなど、「令和のグラビアヴィーナス」の呼び名が高い。さらに『上田と女が吠える夜』、『ラヴィット』などバラエティでも目につき、活動が広がっている。

グラビアでは元NMB48の本郷柚巴も大活躍中。2015年の加入から昨年6月の卒業まで、選抜メンバーに選ばれたのは一度だけで、3回参加した選抜総選挙もすべて圏外。ただ、抜群のスタイルは注目されていて、卒業後に雑誌で引っ張りだこに。今年は「週刊プレイボーイ」、「少年チャンピオン」、「ヤングマガジン」、「FLASH」、「FRIDAY」などで表紙を実に30回も飾っている。
本田仁美は韓国から三度目のデビュー
他にセンター経験者では、元AKB48で日韓合同オーディションからIZ*ONEでも活動した本田仁美が、1月の卒業後に再び韓国へ。東方神起のメンバーだったジェジュンがプロデュースする日本、タイ、韓国混成の7人組ガールズグループ・SAY MY NAMEのリーダーとして、10月に三度目のデビューを果たした。
IZ*ONEでの活動期間にコロナ禍があり「不完全燃焼に思う部分があった」と、韓国で再チャレンジ。抜群のダンス力を糧に、世界進出を視野に入れているようだ。
NGT48で2回センターに立った本間日陽は、「女優を目指す」と宣言して卒業し、5月放送のドラマ『Believe』3話にゲスト出演。木村拓哉が演じた逃亡中の主人公を裏切る役で話題を呼んだ。その後、『ひだまりが聴こえる』、『嗤う淑女』とドラマが続き、「キューピーコーワαチャージ」のCMにも山田裕貴と共に出演している。
事務所を離れたセンター経験者たち
STU48でセンターを7曲で務めた瀧野由美子は、5~6月にサンシャイン劇場で上演された舞台『湯を沸かすほどの熱い愛』に出演。2016年に数々の映画賞を受賞したヒット作の舞台化で、映画では杉咲花が演じた娘役。10月からも舞台、音楽劇と出演が続いた。
HKT48でセンター2曲の運上弘菜は昨年10月に卒業後、1年近く普通の生活をしたのち、9月発売の「週刊プレイボーイ」のグラビアで復帰。「卒業して、あまり芸能のお仕事をやろうと思ってなかったんですけど、待ち望んでくれているファンの方が多くて」と語っていた。現在、三越劇場で上演中の初の舞台『ひと』にヒロインとして出演中。なお、瀧野も運上も事務所には所属せずに活動している。
初の外国人や史上最長で選抜入り後の去就
AKB48初の外国人メンバーだった台湾出身の馬嘉怜(まちゃりん)は、今年2月の卒業を機に真楪伶と改名。7月に1st写真集を発売した他、舞台出演や自身で手掛けたキャラクター・ぱみぃとヴィレッジヴァンガードのコラボグッズの販売も。卒業発表から1年後の11月30日には、事務所との契約満了と独立を発表した。
2011年にSKE48に最年少11歳で加入し、妹キャラで人気を呼んだ江籠裕奈は、在籍中の2022年にソロシングルをリリース。昨年12月に卒業後、アーティストとして本格始動し、今年はシングル2枚に1stアルバムを発売。東京と名古屋でライブも行った。10月からはFM AICHIで『TAKE ON ENERGY MUSIC』のパーソナリティも。
AKB48卒業後にキャスター系のセントフォースに入った吉川七瀬は、4月から『開運!なんでも鑑定団』で出張鑑定コーナーのアシスタントMCに。地元の千葉テレビの『モーニングこんぱす』で水・木曜のお天気キャスターも担当している。
2022年発売のAKB48のシングル『久しぶりのリップグロス』で、史上最長のデビュー10年10ヵ月で初めて選抜入りした茂木忍は、今年1月に卒業。同月に発売の写真集のタイトルが『どこへ行けば会える?』で、翌月には事務所の退所と芸能界から離れることを報告。そこで更新が止まったSNSだけが残されている。
新たなグループでアイドル継続も
卒業後もアイドルを続けている元メンバーもいる。元STU48の田中美帆と川又あん奈はそれぞれ料理学校、大学に通っていたが、揃って新生ラストアイドルから改名したmy favに8月に加入した。
同い年で連絡を取り合いながら進路について考えていた折りに、同じく元メンバーだったスタッフから声が掛かり、復帰を決めたという。
AKB48のチーム8の北海道代表で屈指の人気者だった坂口渚沙は、AKB48のディレクターを務めていた湯浅順司氏が設立の事務所に入り、オーディションで選ばれたメンバーと共に新グループ・LarmeRを結成。1月にライブ活動を開始し、10月から全国9ヵ所を回る全国ツアーを開催中だ。
元NMB48の浅尾桃香は、橋本環奈の再来と言われる「甘いものつめあわせ」の中川心とのユニット結成を10月に発表。募集中の新メンバーを加えて、来年デビューの予定という。
昨年11月にデビューしたアイドルグループ「∴ヒロイン転生」のリーダー・星乃宮せなは、元AKB48の石綿星南。かわいさに全振りした方向性で、毎週末にイベントでライブを行っている。
コーチング会社の設立や事務所スタッフに転身も
変わった進路としては、元AKB48の大竹ひとみは「アイドルになるずっと前から興味を持っていたお仕事があります。大学卒業と同時にその勉強を始めました」と卒業発表し、1年後の今年10月にビジネス&パーソナルコーチングの株式会社「insieme」を設立。代表取締役に就いた。
国際コーチング連盟(ICF)認定プログラム受講とのことで、「より良い未来を描く伴走者として、一人ひとりが持つ可能性を最大限に引き出すコーチであり続けます」と謳っている。

元SKE48の福士奈央はグループ運営会社のゼストに社員として入社。2021年に卒業して宣伝・広報を担当している竹内彩姫に続くセカンドキャリアだ。
チーム8の島根代表だった奥原妃奈子は在籍する國學院大學で「國學院Contest2024」にエントリー。ファイナリストから準グランプリに選ばれた。公式サイトのプロフィールなどではAKB48での経歴には一切触れてなかった。
イラストレーターとしてオンラインショップを
元HKT48の小田彩加は芸能界から離れ、特技を活かしてイラストを中心にクリエイターとして活動している。グループ時代から個展を開いたり、コラボ商品のパッケージデザインを手掛け、現在はオンラインショップを開設。はぴずきんちゃんというキャラクターをあしらったバッグ、Tシャツ、シューズなど多彩な商品を販売している。
劇場公演やコンサートを撮影した写真を配信していた元AKB48の下口ひななも、卒業後はフォトグラファーとしての活動が中心に。
ほか、いわゆる中堅だった元メンバーは、舞台やファンイベントなどで地道に活動していることが多い。全盛期でも「元AKB48」の肩書きがいつまでも効力を持つわけではなかった。イチ芸能人としてのシビアな闘いは続き、個々の人生で芸能界に残り続けるのが必ずしも正解ではないだろうが、それぞれの“アイドル後”に実りがあることを願いたい。