アマゾンの倉庫で見たAI仕分けロボット、50万人の職を奪うのか
米アマゾンは22日、人工知能(AI)を搭載した新型ロボットを物流施設に導入すると発表した。AIの判断で荷物を仕分けて運ぶ。人間がやっていた作業を効率化するが、多くの雇用を奪うのではないかという疑念は高まっている。 【写真】アマゾンの巨大倉庫…人が商品を運ぶ姿が目立つ シリコンバレーにあるアマゾンの倉庫で開かれた最新技術の発表会。1日に平均約9万個の商品を仕分ける巨大倉庫で発表された目玉は、AIが自律的に制御するロボットだった。 新型AIロボット「ブルージェイ」は、商品を箱から出し入れしたり、複数の箱に分散している商品を一つにまとめたりする。これまで3種類のロボットを使っていた仕分け作業を1台で担わせることができる。現在はサウスカロライナ州の拠点でのみ使っているが、今後は数千台を各地に導入したいという。 ■衝撃的な内部資料の内容 また、倉庫や生産ラインの稼働状況のデータを統合して、人をどこに移すべきかといった人員配置や機械の稼働率を調整するなど、最適な対応策を提案するAIも発表した。 開発者や幹部たちが重ねて強調していたのが、「人間中心」「人を支える」という言葉だった。「知能は人間にしかない」(開発幹部)として、AIやロボットはあくまでも人間の補助であると繰り返した。 背景にあるのは、米紙ニューヨーク・タイムズの衝撃的な報道だった。アマゾンがAIロボットによる効率化で、2年後には米国で16万人以上の雇用を削減できるとする内部文書を作成していた、という内容だ。ロボットで業務の75%を自動化することを目標とし、2033年には50万人以上の雇用を置き換えるという。アマゾン広報は「(引用された資料は)一つのチームの視点を反映しているもので、戦略全体を代表するものではない」と認めていない。
朝日新聞社
