ミツバチ「消失」でなぜ農作物が危ないの?/木暮太一のやさしいニュース解説
ゲリラ豪雨に竜巻。記録的な猛暑など、地球環境の変化を肌で実感するほどになっています。そんな中、虫にも変化が出ています。 かつて2007年から2008年にかけて米国では授粉用に飼育されているミツバチの3割以上が「姿を消した」。そして日本でも同様の現象が起きています。
被害額は2億8千万円以上
愛知県では昨年、働きバチが巣から消え、2~3カ月後には全滅する現象が確認されました。日本養蜂はちみつ協会によると、こうした現象は昨年、国内の9830のミツバチの群れで起きており、被害額は2億8千万円を超すとのことです。 働きバチが、幼虫や女王バチを残したまま“家出”をし、そのまま戻らなくなる「蜂群崩壊症候群」は1990年代に入ってから世界各地で頻発し、2007年までに、じつに北半球のミツバチの4分の1が消失したとも言われています。 原因として、最近疑われているのが1990年代から世界で急速に普及した農薬(ネオニコチノイド)です。効力が高く、効果が長持ちするため国内では農業の現場だけでなく家庭でも殺虫剤として多用されている成分だそうです。 農薬が散布された畑で蜜を集め、巣に戻る。それをみんなで食べているため、被害が「一族」に広がっているということです。 ―――「農薬かぁ……」 ただし、まだ科学的には、これが原因であるという立証はされていません。農薬が原因であれば、以前から(むしろ以前のほうが)大きい被害が出ていておかしくありませんね。また、ハチミツの中から農薬が検出されたという事例はないようです。 とにかく「ミツバチが忽然といなくなった」のは事実で、非常に不気味な現象です。 ―――「とにかく、このままではハチミツが取れなくなっちゃう!」 そうですね。1ポンド(453g)のハチミツができるのに、ミツバチは200万回、花に「取りに」行っているようです。距離にして8万キロという調査が出ています。途方も無い作業ですね。そして、ミツバチの数が減れば、当然ハチミツ生産量が減ります。 これも非常に大きな問題ですが、さらに、もっと深刻な影響が起きそうなのです。