「日産エルグランド」は14年間もフルモデルチェンジしていない…苦境に立つ「技術の日産」に感じるもったいなさ
日産自動車が苦境に陥っている。自動車ジャーナリストの小沢コージさんは「そこまで悲観する内容ではない。とはいえ、全体的に商品戦略が弱いのは否めない」という――。 【写真】カルロス・ゴーン氏 ■「利益9割減、9000人カット」の日産は大丈夫なのか ほぼ1カ月前の11月7日、「利益9割減で9000人カット」の衝撃的ネガティブニュースが世間を駆け巡った日産。今やそれを理由に「日産はヤバい」とか「倒産⁉」とか「ホンダと合併」とかあらゆるテキトー悲観論が乱れ飛んでおります。 かくいう小沢も動画で「サクラが(今年に入り)売れてない」をやったらアッという間に20万回再生しまして、つくづく他人の不幸は蜜の味と言いますか、人間の悲しいサガを思い知らされます。 同時に日産勤務の知り合いが「小沢さん、俺これで3度目だよ」と言ったのが印象的。そう、1999年の「日産リバイバルプラン」と2008年のリーマンショックと今回の2024年度上半期決算です。いずれも社員持ち株が暴落。焦ったのはもちろん「社内連絡ではなくニュースで事態を知ったのが一番ショックだった」とのこと。そりゃそうですよね。周りや他人にいきなり自分の不幸を指摘されるだなんて。 ただし、冷静に見ると日産リバイバルプランでカルロス・ゴーンが来た時やリーマンショック時とは規模感はかなり異なります。 リバイバルの時は有利子負債2兆円超に、1999年度に6844億円の純損失。連結ベースでの人員削減2万1000人で、日本でも村山工場(東京都武蔵村山市、立川市)を閉鎖しました。リーマンショック時は、2009年3月期の連結決算で2337億円の赤字でした。 ■自ら問題を公表できるだけマシ ところが今回は表だった大きな負債はありませんし、一応赤字は第2四半期単独の純利益マイナス93億円ぐらい。人員カットはしても工場閉鎖は言われていませんし、来年3月の年度決算も現状見通しでは1500億円の黒字。なにより直近5年の決算を見るとコロナで赤字に転落しましたがその後回復傾向にありました。 2018年度は黒字で、2019年度は営業利益405億円の赤字、2020年も営業利益1507億円の赤字でしたが、21年からは再びプラスに転じ営業利益2473億円。22年も3771億円、23年も5687億円の黒字となりました。 もちろん来年3月の決算がどうなるかわかりませんが、なにより日産は、コロナ禍はもちろん08年リーマンショック後の赤字も乗り切っているのです。 来年すぐさまダメになるかって考え過ぎです。もちろんここ半年で抜本的な対策だったり、ヘタすると経営陣の交代をも含む改善策を打ち出さないと株主は黙っていないと思いますが、今回は“プチセルフリバイバルプラン”というか、自ら問題を公表できるだけ前向きなのではないかと。なんとか乗り切れると勝手に期待しているのです。