「将棋の対戦表を破られ、トイレを流すのに許可が必要…」人気棋士・ハッシーが抱えていた“複雑な家庭環境”、殺人未遂で勾留中に届いた「親からの手紙」【橋本崇載被告・公判】
「ハッシー」の愛称で親しまれた元将棋プロ棋士の橋本崇載被告が2023年7月、元妻であるAさん、その父親であるBさんの2名に対する殺人未遂と住居侵入の疑いで逮捕・起訴された事件。9月22日より大津地裁にて裁判員裁判の公判が行われ、10月2日に懲役5年(求刑懲役10年)の実刑判決が言い渡された。 【写真】犯行前、ホストにも挑戦していた金髪姿のハッシー。親権に関する自暴自棄なツイート内容も
判決の理由として、「被害者に落度は認められず酌量の余地なし」など厳しいものであった。その一方で、求刑よりも刑期は半分になった。 弁護側は「事件当時、橋本被告は心神喪失か心神耗弱状態だった」と主張していた。9月25日の公判では、橋本被告の精神鑑定書を作成した医師が証言台に立ち、橋本被告の知られざる生育歴や自殺未遂の過去について、赤裸々に明かしたのだった。裁判ライターの普通氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
二度の自殺を試みていた橋本被告
橋本被告の精神鑑定書を作成した医師(以後、医師)が証言台に立った。捜査機関による供述調書をはじめとした各証拠に目を通し、多数の面談を重ねた上で、橋本被告のことを適応障害の慢性化にあたる気分変調症であると診断した。その特徴として、環境の変化への適応や順応が難しい、などがあるという。 医師が面談などで把握した内容をもとに、橋本被告の生育歴を証言していく。橋本被告は幼少期、転勤族だった親の影響で周囲になかなか馴染めずいじめられていたという。居場所は将棋クラブだった。1人で通い詰め、大人相手に将棋を打ち続けて実力をつけた。その後、高校には進学せず単身で東京へ行き、18歳からプロ棋士となる。 プロとなり、ファンとの対局で指導料10万円といった大金が手に入るなど、学校生活などの社会経験が乏しい中で突如生活が変化し、独特な人間形成がされていった。 しかしその後、Aさんとの離婚から引退に至るころに、Aさんが日本将棋連盟に対し、婚姻費用として月の収入の半分をAさんに支払うことなどを求めた。人間関係と金銭問題に悩まされ、入水自殺を試みて未遂に終わったこともあった。 その後、動画の配信などを行うが月の収入は10万円程に。アルバイトをしても、「外国人アルバイトより仕事ができない」と絶望し、首つりを試みたこともあったという。 これらのことから、被告人は将棋中心の人生で一般的な社会経験がなく、対人関係トラブルに脆弱。精神的な支柱にもなっていた将棋を失うきっかけとなったAさん、Bさんを手にかけようとした動機形成は十分了解可能であり、精神疾患が与えた影響は限定的で、最も大きな影響は本人の人格とした。 その一方で、何回も自殺を試みる状態のリスクを鑑み、措置入院の必要性についても言及した。
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