トランプ氏、TikTok禁止法の発効一時停止を連邦最高裁に要請
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領は連邦最高裁に対し、中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を規制する新法の発効を一時的に停止するよう求めた。同法は中国の親会社が1月19日の期限までにTikTokを売却しない限り、米国でのサービスを禁じる内容。
トランプ氏は、自身が1月20日の就任後に「政治的な解決策を追求」できるよう、最高裁は時間を与えるべきだとした。米議会は今年、TikTok禁止法を超党派の賛成で可決した。トランプ氏は同法の合憲性について立場を明らかにしなかったが、言論の自由に関する「広範囲にわたる深刻な」懸念を引き起こしていると指摘した。
トランプ氏は27日に最高裁に提出したアミカスブリーフ(第3者意見)で、「政府が表明した国家安全保障上の懸念に対処しながら、同プラットフォームを救済する解決策の交渉に向け、熟練したディールメークの専門知識、民意による負託、政治的意志を私は有している」と述べた。
どのような取引を目指すかについて具体的な説明はなく、発効をどの程度延期する必要があるかについても言及しなかった。
TikTokは新法の施行差し止めを最高裁に求めており、最高裁は1月10日に審理を設定した。
トランプ氏の意見提出に先立ち、27日にはTikTokとバイデン政権も意見書を提出していた。
米司法省は27日、中国によるTikTokの支配は「深刻な国家安全保障上の脅威」をもたらすと指摘。エリザベス・プレロガー訴訟長官は、TikTokが「数千万の米国人の機密データを収集しており、外国の敵対者による秘密裏の影響力行使のための強力なツールとなり得る」と主張した。
一方、TikTokは最高裁に対し、議会が禁止以外の代替案を検討しなかったと指摘。「歴史と前例から、たとえ国家安全保障が危機にさらされている場合でも、言論の禁止は議会にとって最後の手段でなければならないことは分かっている」と主張した。