東京五輪までの夢叶わず…きしめん名店閉店

愛知・名古屋市にある、きしめんの名店。来年夏の東京オリンピックまで店を続けようとしていましたが、新型コロナの影響で閉店を決めました。開業からおよそ80年、お昼時には満席になる人気の名店。その最後の日、店主夫妻と常連客は──
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愛知・名古屋市中川区の山王にある「めん処 山田屋」。こだわりのだしに絡む平べったい麺、愛知県のご当地グルメ「きしめん」を存分に味わえる地元の名店です。お昼時には、満席になるほどの人気ぶり。
切り盛りしているのは店主の佐野照雄さん(77)と、三良さん(78)夫婦です。開業からおよそ80年。先代から店を継ぎ、長年愛され続けてきましたが……
店内に貼られていたのは、『閉店のお知らせ』。
佐野照雄さん「いいキリで、今年7月のオリンピックでもう(店を)閉めようかなと思ってた」
56年前の東京オリンピックの年に結婚した2人。来年夏の東京オリンピックまで店を続けようとしていましたが、新型コロナの影響で営業を続けるのは困難と判断。閉店を決めたといいます。
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そして迎えた最後の日。
佐野照雄さん「(だしが)いい色になってきたな」
愛され続けた、こだわりの味。2人が作る最後のランチは、串カツとコロッケがついた500円のきしめん定食です。
オープンまで30分、早くも常連客を始め、お客さんが続々と集まってきます。
60年通った常連客「おいしい!名古屋の人はきしめんだでね」
常連客「もう50年ぐらいですか。打ち上げやったりしました」
最後の味を噛みしめるお客さん。
常連客「元気でやって!」
多くのお客さんに惜しまれながら……
佐野照雄さん「惜しまれてやめるのもいいね」
愛されて80年。地元に愛された名店がまた一つ、幕を下ろしました。