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産経前支局長の出国禁止措置解除 背景は?

2015年4月14日 18:33

 韓国政府は14日、朴槿恵大統領への名誉毀損(きそん)で在宅起訴され、出国を禁じる措置を続けていた産経新聞の前ソウル支局長について出国禁止措置を解除した。出国禁止の解除がこのタイミングになった背景には何があるのか?ソウルの玄昶日記者に聞く。

 韓国にとってみれば、加藤氏の出国禁止措置が「政治的な負担」になっていたということがありそうだ。韓国外務省の報道官は14日の会見で、出国禁止措置の解除について、「検察当局が法と原則に基づいて行ったもので日韓関係とは関係ない」と従来の立場を繰り返した。しかし、大統領府に近い関係者は、「大統領府の高官は日韓関係の悪材料であるこの問題の解決方法を以前から探っていた」ことを明らかにした。

 日本政府は、この問題を言論の自由を脅かす重大な問題ととらえ、外交の場で繰り返し解除を求めた上、韓国について説明する文章から「基本的価値と利益を共有する」という部分を削除した。反発の強さは、韓国にとって想定以上だったといえる。こうした中、加藤氏が記事で取り上げた朴大統領と元側近が密会していたとのうわさについて、裁判所が先月30日の公判で「虚偽」という判断を示した。朴大統領のメンツが立ち、振り上げた拳を下ろす環境が整った形。

 折しも14日は、関係冷え込みで途絶えていた日韓安保対話が5年ぶりに開かれた。韓国としては日本との関係改善を模索する空気が高まる中、懸念材料を取り除いておきたいという思惑があったものとみられる。