説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『格安SIMでもFaceTimeオーディオは快適に使える?』という質問に答えます。
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そのときの回線速度と電波の状態にもよりますが、どの格安SIMでもほぼ支障なく使えます。iOS 7以降が動作するiPhoneであればいつでも無料通話できますから、格安SIMユーザ向きかもしれません。電話番号を必要としないぶん安いプランを選択できる、というメリットもあります。
テレビ電話機能のFaceTimeには、高効率のオーディオコーデック「AAC-ELD」をベースにした技術が採用されており、FaceTimeオーディオはその音声部分を独立して通話に利用可能にしたものです。SIM会社との契約内容にもよりますが、格安SIMにおいて現状最低水準と考えられる平時通信速度の200kbps、通信制限を受けた128kbpsでもFaceTimeオーディオによる通話は可能です。遅延も少なく、伝送レートに40~50kbps程度を確保できれば納得の音質で通話できることでしょう。
人間が発する声は、およそ20ヘルツから14キロヘルツの範囲といわれています。固定電話回線の交換機(PBX)で使用できる周波数帯域は上限3.4キロヘルツと法律で定められているため、声の帯域をカバーできず音質に難が生じてしまいますが、通信がAppleのサーバ内で完結しているFaceTimeオーディオはそのような制約を受けず広い帯域を使えるので音質面で有利です。
FaceTimeオーディオは、相手の電話番号を目印に発信できない、着信のバイブレーション通知は1回振動するだけでマナーモード時は気付きにくい、SIM会社との契約容量を気にしなければならないなどの不便もあるものの、それを補って余りある音質面とコスト面のメリットがあります。SIMロック解除後のiPhoneを"セカンド・スマホ"として使うときの通話機能、という位置付けが最適かもしれません。