【おとなの相談室】ストレスの正体は何?戦略的に「休む」ことで体を休め、パフォーマンスを上げる
2024年12月25日(水)11時0分 婦人公論.jp
イメージ(写真提供◎Photo AC)
身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
病気やケガで通院した後の在宅医療の支援であれば、病院の「医療連携室」などの窓口へ。認知症で要介護認定されれば「地域包括支援センター」へ。……基本的には主治医からの紹介先や案内があれば、そちらに向かえばいいわけです。
ただ複数の窓口に混乱したり、そもそも主治医からの紹介先が遠かったり……複数の病状に悩むケースもあるでしょう。
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている読者の方への駆け込み寺:【おとなの相談室】の先生として答えてもらうのがこの連載です。
専門の「在宅看護」を主軸に、切っても切り離せないメンタルケアを含めて、質問していきます。第4回目は、「ストレスと休息」についてです。
(構成◎野辺五月)
* * * * * * *
前回「転職を考えているが、ストレス耐性が弱くて不安…「自分の好きなことを見つけておく・持っておく」ことが大切」はこちら
ストレス自体は決して悪いものばかりでもない
Q:年々、ストレスが溜まりやすくなっているような気がします。どうすればストレスをためない生活が出来ますか?そもそも私は自分でストレスが溜まっている状態に気づくのが遅く、なんとなく疲れが身体に出る感じです。
A:ストレスは年齢に関わらずさまざまな要因で出てきます。またストレスの貯めすぎはよくありませんが、ストレス自体は決して悪いものばかりでもありません。
ポジティブに変換して、ストレスがあることをきっかけで、例えば「負けてなるものか」と次の行動へ移れたり、アイディアが湧いたり……時に集中力が高まることもあります。
多少のストレスならば、それ自体をネガティブに捉えすぎなくてよいです。
反面、ストレスに対してネガティブな反応が出ることもあります。眠れなくなったり体調不良に繋がったりもしていきます。そういう事態は避けたいという気持ちは当然でしょう。
ご相談の内容をみると、ストレスの原因が分からないようであるので、まず「ストレスって何だろう?」からお話しますね。
ストレスの対処法
ストレスは、何かに対する「恐れ」が原因です。何を恐れているのか、どんな風に疲れているのか?何故気力や体力が失われていくのか……細かくかみ砕いて分析し、そのうえで対処する必要があります。ストレスの対処法として一番いいのはこの自問自答、「自分との対話」です。(※これが厳しいときには別の対処法もあります。※後述)
時間を取って、じっくり心と体を休めることが急務になります。
「体に不調をきたしているわけでもないのに休みづらい」という方もいると思いますが、ストレスが溜まり過ぎないように日々生活する「予防策」に、「戦略的に休息をとる」という施策があります。
日頃から戦略的に休憩することで、自分を冷静に見て「何がストレスになるのか」「どのくらいで休むべきなのか」を知るのに効果的な方法です。
やり方は簡単で、1日の中で「仕事をしない」時間を決めるだけ。此処は絶対に休む(仕事・家事・せねばならないことを止める)と決めて、習慣化します。
1週間・1ヵ月単位でも同様に「休み」を決めましょう。ストレスが溜まり過ぎる人は休みの取り方が下手な傾向にあります。周囲の状況に合わせ、全体を見て……と考えていると結果、いつでも休めないという状況になってしまうのです。
見直すときのポイント
先に「時間」で決めて、後は定期的に見直していきます。
見直すときのポイントは、休んだ後のパフォーマンスを振り返って「気分が切り替わっているか」「遊ぶ気力が出てきたか」「湧いてくる感情が変わったか」の確認をすることです。ここに良い変化が表れていたら、そのまま続けます。
気力がわかない場合はもう少し休み方を変えます。「小刻みに休む」ないし「1週間くらい長期の休みが必要」かを試してみましょう。
イメージ(写真提供◎Photo AC)
休息の取り方や必要な量は人によって違います。自分でしか分からないので、自分自身でトライしていきましょう。休み方以外にも、小さなストレスを知る=自分の感情をしっかり見てあげて、「嫌だな」という気持ちが何に沸いているのか検討したいところです。
精神疾患も含めて、病気は「環境のストレスが要因」というケースも多くあります。小さな積み重ねでストレスをためていくことも……。何が原因か?分からない場合は、前回少しお話しましたが、逆に自分の「好き」を探すことで理由が分かったり改善したりするケースもあります。
どうにも立ち直れない変化があった場合は
でも、例えばペットロスやお身内に不幸があるなどどうにも立ち直れない変化があった場合はどうすればいいのでしょうか。こういった出来事から立ち直ろうとして、まっすぐ気持ちに目を向けてもそう簡単にはいかないでしょう。
悲しいことは事実で、事実は事実で泣いても大丈夫です。向き合って、それが辛くて仕方ないとなったら、その時は「意識を違うことに向けてみる」しかありません。
イメージ(写真提供◎Photo AC)
視点や意識を別に向ける……例えば、犬と通った散歩道から、別の道に変えて散歩をしてみるとか……「意図的に、これまでとちょっと違うこと」を意識して選んでいくなど。体を動かすことも大切です。
これは全般に言えることですが、思考がぐるぐると迷子になっているときは、むしろ身体を使ってあげましょう。休もう休もうとしても、色々悩んでしまう、心配してしまってかえって休まらない状況ならば、運動しましょう。散歩でも構いません。
モチベーションは、動くことで上がっていくものなのです。敢えて何か動いていくということも休息として、「ストレス対策」に取り入れてみて下さい。