病と無縁だった私ががんに。病院食がお粥に移行しただけで感動。これからの人生、加点主義で生きたい
2025年1月4日(土)11時0分 婦人公論.jp
絵手紙部門優秀賞『小さなことに喜びを』神谷 雅春(かみや まさはる)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。
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入院中、唯一楽しみの食事は重湯と塩
私は甲状腺乳頭がんと直腸がんになり手術をした時のことを綴ります。
これまで還暦になるまで中学時代・高校時代そして会社員生活においても皆勤賞と真面目なほどに大きな病気とは縁がありませんでした。
60歳を前に症状は少なかったのですが首のしこりを感じ、各種検査を受診しました。
数日後に細胞の生検検査の結果を医師から告げられました。
悪性腫瘍ありとの診断に耳を疑いました。
甲状腺のがん摘出手術後、入院中は点滴での栄養補給ばかり。
唯一の楽しみの食事は重湯です。
食事の時間になると周りの入院患者は美味しそうな食事が運ばれます。
重湯の患者のお皿には重湯と塩そして名札プレートの3点のみです。
それでも点滴+重湯に感謝の気持でいただきます。
でも一瞬で食事も終わってしまうんですね・・・
残りの人生は加点主義で
入院から数日後にお粥に移行しました。
うなぎやステーキとは程遠いですが感動しました。
お粥はほのかに甘く、ソフトですが噛み応えもありました。
入院中にはネットでがんに関する各種情報を読んで人生という言葉に向き合う時間が多くなりました、
その答えは出ていませんが、このように思うことにしました・・・
残りの人生で、『これしか出来ない』、『もうこれ以上〇〇することも出来ない』と減点主義になりがちですが、病院食がお粥に変わって昨日より前進したように『あれが出来た』、『今度これをしよう』と加点主義で生きたいと思います。
地球の歴史と比べたらあまりに短い人生ですが、コップの残りの水を嘆くより、まだこれをしたいとその尺の中で出来ることを楽しみたいと思います。
第14回 リリー・オンコロジー・オン・キャンバス
がんと生きる、わたしの物語。コンテスト 受賞作品一覧
【最優秀賞】
【優秀賞】
・絵画部門 『あの日の風景』
・写真部門 『約束』
・絵手紙部門 『小さなことに喜びを』
【入選】
・絵画部門『希望の光を求めて』
・絵画部門『キセキ 〜すべてに感謝〜』
・写真部門『二人で来た道、これからも』
・絵手紙部門『かぞくのじかん』
・写真部門『最後の手打ちうどん』
・絵手紙部門 『朝日さす』
第13回 リリー・オンコロジー・オン・キャンバス
がんと生きる、わたしの物語。コンテスト 受賞作品一覧
・絵画部門最優秀賞『きらきらゆらゆら悔いなく自分らしく』
・絵画部門入選『また逢う日まで』
・写真部門最優秀賞『焼きおむすび』
・写真部門優秀賞『はじめて並んで歩いた日』
・写真部門入選『自然のいのちとわたしの生命(いのち)』
・写真部門入選『家族』
・絵手紙部門最優秀賞『看護師達』
・絵手紙部門優秀賞『大丈夫』
・絵手紙部門入選『あなたの分も生きていきます』
・絵手紙部門入選『「おいしいね」と言える幸せ』
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