ドラッグストアでよく見かける<ドクダミ茶>がまさかの事態を…専門家「ある臓器に障害を抱える人は植物起源の健康食品の摂取に注意を」

2025年1月2日(木)12時30分 婦人公論.jp


(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

「健診で指摘された異常値を健康食品で下げよう」「ダイエット食品で楽に痩せよう」など、健康食品を生活に取り入れる人が幅広い世代で増加しています。しかし2024年3月、サプリメントを摂取した消費者に健康被害が多数発生し、大きな問題となりました。そのようななか「実は、機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している」と指摘するのは、一般社団法人日本食品安全協会代表理事の長村洋一さんです。そこで今回は、長村さんの著書『健康食品で死んではいけない』より一部引用、再編集してお届けします。

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血圧を下げる健康茶で、なぜ突然死するのか


ドクダミ茶は健康食品として多くのドラッグストアに置いてあり、インターネット上にもその作り方や飲み方が紹介されている。

特に目立ちもしないし騒がれてもいないドクダミ茶だが、なぜか一定数売れ続けている。

それはリピーターがいて、その人たちはおそらく血圧の調子がよくなっているからである。

ドクダミ茶は確かに高血圧に効果がある健康食品と言ってよい。ところが、注意をしないと突然死につながる怖い一面がある。

ドクダミのカリウム量


私が現在の一般社団法人日本食品安全協会を立ち上げて活動を開始して間もなく、会員の方から問い合わせがあった。

「高齢の女性で特に腎機能が悪いわけでもないのに、血中のカリウム量が6.3mEq/L(基準値3.5〜5.0mEq/L)でした。投薬されている薬自体にもそのような作用はなく、しいてあげるなら毎日ドクダミ茶を飲んでいたそうです。ドクダミ茶にそのような可能性はあるでしょうか」という内容である。

私はこう返信させていただいた。

「結論を申し上げますと、ご推察のとおりドクダミ茶によって、高カリウム血症が発症する可能性は十分にあります。ドクダミの乾燥重量1kg当たりのカリウム量は54.3gと報告されています。同じ乾燥ドクダミにおけるナトリウムが212mgと報告されていることから、この量は極めて高濃度であることがおわかりだと思います。そして、ドクダミの血圧低下や利尿効果の一つの要因としてカリウムが考えられております。しかし、ご存じのようにカリウム値は高くなると突然心停止の可能性がありますので、直ちにその方にお茶の飲用をおやめいただくよう指示されることが重要です」

基準値を少しオーバーすると不整脈に


カリウムが体にそのような影響を及ぼすとは思えないかもしれないが、カリウムの血中濃度は非常に重要な検査項目で、基準値を少しオーバーすると不整脈が発生しだし、7.0mEq/Lを超えると突然死を起こす可能性があると言われている。

この問い合わせの例は高齢者であったが、腎臓に障害のある人もドクダミ茶だけでなく、植物起源の健康食品の摂取は基本的に避けるべきである。


(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

腎臓に障害のある人はカリウムの排泄能力が低く、植物(海藻も)自体、一般的にカリウム濃度が高いからである。

医療機関でも腎機能が低下している人には生野菜の摂取を制限しているし、血中カリウム濃度は重要な検査項目の一つとなっている。

腎臓に障害のある人は注意


たとえば、腎機能にまったく問題がなく血圧が若干高いのが気になっていた人が、ドクダミ茶で血圧が正常化したとする。

腎機能が悪くて血圧が高い人がそれを聞きつけ、薬で血圧を下げるよりも健康食品のほうが安全だ、などと考えてドクダミ茶を勝手に飲み始めてしまった。

するとその人はしばらくして血中カリウム濃度の上昇により突然死を起こすかもしれない。

そうなった場合、ドクダミ茶の飲用を知らずに検死を行った医師は、腎機能が悪かった患者の突然の心停止と判断する可能性がある。

※本稿は、『健康食品で死んではいけない』(講談社)の一部を再編集したものです。

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