帰らないで!J1からJ3へ期限付き移籍で活躍した選手10傑【2024】
2024年12月6日(金)14時0分 FOOTBALL TRIBE
大宮アルディージャの優勝で幕を閉じた2024明治安田J3リーグ。昨年クラブ史上初のJ3降格を味わった大宮が1年でのJ2復帰を決め、続けて第36節の結果を受けFC今治が初のJ2昇格を決めた。残る1枠のJ2昇格を懸けて、12月7日に行われるカターレ富山と松本山雅のプレーオフ決勝に注目が集まるなか、多くのクラブは来季に向けて補強や所属選手の去就に注目が集まる時期へと入っている。
今季のJ3リーグは、大宮が首位を独走し早々に昇格と優勝を決めた。そんな強さを見せた優勝チームをはじめ、リーグの盛り上がりに華を添える活躍を見せていたのがJ1クラブから期限付きでJ3各クラブへ加入している選手たちだ。若手からベテランまで、それぞれがクラブに欠かせない戦力として躍動していた。ここでは、今季J3の期限付き移籍先で特に活躍した選手を10名紹介していく(※12月5日時点の情報に基づく)。
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阿野真拓(テゲバジャーロ宮崎)
2021シーズン、2022シーズンと一桁順位で進んできたテゲバジャーロ宮崎だったが、昨年は19位と下位に沈む苦しいシーズンとなった。心機一転多くの新戦力を迎えた今季は、シーズン中盤までの低迷が響き上位争いには加われなかったものの、第25節以降に4連勝を含む10戦無敗と安定した戦いを見せるなど後半戦は来季に向けて希望の見える戦いぶりを示した。
そんな宮崎の攻撃におけるキーマンとなっていたのが、東京ヴェルディから期限付きで加入したMF阿野真拓だ。積極的な縦への仕掛けで推進力を見せ、サイドからの正確なクロスでチャンスを作るなど躍動。3ゴール6アシストと文句なしの働きを披露した。来季チームがさらなる飛躍を果たすためにも、引き続き力を借りたい選手の1人と言えよう。
泉柊椰(大宮アルディージャ)
昨2023シーズン、J1のヴィッセル神戸でデビューを飾ったMF泉柊椰。昨季の成績は、所属元である神戸で8試合に出場して1ゴール。夏にJ2のモンテディオ山形へ期限付き移籍し7試合に出場した。今季はJ3大宮アルディージャで開幕を迎えると、開幕戦からピッチに立ち38試合すべてに出場。6ゴール6アシストの活躍でチームのJ2復帰に大きく貢献した。
敵陣深くまで侵入し、精度の高いクロスや丁寧なラストパスで決定機を演出。セットプレーでキッカーを務めるなどキックの質の高さも見せつけていた。大宮にとっては、完全移籍で迎えたいほどの選手であろうが果たして去就はどうなるのか注目だ。
大関友翔(福島ユナイテッド)
今季5位でリーグ戦を終え、J2昇格プレーオフへと駒を進めた福島ユナイテッド。残念ながらプレーオフ準決勝でリーグ戦4位の松本山雅に勝ちきれず敗退したが、J2昇格へ肉迫するシーズンとなった。そんな福島躍進の立役者の1人となったのが、川崎フロンターレから期限付き移籍中のMF大関友翔だ。
豊富なアイデアとそれを実現させる正確なパスを武器に、今季は6つのアシストをマーク。加えてチーム2位の8ゴールと得点力の高さも見せた。所属元である川崎にとっても、その姿は頼もしく映ったことだろう。すぐにでもJ1で成長ぶりを見てみたい選手の1人だが来季の活躍の場はどこになるのか、動向が注目される選手であることは間違いない。
岡澤昂星(FC琉球)
昨夏にセレッソ大阪からFC琉球へ期限付き移籍を果たしたMF岡澤昂星。期限を延長して迎えた今季は、開幕から出場を続け37試合とほぼ全試合に出場して2ゴール1アシストの数字を残した。
豊富な運動量を武器に、動きを止めることなく後方からのパスの出口となるポジション取りを怠らず前線との中継役をこなす。また自身でも地を這うような強烈なミドルでゴールを奪うなど、ピッチの広範囲で存在感を出せる選手だ。琉球がJ2へ戻るための重要なピースと言える選手なだけに、チーム残留を願うファンやサポーターも多いのではないだろうか。
工藤孝太(ギラヴァンツ北九州)
2021シーズンにJ3降格となり、昨2023シーズンはJ3最下位と苦しいシーズンが続くギラヴァンツ北九州。しかし、今季は最終盤までプレーオフ圏争いを演じるなど光明の見えるシーズンとなっていた。そんな北九州の守備を支え続けたのが、浦和レッズから期限付きで加入したDF工藤孝太だ。
開幕からスタメン出場を果たすと、最終的に36試合とほぼ全試合に出場。チームで最も長い出場時間であることからも、いかに重宝された存在かが窺い知れる。守備の要として欠かせない選手であっただけに、来季J2復帰を目指すためにもチームに残ってほしい選手であることは間違いない。
杉本健勇(大宮アルディージャ)
今季J3の中でも高い攻撃力を誇った大宮アルディージャ。そんな強力な攻撃陣を牽引したのが、ジュビロ磐田から期限付き移籍中のFW杉本健勇だ。2017シーズンはJ1で22ゴールという数字を残したが、以降思うようにゴールを挙げられないシーズンが続いた杉本。しかし、今季は10ゴールと久々の二桁得点をマークし、アシストも7つと前線で強烈な存在感を放った。
今季リーグトップの72ゴールと高い攻撃力をみせた大宮だが、内訳をみると二桁得点者は杉本1人。その分他の選手もそれぞれが得点を挙げているとはいえ、来季カテゴリーが上がることを踏まえれば杉本を失うことによる得点力不足への懸念もある。今冬補強の動きも注目なクラブだが、輝きを取り戻したストライカーの去就にも大いに注目だ。
東ジョン(FC琉球)
2022シーズンにJ2からの降格を味わい、昨季は5年ぶりのJ3で17位と大苦戦を強いられたFC琉球。低迷の原因でもあった失点の多さをどう改善するかが注目されるなか、名古屋グランパスから期限付きで加入したGK東ジョンが守護神として存在感を放った。
第12節以降はスタメンに定着し、最終的に31試合に出場。フリーキックからの狙いすましたシュートやDFラインの背後を取られた近距離からのシュートに対して好反応を見せるなど、高いセービング力でチームを支えた。来季J2復帰を目指すためにも最後の砦であるGKの存在は極めて重要なだけに、東の去就が注目される。
藤原健介(ギラヴァンツ北九州)
昨季はJ3で最下位と苦しいシーズンを過ごしたギラヴァンツ北九州。再起を図るべく臨んだ今季は、序盤戦こそ黒星先行で苦しい立ち上がりとなったが第13節から13戦無敗と好調に転じた。残念ながらプレーオフ進出こそ果たせなかったが、昨季の低迷から一転7位と来季に向けて大いに希望を見出せるシーズンとなった。
そんな北九州の好調要因となったのが、シーズン途中にジュビロ磐田から期限付きで加入したMF藤原健介だ。開幕を磐田で迎え9試合に出場し1アシストと活躍を見せたなかで北九州へ加わると、第19節の福島ユナイテッド戦で途中出場から1ゴール1アシストといきなり勝利に貢献。その後はスタメンに定着し、最終的に4ゴール5アシストを挙げた。北九州としては来季も共に戦ってほしい選手であることは間違いない。
松長根悠仁(福島ユナイテッド)
2021シーズン以来の一桁順位でリーグ戦を終え、J2昇格プレーオフへと進出した今季の福島ユナイテッド。プレーオフ準決勝でリーグ戦順位が上であった松本山雅に勝ちきることができず昇格を逃したが、昨年15位からの立て直しに成功したシーズンだったと言えよう。
そんなチームで、川崎フロンターレから期限付きで加入したDF松長根悠仁は確かな活躍を見せていた。守備での貢献はもちろんのこと、攻撃でも相手の背後を取り決定機を作り出すなど積極的な姿勢を披露。攻守で存在感を大いに発揮していたと言えよう。MF大関と並び、チームに残れば必ずや来季も主力として活躍が期待できるだけに残留を願う声も多いのではないだろうか。
吉田陣平(カマタマーレ讃岐)
2018年にJ3降格を味わって以降、二桁順位から抜け出せずに苦しいシーズンが続くカマタマーレ讃岐。今季も第19節が終了した時点では19位と、シーズン前半戦は苦しい戦いとなった。後半戦、そんな讃岐を上向かせる原動力となったのがアルビレックス新潟から期限付きで加入したMF吉田陣平だ。
シーズン前半は途中出場が多かったが、第21節以降はスタメンに定着。第27節からの5試合では3ゴール3アシストと躍動し、チームの勝ち点積み上げに貢献している。鋭く縦に差し込むパスなど、チャンスメイクが魅力。開幕からシーズンを通して出場が叶えば、さらにチームを勝たせる存在になれる期待も大きいだけに、来季も讃岐で見たいと願うファンやサポーターは多いことだろう。