僕は、頸髄損傷(C4-C5)で四肢が完全に麻痺して動けません。
状態としては、左腕が辛うじて動くくらい。指は動きません。
体が動かせない僕が入院すると、基本テレビを見ることくらいしかできないので、暇で暇で死にそうになります。
ですので、
せめて病室でパソコンぐらいは使いたい!!!
ということで先日、異所性骨化という病気で入院した際に、いろいろ準備していって構築した環境について書きます。
目次
病院でパソコンをするために持っていったもの
病院で頸髄損傷者が「ある程度思い通りにパソコン操作すること」を念頭に持っていったものはこちら。
- 自分のノートパソコン
- モニターアーム
- 21インチモニター
- トラックボール(マウス操作)
- SmartNav 4:AT(顔の動きでマウスカーソル操作)
- マイク(音声入力用)
- ハブ
- ポータブルハードディスク(必要なデータが入ったもの)
- テレビチューナー
- 電源タップ
ネット環境は病院のものを使います。最近の病院だと大抵ネット環境はあるかと思います(有料の場合もあるけど)。
あと、パソコンを置く台は病院のオーバーベッドテーブルを借りることを前提に書きます。
パソコン周辺機器の設置
パソコン等を設置するオーバーベッドテーブルとはこんなやつ。
とりあえず、病院のベッドに設置した全体像はこちら。
オーバーベッドテーブルのパソコンとモニター類はこちら。
画面は、パソコンでテレビを見ています。
モニター
モニターは単に「値段が安かった」という理由で、DELLの21インチモニターを購入。
モニターは見れれば良いので、とりあえず何でもよかった。
大画面の方が見やすいのは間違いないけど「持ち運び」のことと「扱いやすさ」を考えた上での「21インチ」を選択。
SmartNav(マウス操作)
モニターの上についているのが、顔の動きでマウスカーソルを操作するSmartNavというポインティングデバイス操作装置です。
マウスカーソルの操作は、ほとんどこのSmartNavで行います。
現在SmartNavは製造中止になっているので、代替え手段としてはAblenet TrackerPro 2を使うという手があります。
モニターアーム
モニターアームは、こんな感じで、オーバーベッドテーブルの奥側に、21インチディスプレイを取り付けました。
使用しているモニターアームはこちら。
モニターアームは「ガス圧式」を購入しました。
ガス圧式だと、ある程度モニターに重みが必要なので、ちょっと扱いづらかった(DELLのモニターが軽過ぎた)。
なので、モニター重量関係なく、調節次第で使える「メカニカルスプリング式」の方がよかったかもしれない、と後悔。
ここらへんは、自分が持っているモニター重量と相談して決めた方が良いかと思います。
入院前、家でのリハーサルで取り付けた感じがこちら。
正面。
側面。
裏面。
本番の入院環境で取り付けた状態の背面がこちら。
余計な配線はマジックテープつきの紐でまとめてあります。
USBハブ
USBハブは、適当なものを購入しました。
とりあえず多数USBを接続することを想定して、AC電源つきのものにしました。
オーバーベッドテーブル側面に「外付けテレビチューナー」と「ポータブルハードディスク」を置いてカブレステープ(※後述します)で固定しました。
テレビチューナー
僕のパソコンは、チューナーが内蔵されていないので外付けのものを持って行きました。
外付けでUSBに挿してすぐに使えるやつ。
※購入はしたものの今回は家で使用しているチューナーを持って行きました。
あと、パソコンでテレビを見ない場合も、チューナーは持って行く必要はないかと思います。僕の場合は、「ベッド正面のパソコンモニター」でテレビを見たいがために持って行きました。
以前、病院据え置きのテレビを見ていました。しかし据え置きテレビは通常はベッド脇にあります。そうなると、ずっと横を向いてテレビを見ていなければならず、前回めちゃくちゃ首が痛くなったからです。
そんなわけで今回、「正面のパソコンモニターでテレビを見る環境」を整えました。
ポータブルハードディスク
データを持ち運んで利用するために、ポータブルハードディスクも持ってきました。
詳細はこちら。
固定したテープ(剥がしやすいテープ)
これらパソコン周辺機器は、ちょっと医療処置のため動かしたぐらいでは場所が変わらないよう、テープでガッツリ固定しています。
固定しているテープは、こちらのカブレステープ。
カブレステープは、身体に貼るためのテープです。なぜ身体用のテープを利用するかというと、それなりにくっついて、剥がすとき全く糊とかが物品に残らないからです。
貼るだけなら普通のビニールテープでも良いのですが、剥がした後テープの糊でベタベタになりがちです。
病院の備品を汚すわけにはいきませんし、粘着テープの掃除もしたくない…。
そういった、後のことも考えてカブレステープを使用しています。
その他の配線も、こんな感じで固定しました。
病院では処置をする度に、オーバーベッドテーブルを動かしたりします。その際、動かす毎にずれた機器を直すのは面倒です。なので、こんな感じで動きそうなところはしっかりと固定しておきます。
点滴やガーゼ交換等の処置の度に、看護師さんが物を動かしたり戻したりしなくて済むように動きそうなものはとことん固定しました。
カブレステープで貼ったものは、非常に綺麗にはがれるので、帰るときは剥がしてゴミを持って帰るだけです。
左手で操作する部分
唯一「辛うじて動かせる左手」で操作するものは、こんな感じでまとめています。
写真左側から
- 電動ベッドのリモコン
- ナースコール
- トラックボール
です。
電動ベッドリモコンは、当然病院のものです。頭の上げ下げに使います。
ナースコールも病院のもの。もちろん緊急時に看護師さんを呼ぶのに使います。
僕が使っているトラックボールはこちら。
基本的に、マウスカーソルは前述のSmartNavで動かして、クリックはこちらのトラックボールで行います。
トラックボールの上にある白いものは樹脂粘土で、まともに動かない左手でも当たればクリック出来るようにしてあります。
コンセント周り
最後に、以下の電源周りのものを挿して終了。
- 電源
- テレビアンテナ
- WiFi
実際のものがこちら。
ネット接続は、有線LANでもよかったんですが、余計な配線が増えるのも煩わしいので、無線LANルータを使用することにしました。
パソコン以外のもの
パソコン以外のものは、飲み物を大量に持ち込んで、冷蔵庫に放り込んでおきました。
持っていったのは、常飲用の玄米茶。
手術後の高熱で発汗した際に、必要な成分をすぐ補給出来るよう熱中対策水(経口補水液的なもの)も持って行きました(ノンカロリー)。
僕はブドウ派。
最後に、手術後は高熱が出て食事が絶対食べられなくなるので、少しでもカロリーを補給出来るように、午後の紅茶のミルクティーも持って行きました。プラズマ乳酸菌のやつ。
この紅茶が結構おいしい。
あとは、これらの飲料を看護師さんに手軽に飲ませてもらえるようしました。やったことは「ストロー付きのキャップ」をつけて、冷蔵庫の取り出しやすいところに並べておきました。
これだと、水分を飲ませてもらう場合でも、冷蔵庫からさっと取り出して、さっと仕舞えます。看護師さんに余計な手間を取らせることもありません。
「コップに移し替えて飲む」なんてことをしていると、わずか数十秒ではありますが、それだけ時間と手間を取らせてしまうので。
まとめ
こんな感じで、パソコン環境を事前に準備して入院に挑みました。
病院でパソコンができたおかげで、頸髄損傷の僕でも、それなりに快適に過ごすことができました。
正直パソコンがなかったら「ひたすら病院備え付けのテレビを見続ける10日間チャレンジ」をする必要があったので、暇すぎて地獄だったでしょう。
前回入院した時は、そんな暇すぎる入院生活だった(気が狂いそうだった)ので、今回は少し快適でした。
一応、普段利用しているデータも全部持っていったので、「余裕があれば病院でプログラミングをしよう」なんてことも考えていたのですが、手術後の高熱で正直それどこではなかったです。
高熱でしんどいし、食欲もないしで結局、ほとんどパソコンでテレビを見たり、サブスクの動画サイトで映画やアニメを見てた感じです。
あと入院時は、地味にTVerも便利だった。空いた時間に見逃したテレビを見るくらいがちょうどよかった。
「パソコンでテレビを見たり動画やTVerを見ていたなら、単に病室のテレビを見ているのと変わりないじゃん!」
て思われるかもしれませんが、全然違います。
病院据え置きのテレビだと、僕は手が不自由でチャンネル変更ができません。そうなると看護師さんにチャンネルを変えてもらわなくてはなりません。
そういった気兼ねなく自分でチャンネルを変え、見たいものを見て、病院で過ごせたのは、やっぱ大きい。
はじめまして。
入院生活についてのブログ読ませて頂きました。
私自身も難病で、寝たきりの生活を送っているので大変参考になりました。
ところではわいひら様はどのような介護体制で生活されているのでしょうか?
私自身は、毎日ヘルパーさんに来ていただいて生活しているのですが、どこの事業所さんも人手不足で、実際に来ていただけヘルパーさんを探すのだけでも苦労しております。
何事にも器用にされているわいひら様ならではの方法や、知恵がございましたらご教授頂けますでしょうか。
突然のコメントで誠に恐縮ではありますが、もしよければ宜しくお願い致します。