「太っちょ」と言われても、哺乳類につながる重要な存在!
新種の化石は、2001年にフランス南部にあるロデヴ盆地(Lodève Basin)で初めて発見されました。
岩の多い川床で、長さ約60センチの大きな肋骨が2本と、約35センチの大腿骨、約50センチの肩甲骨が1本ずつ見つかっています。
骨の分析には、20年という長い年月が費やされました。
というのも、化石がコンクリートのような固い砂岩に保存されており、骨を傷つけずに取り出すのに極めて慎重な作業を要したからです。
しかし、骨自体の保存状態はとても良好であり、分析の結果、それ以前に知られていない新種の古生物であることが判明しました。
大きくは、約2億9900万〜2億5200万年前のペルム紀に存在した「カセア科 (Caseidae)」に分類されます。
カセア科とは、哺乳類の特徴を備えた化石爬虫類であり、私たち哺乳類の祖先と考えられているグループです。
さらに、今回の新種は、カセア科の一属である「ラリエウドリンクス(Lalieudorhynchus)属」に属し、その中の新種と結論されています。
カセア科は、進化上もっとも早い時期の草食動物と目されており、植物を分解するための大きな消化管を備えた樽型ボディをしていました。
これまでに確認されているカセア科は20種弱で、そのほとんどが北米とロシアで見つかっています。
しかし、今回のL. ガンディは、これらの既知種とは異なり、カセア科の中で最も進化の進んだ種である可能性が高いという。
研究チームのラルフ・ウェルネブルク(Ralf Werneburg)氏は「他のカセア科には存在しない5つのユニークな骨の特徴が見つかっており、カセア科が絶滅する前の進化の最前線に位置したと見られる」と述べています。
L. ガンディは、哺乳類の系統図の”穴”を埋めるミッシングリンクというわけではないものの、哺乳類の進化を理解する上で、重要な存在となるでしょう。
また、L. ガンディの骨の構造には、顕微鏡で見るとスポンジ状の気泡が無数に見られました。
これは彼らが、今日のカバのように半水生の生活をしていたことを示唆します。
体重が数百キロもある”太っちょトカゲ”であったことから、水に浸かって体を浮かすのは大変有効だったのでしょう。
しかし、L. ガンディはカバの親戚ではなく、似ているのはライフスタイルのみで、解剖学的な共通点はありません。
加えて、カバの方がより密度の高い骨をしているため、L. ガンディは今日のカバ以上に、水に浸かる時間も長く、潜水などもより得意にしていたと見られます。
もしかしたらL. ガンディは、哺乳類につながる系統として、最初に”半水生スタイル”を確立した生物だったのかもしれません。
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