電気自動車(EV)の販売が好調だ。
国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、2022年、世界で販売された新車の14%がEVだった。2021年の9%、2020年のわずか5%から大きく伸びた形だ。2023年の第1四半期にはすでに前年同期比で25%増えている。
EVの魅力は明らかだ。環境に負荷をかけるガソリンやエタノールを燃料としない。有害な排気ガスを出さない。走行音は静か。ガソリン車に比べメンテナンスが容易。災害時などには非常用電源として活用できる。
しかし、利点ばかりではない。EVを走らせるバッテリーを製造するにはリチウムやニッケルなどの天然資源を大量に採掘する必要がある。そしてバッテリーを充電するのに必要な電気は、多くの場合、化石燃料を使って発電されている。
にもかかわらず政府から環境保護団体に至るまで、EVは未来の車だと言う。
それに加えて「EVはガソリン車よりも運転していて楽しい車です」と、電気輸送の動向に関するニュースや解説を配信するサイト「Electrek」の主執筆者であるフレッド・ランバート氏は言う。
その魅力から環境への負荷まで、EVを買う前に知っておきたい基礎知識を紹介しよう。
誰がEVに乗っている?
世界のEV販売台数の60%を占めているのが中国で、欧州、米国はそれぞれ2位、3位の市場規模となっている。インド、タイ、インドネシアといった国々でも、まだ多くはないものの販売台数は伸びている。
EVの普及率は国によってまちまちだ。
アイスランドでは新車販売の60%がEVで、ノルウェーでは80%を超えている。一方、2022年に米国で新車を購入時にEVを選んだ人はわずか4.6%だった。もっともカリフォルニア州では20%近くがEVを選んでおり、およそ10年後には45%の新車購入者がEVを選ぶだろうとアナリストは予測している。なお、世界では2030年に35%を超えるとIEAは予測している。(参考記事:「米国、2030年までに新車の半分を電気自動車に、バイデン氏改革」)
航続距離は?
EVが自分に向いていると皆が納得しているわけではない。
その理由としてもっとも頻繁に引き合いに出されるのが、長距離移動中のバッテリー切れを恐れる「航続距離不安症」だ。充電スタンドの少なさは電欠への不安をさらにかき立てている。米国には約15万カ所のガソリンスタンドがあるのに対し、充電スタンドは約4万6000カ所しかない上、充電器は故障しがちで、必ずしも信頼できると設備とは限らない。