HomecomingsがZepp新宿で鳴らした美しき歪み、バンドの現在地示した全国ツアー東京公演

Homecomingsが12月28日にZepp Shinjuku（TOKYO）で全国ツアー「Homecomings oneman live "angel near you"」の東京公演を開催した。

「Homecomings oneman live "angel near you"」は、11月にメジャー3rdアルバム「see you, frail angel. sea adore you.」がリリースされたことを記念して行われているワンマンツアー。アルバムはシューゲイザーやエレクトロニカなどの要素を大胆に取り入れた1枚で、本作の収録曲がライブでどのように再現されるのかファンの注目を浴びていた。ツアーの折り返しとなった東京公演の舞台は、メンバーとって最大キャパとなるZepp Shinjuku（TOKYO）。Homecomingsは大勢の観客が見守る中、新作アルバムの楽曲を中心としたセットリストで進化を続けるバンドの現在地を示してみせた。

Homecomingsは亀田誠治をプロデューサーに迎えたロックナンバー「slowboat」でライブの幕を開けると、エモーショナルなギターにはかなげな歌声を乗せて、観客を楽曲の世界観へと引き込んでいく。“内なる天使と隣人としての天使”を描いたという「angel near you」では、美しいコーラスの重なりで場内を神秘的なムードに染め上げていった。静かな立ち上がりから一気に感情を爆発させる「recall (I'm with you)」を経て披露されたのは、サポートドラマーのユナ（Dr / ex. CHAI）が刻む力強いドラムを軸に重厚なサウンドを生み出す「Shadow Boxer」。熱のこもったステージに観客が息を飲む中、Homecomingsはシューゲイズを軸にした「ghostpia」の演奏を開始すると、美しさと歪さが同居したバンドサウンドを爆音で響かせた。

MCでは福富優樹（G）が「see you, frail angel. sea adore you.」について、「アルバムを聴かずに来たら『なんじゃこれ？』って感じのショーやと思うんですけど、自分がやりたいことを思いっきりやったのは初めてくらいで。それが今まで以上にたくさんの人に届いているのを感じてうれしいです」とひと言。そして制作を振り返り、「前作の『New Neighbors』は“社会と自分”みたいな尺度で作ったアルバムで、『隣人がいるから街があって社会があって、そこに優しさがあったらいいな』という思いを込めたんです。これからも隣人について歌っていくんですけど、手を差し伸べてくれる人が見つからへんときもあるから、そこに対して綺麗事だけじゃなく向き合いたいと思ったんです」と、“自分自身にとってのイマジナリーな天使”を描いた本作に込めた思いを語った。

ライブ終盤、Homecomingsは京都アニメーションによる2018年公開の映画「リズと青い鳥」の主題歌「Songbirds」をパフォーマンス。4人は浮遊感のあるインストゥルメンタル「(all the bright places)」を挟み、「リズと青い鳥」の主人公である鎧塚みぞれと傘木希美のデュエットソング「Tenderly, two line」を大切そうにじっくりと奏でた。その後、Homecomingsはハウスの要素を取り入れた「Tenderly, two line」やバンドのステートメントを曲にしたダンスナンバー「US / アス」でオーディエンスを踊らせると、最後はノイジーなエレクトロナンバー「blue poetry」を駆け抜けるように演奏してステージをあとにした。

ツアー「angel near you」の追加公演が2月19日に東京・WWW、自主企画ライブ「all the bright places "Here"」が3月29日に京都・KBSホールで開催されることが決定した。チケットの先行予約は、チケットぴあにて受付中。