2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

持たざる演劇 ――グロトフスキを想う

10月17日に東京工業大学で「イェジー・グロトフスキの世界」と題する集まりがあった。グロトフスキ(1933年 - 1999年)という名を知る人はあまり多くはないかもしれない。彼は現代ポーランド演劇界をある意味で牽引してきたその道の第一人者である。 この日…

表象主義の克服――錯覚論法反駁のひとつのやり方(2)

光配列の〈遠近法的流動〉や〈遮蔽パターン〉などの概念について説明がひととおり済んだとして、次にリードは、最初の問題――「夢や幻覚の中にあるに過ぎない対象と、確かに実在する対象とをどうしたら区別できるのか」――に次のように答える。「問題の対象に…

表象主義の克服――錯覚論法反駁のひとつのやり方(1)

夏以来、ギブソン派の生態学的心理学者リード(Reed)の遺著を翻訳する作業にかかりきりだった。以前から草稿はすでに手許にあったのだが、読者に提供できるレベルの訳文では到底なかった。読者が文意を正確に読み取れる、しかも日本語として素直な文章にす…