18年平昌冬季五輪成功への道(1) これまで
冬季オリンピック特別法は「75%以上」を国費で支援できるよう規定している。
韓国の18年平昌(江原道)冬季五輪の成功は国民のハート次第。
<開催予算面の政府と開催自治体とのこじれ>
江原道が冬季五輪誘致のために既に開設しているメイン会場となる「アルペンシアリゾート」は、1兆6,835億ウォン(現在換算約1,800億円)の総工費で開発された。しかし、借入金は1兆889億ウォンもあり、まだ、未償還額が9,129億ウォン(2013年8月時点)に上る。
このため、江原道は政府に対し、当施設の一部(C地区=アルペン競技施設)を2,711億ウォン(約300億円)で買い入れるように要請した。しかし、政府は、悪しき前例を作りたくなく拒んでいた。
こうしたことから運営母体の江原道開発公社=江原道は財政難に陥っており、国が購入すれば、残債は6,000億ウォンと大幅に減り、経営再建の道筋がつくというが・・・。
こうしたことが前提にあり、一事が万事、五輪施設建設の予算問題がこれまで難航し続けていた。
政府は、競技が開かれない開・閉会式会場は、特別法の適用対象でないとし、国際大会などに支援する補助金比率である30%(198億ウォン)のみを支援すると主張していた。
2014年11月やっと江原道は、組織委員会と文化体育観光部(国の省)との3者協議で、開・閉会式場新設予算(662億ウォン、1ウォンは約0.11円))の分担比率を、国費50%、江原道・組織委50%で合意したと11月18日明らかにした。
<権力争い波及>
2014年7月、江原道の元知事で平昌五輪の組織委員長(2011年11月初代委員長として就任)だったキム・ ジンソン氏が副委員長とともに辞任した。これは、政争の影響があったとされる。
朴大統領と親密な関係が噂され、サンケイ記事事件や青瓦台内部調査資料流出事件で表舞台に登場したチョン・ユンフェ氏(朴大統領の議員時代の秘書)と朴大統領の実弟との権力抗争。この事件はさておき、チョン・ユンフェ氏が、文化体育観光部(省)の人事に介入したのでは言われている。
2013年春までに八百長や不正など次々に明るみになった韓国スポーツ界。朴大統領などから、それを監督する文化体育観光部の上層部や課長クラスに至るまで、名指しされたりして解任や辞任に追い込まれた。その後主要ポストが漢陽大学出身者で占められるにいたっている。
介入が事実であれば、ユンフェ氏の意向が大きく平昌五輪にも影響していたと見てもおかしくない。
政府が2014年11月まで予算面から、開・閉会式施設の建設予算は、五輪特別法には含まれないと貫き通した事からも窺い知れよう。
このように、朴大統領自身も既に取り巻きの権力抗争の渦中にある。また、与党セヌリ党出身の朴大統領であるが、セヌリ党内では反主流派とされ、セヌリ党内から朴大統領の動きについてはマスコミへ流出し情報が乱舞する。
朴槿恵大統領の弱さは、父親の亡き朴正煕大統領(日本帝國陸軍士官学校卒、暗殺)も関係している。朝鮮戦争後の米軍に対する政権主導の慰安婦提供問題(慰安婦による集団訴訟中)、さらに反日の急先鋒だった盧武鉉大統領(退任直後不正で自殺)が、「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」を2005年に成立させ、日本統治下の朝鮮で、日本に協力したものの名誉や財産を没収するという法律に抵触する可能性があることも、反日強硬路線を取らざるを得ない運命を有しているともいえる。
持ち上げるより、けなす事で生きる政治やマスコミの世界、朴大統領は国民の人気を元手にリーダーシップ力を発揮すべきであったが、一時、反日強硬路線で60%以上あった支持率も、セウォル号沈没事件への対応やユンフェ氏との醜聞・秘線(裏権力)問題に、今や40%を割り込み、批判票が多くなっている。
朴大統領は、こうした報道を続けるマスコミに翻弄され、リーダーシップ力を発揮する力は既になくしており、ヒステリックにならざるを得ない状況を自ら作り出している。
秘線問題も含めその結果が、マスコミへの弾圧、憲法裁判所による政党解散命令など強権姿勢が国民から見放される原因ともなっている。
しかし、差し迫っている平昌五輪の成功への音頭は、朴大統領が率先して歌うか踊るしかない。そうした精神的なゆとりがないにしても身から出た単なる個の部分の錆、平昌五輪は国家の信用であり、ソウル五輪のような盛り上がりを演出する役割が朴大統領に求められている。
コメントをどうぞ