「今回の作品はファーストアルバムなので、自分の名刺代わりになるラップアルバムにしようと思っていました」。満を持して完成させたアルバム『For A Reason』について、BonberoはApple Musicに語る。研ぎ澄まされたラップスキルとワードセンスを武器に、21歳にしてヒップホップシーンの最前線に立つ彼は、中学時代にフリースタイルバトルの盛り上がりに触発され飛び込んだ地元、千葉県八千代市のサイファーを端緒にして、圧倒的な勢いと密度で経験を重ねてきた。2021年にダブルネーム作品『Rule of Groove』を発表した同郷の盟友、Tade Dustとの出会いやヒップホップクルーの夜猫族への加入、ラップオーディション番組やフリースタイルバトルの大会への参加、日本最大級のヒップホップフェスティバルへの連続出演や、BAD HOPのラストライブのステージに立った経験などを通じ、ラップの技術のみならず、さまざまな思いを込めたリリックの表現を深め、その言葉に破格の説得力をもたらしている。 「『For A Reason』というアルバムタイトルは“起こるべくして起こる”みたいな意味です」とBonberoは説明する。「ここ1、2年で、自分が今まで見たことなかった景色を見る機会がたくさんあって、その時は正直実感がなかったけど、時間差で湧いてきました。つけあがるわけじゃないけど、これはそういう経験を積み重ねてきたことだし、この先も変わらない。そんな思いと共に、これまでの自分を凝縮した作品になりました」。BenjazzyやSEEDAなど多彩なゲストを迎えながら臆することなく、ぶれることなく自分自身であろうとするアルバムについて、ここからは本人に各楽曲を解説してもらおう。 Intro 俺はどこから来たか。地元の第三公園から始まったストーリーから、 今はステージにいるっていうことを主に言いたかった。第三公園は初めてサイファーをした公園なんですけど、そこからの話です。この曲のサウンドは八千代感があるというか、この静かさで始めたかった。八千代も知ってるasciiに、そういうサウンド感で頼みました。 For A Reason feat. Benjazzy アルバムのタイトル曲です。自分は今年の1月に東京ドームの客演で歌わせてもらったことも歌っています。東京ドームに自分がワンマンで立ったわけではなく呼んでもらった身なんで、自分の力ではないなっていうのはあったんですけど、時間がたつにつれてドームに立った実感が湧いてきました。BenjazzyさんとMCバトルをすることになって、B2Bをやるっていう積み重ね。連鎖で起きたことだから、運はあるとはいえ偶然じゃないっていう曲にしたかった。 実力で、この口だけで手に入れてきた、という曲で、Benjazzyさんにもそういう内容でラップしていただいてます。 Ringdidiringring feat. SEEDA 電話の着信音から発想して、仕事の連絡が鳴り止まないっていう曲。SEEDAさんと自分は去年すごい客演をしたと思います。自分も今思えばすごい量をやってたなって思うぐらい、何も考えずに、無我夢中で客演のバースを蹴っていった。SEEDAさんとはタイミングで曲をやりたかったんで、この曲でやっていただきました。SEEDAさんは常にアイデアがすごいフレッシュで最高でした。 Million Back 1年以上前ぐらいからできていた曲でTAXONとasciiがプロデューサーなんですけど、自分的に二人っぽいなっていうサウンド。asciiのルーツの電子感もありつつ、TAXONのビートの硬さもそう。サウンドを変えようかなって思ったんですけど、これはこれで初々しいというか、貴重だなって思ったんで、1年以上前のままにしてる曲です。 Way (Interlude) 自分が地元に帰って思うのは、常に虫が鳴いていて、この耳障りが俺はすごい好きで、安心するんです。次の曲の「Naked Eyes」は東京の話なんですけど、地元である八千代の音から東京に移るっていうイメージです。 Naked Eyes feat. Kohjiya 東京はやっぱりすごい情報量だから、すごい目が乾くなって思う。元々Kohjiyaは16ぐらいの時から活動してるのを知っていて、俺もその時SoundCloudに曲を上げていました。どこかのタイミングで曲やりたいなって思っていて、今だなって感じた。バースは1週間くらいでもらえて助かりました(笑)めちゃめちゃカマしてるし、さすがだなって思いましたね。 Seven 地元が千葉県の八千代市で、その市外局ナンバー「047」のセブンっていうのもあり、家の最寄りのコンビニがセブンイレブンっていうのもあり、さらに好きで着てたブランドのNEXUSVII.(ネクサスセブン)のデザイナーの方も地元が八千代市で、そこから取った曲です。 Flafla 外に出かけているイメージで、フラフラするっていうラフな曲です。ビートを聴いてから早めにレコーディングして、練らずにそのままやった感じです。uin君とasciiが作ったビートで、これは跳ねられます。 Hagishiri feat. Jinmenusagi これは3、4月にやってた曲です。当時、 俺の歯ぎしりがすごかったんです。普通に夜中に起きちゃったりするレベルで、そのイライラをコンセプトにしてますね。ビートも歯ぎしりの擦れる感じをイメージしています。Jinmenusagiさんはどのビートでもかましてくれるし、自分の好きな音感で声をかけさせてもらいました。 Twisted feat. Skaai Twistedは元々入れるつもりだった曲じゃなかった。Skaai君には元々入ってもらう予定だったけど、忙しいので難しいかなって思ってたら、納期2日前に「行けるよ」って連絡してくれて、その日1日でできた曲ですね。「Twisted」は、ひねくれものみたいな楽曲で、真っすぐのつもりでも、真っすぐではないよなっていうことを表しています。 Oil Freestyle uin君とスタジオに入って、3時間くらいでできました。ワンテイクかツーテイクぐらいでレコーディングしたやつをそのまま使っていて。自分の根底にあるものでノリでラップしてる感じがします。ブーンバップも好きなんで、ラップするのがすごい楽しかったです。自分のナチュラルなグルーヴが出ていると思います。 Jerry feat. Lil’ Leise But Gold このアルバムで1曲はシンガーとやりたいなっていうのは元々あったんで、好きなシンガーであるLil’ Leise But Goldさんにお願いしました。『喧騒幻想』っていうアルバムがめっちゃいい。歌声とノリがすごい好きです。
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