Chance

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バンド経験豊富なメンバーが集うHedigan’sの真価が発揮されたファーストアルバム。2024年夏より各地の音楽フェスティバルに出演した彼らは、気取らず気負わず、ただ5人でステージに立つだけで強烈なオーラを放った。本作は、その熱量の高いパフォーマンスと地続きでつながっている。 ギターの鋭い音で始まる「地球(仮)」を筆頭に、オルタナティブロックやガレージロックの影響が色濃い楽曲では、引き締まったグルーヴが5人の結束を物語る。いずれもサイケデリックな色を織り交ぜ、現実と非現実の狭間を行くような違和感を生むのがHedigan’s流のロックだ。また、レイドバックしたサウンドもこのバンドを象徴する要素の一つであり、浮遊感にあふれた「Mission Sofa feat. 井上真也」、素朴なアコースティックソング「ふしぎ」などは、思わず頬が緩むようなほほ笑ましさがある。 バンドのフロントに立つ河西"YONCE"洋介が中心となって手掛けるリリックは、クールな目線で世に漂う違和感に対するメッセージを放つ。鋭さとゆるやかさ、荒々しさと柔らかさ。どちらも自在に表現できるのは、5人がこれまでのバンド人生で培った経験と勘があるからこそ。ここからはメンバーたちに全曲の解説をしてもらおう。 地球(仮) YONCE(Vo/G):Hedigan‘s結成当時の頃に書き溜めていた曲の一つで、デモからあまりコードや歌詞はいじくらず、そのまま素直にいかつい音で制作した曲です。ストレートなバンドサウンドのアプローチができました。 本村拓磨(B):かっこいいエレキギターの音から始まるアルバムができて嬉しいですね。 マンション 栗田将治(G):この曲はアルバムをとり始める直前にYONCEと二人で夜な夜な作った曲で、デモの時点で個人的に手応えを感じていました。 栗田祐輔(Key):歌詞も曲も色んな角度から解釈できると思うので、伝えたい明確な想いがあるというよりかは、聴く人それぞれに解釈してもらえたらいいなと思います。 グレー 栗田将:この曲もYONCEと二人で曲の原型を作りました。デモの時点ではもっとスローでスイングしていましたが、本村くんのアイデアでテンポを早くしようとなって。その結果、あのイントロのベースラインが生まれました。 本村:この曲は結構いじくりまわしましたね。元々のデモもよかったですが、もっとめちゃくちゃにできる可能性があるなと思い、色んなアイデアを出して、それを将治が具現化してくれました。アルバムの中でもみんなで作った感のある曲の一つかなと思います。 その後… 大内岳(Dr):Hedigan’sの普段の歩幅、足音みたいなテンポ感と、ちょっと緩い感じで、どこまでも続いていきそうな熱量。そんな僕らの日々の様子がレコーディングされているような感じがします。 YONCE:ナーディーなファンクネスみたいなのが個人的に面白い質感だなと思っていて、その上に近未来的というか、ディストピア的なリリックが乗っかることで、マッチング的にかえってSFっぽくなるというか。不思議な世界観を描くことができた曲かなと思います。 再生 YONCE:アルバムのリード曲となるこの曲は歌詞が先にあって、それを将治に渡して作っていったんですけど、シンプルに美しいメロディーと温かみのある楽器のテイクがとれて、例えHedigan‘s以外のバンドからリリースされたとしても、リスナーとしてすごく良い曲だなと感じる曲ですね。 栗田将:YONCEに歌詞をもらった時に「往年の湘南サウンド」というキーワードをもらい、それをイメージして作りました。いい意味で日本的な湘南サウンドに仕上がったかと思います。 Mission Sofa 大内:この曲は井上真也さんというミュージシャンが参加してくれて、素晴らしいベースと縦笛をパフォーマンスしてくれました。 栗田祐:曲の作り方としては、YONCEが書いてきた歌詞を見ながら僕がコードとメロディーをつけたものに、みんなで色々手を加えながら仕上げていきました。 But It Goes On 栗田祐:シンプルな曲だけど意外と制作に時間がかかった曲ですね。ボーカル録りの時、YONCEの声が不調だったんですけど、ざらついた感じの良いテイクがとれて、それをあえて採用したのが印象的です。 本村:シンプルなロックンロールに仕上がるかなと思ったら、妙ちくりんな仕上がりになりました。 O’share 栗田祐:2024年7月にリリースされた曲で、今年各フェスでもたくさん演奏させていただきました。録音方法が他の曲と違い、一発どりで行ったことで、他の曲と違う雰囲気に仕上がったかと思います。 大内:現状のHedigan‘sで一番激しいロックチューンになったかなと思います。 カーテンコール 本村:Hedigan‘s結成前からデモがあった曲で、アルバムで一番古い曲になります。 大内:この曲が仕上がったのは後半だったんですが、完成した時になんとなく、このアルバムの行く先が見えたような感じがしました。 ふしぎ YONCE:「再生」と同様、将治に歌詞だけを渡して曲にしてもらいました。個人的にすごくいい歌詞が書けたかなと思います。 栗田将:歌詞がいいからどんな曲をつけてもいいという安心感があって。リラックスして作ったムードがレコーディングにも反映されているかと思います。祐輔の鍵盤のメロディー、本村くんのラッパも最高ですね。

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