初歩からの無職

路上から見たホームレスをめぐる環境

    続けざまにホームレス生活の話。今回は社会問題としてのホームレスについて。面白半分にホームレス実験なんてやってて配慮足りないんじゃないの?っていう感じのブコメもあったけど、逆に僕にとってはホームレス問題というのはかなり関心があるテーマである。よく考えても見て欲しいけど、僕は君らより将来ホームレスになる確率高いんやぞ?1年後と言わず数カ月後にでも。

    だから関心があるというレベルではなく、生きるためには知っておくべき事柄と言ってもいいかもしれない。そんなわけで、今回はホームレスに関する書籍や支援団体の報告、僕が見たホームレスの実際などを軽く書いておく。

    村田らむのホームレス本出版イベント

    ホームレスを「なんだか面白い人達」という切り口で捉えた村田らむ

    僕は仕事を辞めて上京するときからずーっと、ホームレスについて考えてきた。何とかして路上生活における知見を得ておかなければ、突然放り出された時に間違いなく僕は死ぬ。だって馬鹿だしどんくさいし要領悪いし。美少女が言うと守りたくなるようなセリフもアラサーに突入した小太りの男が言うとこのザマだ。

    そんでもって、夏が過ぎていよいよホームレス実験をしようとシコシコ準備していた中、知り合いから歌舞伎町でホームレス本の出版イベントがあると聞いた。彼らの生の情報が得られるまたとない機会が、ほんの直前にやってきたのである。僕は即答で参加させてもらった。

    ホームレススーパースター列伝

    最初に言っておくと、この村田らむさん(以下敬称略)という人はホームレス支援者の人達(特に共産党系の人)からものすごく嫌われている人だ。過去にも村田らむはホームレスに関する書籍を出版しているが、内容がホームレス達や彼らの生活を面白おかしくまとめているものだからだ。

    ただ、僕が知り合いのツテで楽屋にもお邪魔させてもらったり、出版イベントのトークや映像を見る限り、彼はホームレスをリスペクトしているし、何より彼らの人間味をとても愛している。いや、トレーディングカード化とかしちゃってるからやっぱりオイタが過ぎるおじさんなのかもしれないが、それでも社会の一員として彼らのことをしっかり認識してるように思える。いや、やっぱり本はやりすぎかも。(無限ループ)

    河川に社会を形成しているホームレス達

    これも面白かったが、例えば多摩川に定住しているようなホームレス達には貧富の差があるという話をしていた。ようは雨が当たらない場所に家を建てたかったらとある人の許可が必要だったり、畑を違法耕作している人達がいて、中には中国人も混ざっているが彼らは何かに追われている人なのであまり突っ込めないとか。

    河川などに家を作っているホームレスの生活は思ったより豊かな人もいて、例えば発電機があってソーラーパネルがあって、地デジが見れてWifiがあってなど、ほんまかいなと思えるような家まで作っている人もいた。あるいはペットの犬や猫が死んだときの立派な墓を作っていたり、河川の増水に備えて高床式にしたり。もともとホームレスがいたが亡くなってしまって、その空いた家に誰かが住んだりもしている。

    割りと触れてはいけない系の怖い感じのやつもあったりして、ホームレスの世界は多分僕らの想像以上の世界が広がっている。

    ホームレスは日常的に暴力に晒されている

    実際にホームレスにインタビューする中で、ホームレスが日常的に暴力に晒されていることもリアルに伝わってくる。ある人は寝てる時に火を付けられて、警察に言ったが「お前らをいちいち相手にしてたら仕事にならない」と言われ取り合ってもらえなかったそうだ。また、毎年会っている西成のホームレスは、殴られるのは日常茶飯事のようで、会う度に歯が抜けていたり、怪我が増えていたりしている。

    そして殺される人も珍しくない。暴行を加えるのは学生が多く、「社会のゴミを掃除する」という意識高い発言は記憶にも新しい。ホームレスは常に生死の危険と隣り合わせだ。

    ホームレスをめぐる人達

    というわけで、ホームレスはものすごく過酷な環境に生きている。炊き出しなんかはよく聞くだろうが、あれをメインでやっているのはホームレス支援団体の他にも、宗教団体もいて、中でもキリスト教系の人達が圧倒的に多いそうだ。

    特に韓国系のキリスト教系が多いらしい。無慈悲の愛、とまではいかないらしく、やはり布教がセットになるようで、ひどいときは説教が2時間に及ぶ時もあるという。

    悪質なものは寝る場所まで提供してくれたと思ったら系列店の焼肉店に無賃労働を強いられたりしたらしい。宗教系はちょっと気をつけないと怖そうだ。

    村田らむのホームレス観

    村田らむの書籍は批判されることも多いけど、救われるべき弱者とか可哀想な人達というバイアスがかかっていない、見たままのホームレスという感じだろうか。ホームレスに対する取材は丁寧でものすごく深いところまでやっているし、意外なホームレスの一面も見ることができて面白い。坂口恭平はホームレスをよりリスペクトしている感じだけど、村田らむはなんというか一緒に酒を飲むような目線で見ている気がする。もちろん、彼らが受けている過酷な環境や痛みは村田らむも理解し、感じているのだろう。

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    新宿ごはんプラスのホームレス支援活動報告会

    月2回、食事とプラスαを提供する支援活動

    ホームレス生活を始めてからほどなくして、新宿ごはんプラスというホームレス支援団体の活動報告会があるとFacebook上でフォローしていたので流れてきた。前々から炊き出しには支援活動をしている人達からホームレスの生活に関することを聞いてみたかったので、もちろん参加した。

    新宿ごはんプラスは元日弁連会長の宇都宮健児と、ホームレス支援NPOのもやい代表の大西連が共同代表を努める支援団体だ。都庁下で食事提供だけでなく、さらにプラスαを提供することを活動内容としてる。具体的にはワンストップで、様々なことが相談できるよう、専門のスタッフがいるようだ。組織自体は大きくないそうだが、連携している団体は多い。

    ~『新宿ごはんプラス』で大切にしていること~ *ごはんをキッカケに、誰でも相談できる場を *多分野の団体・個人が連携し、必要な支援につながれる機会を *「あそこに行けば何とかなるかも」と思える場所、ひと息つける場所を 新宿ごはんプラスとは

    支援団体が施設や屋根付きの場所ではなく、路上で活動するのはアウトリーチの考え方だそうだ。施設内で待機していても、ホームレスに認知してもらえなければ意味がない。だから、椅子とか設置物などが使いにくくても路上で活動するのだ。

    ホームレスは医療ニーズが高い

    新宿ごはんプラスは様々な相談をワンストップで受けているが、最もホームレスが求めているのは医療だ。世界の医療団という協力団体の医師によると、路上生活者の健康イシューは高血圧対策なのだそうだ。高齢化が進んでおり、医療機関の診療を必要とする人たちも多い。そういった患者は無料診療や定額診療といったところを紹介している。

    僕は路上で寝ているだけだけど、それでも体調管理というのは非常に難しい。高齢になってくるとなおさらだろう。一度体調を崩すとなかなか治らないし、最悪死に至るというのは全然誇張ではない。

    健康権という権利がある。これは日本では直接的に規定はされていないが、日本が批准している国際人権条約にも規定されている。日本の法制度はヘルスケアに関する設備や制度への利用可能性だとかアクセス可能性だとかを国民に保障できるようなシステムであることが求められているけど、もしそれができない人達がいるとしたら日本は個人の健康権を侵害していると言える。

    支援団体はホームレスには生存権だけでなく、健康権も侵害されている状態であると考えている。だからこそ、路上生活からの脱出は医療面においても重要なのだ。

    生活保護で向精神薬をタダで入手して転売していたヤツが逮捕されたが、路上生活者は逆に必要なときだけ1回薬を貰いに来ることが多いという。あまりリピートされないし、いたずらに持っていくようなこともしない。だからこそ、一回来てもらったらできるだけ詳しく診療しなければならないそうだ。

    この国のセーフティネットの実態

    前に僕は「健康的で文化的で最低限度の生活」とは路上生活のことだと言った。いや、生活保護でしょっていうツッコミもあったけど、現実問題としてホームレスの人達は生活保護を受ける生活よりも路上で暮らす方がまだマシだから路上で生活している。支援団体もセーフティネットに穴が空いているという表現を使っているが、僕にとっては路上生活の知見を得ることが自らのセーフティネットだと思っている。

    話を戻そう。生活保護は水際作戦だとか受給を阻む最後の砦として有名だけど、そもそも家がない人たちが受給を受けるためには一時的な保護施設、シェルターに入居することが条件だ。そして、シェルターに入ったホームレスの多くはシェルターから逃げ出すのである。あまりに過酷な環境だからだ。

    生活保護受給課の窓口や、シェルターの職員といったケースワーカーは、福祉を専門に取り組んでいるはずなのだが、ホームレスについて正しく理解しているとも限らない。そういう状況下で、人としての尊厳を無視されたり、高圧的で侮辱的な扱いをするケースワーカーも多い。そしてそうなったら、ホームレス達は二度とその窓口に行くことはなくなるのである。

    職員の暴行問題なども過去にあったし、シェルター内には様々な種類の人間が共同生活を送っている。僕もシェアハウス暮らしをしていたので、その共同生活のメリットや素晴らしさは知っているつもりだけど、全く趣味趣向が合わない人、犯罪などが横行している空間となれば話は別だ。シェルター内では暴力や金品が奪われたりなどもある。ホームレスにとってそこは決して心安らぐ場所ではなく、むしろ路上のほうが比較的安全だったりする。

    極めつけは、これらは一時待機所という建前があるにも関わらず、数年間放置されていたケースも存在する。何度も取り合ったが状況が変わることもなく、結局その男性はシェルターから逃げ出した。一時待機所からアパートへ入居するという脱出ルートへのハードルはこのように無慈悲に高い。

    だから、支援団体はホームレスと一緒に生活保護申請などの手続きを行っている。まるで被告人に付きそう弁護士みたいだなと思った。シェルターの環境が劣悪というのはなんとなくみんな知っている情報だと思うのだが、実情をリアルに聞くと想像以上である。これが日本国の誇るセーフティネットだ。

    ホームレス支援の鉄則は「ハウジングファースト」

    近年ではホームレス支援の鉄則としてハウジングファーストという考え方が定まりつつある。路上から一時待機所を経てアパートというルートはあまりにも待機所のハードルが高すぎるので、そもそも最初に住む場所を提供することで路上生活からの脱出を支援するというものだ。

    海外でこのアプローチが成果を上げたのを受け、東京都でも2004年から2009年度にかけて公的に取り組みが行われたが成果を挙げている。

    入居者には、希望者に対して約半年間、都立公園の清掃などの軽作業の仕事が提供されたほか、NPOなどのスタッフによる訪問相談や様々な社会資源につなげるための同行支援なども実施された。事業終了時には全体の83.6%にあたる1626人が一般住宅で地域生活を継続できることになった。 自立するためには、まず安定した住まいを:「ハウジングファースト」という考え方

    公的支援だけでなく、民間やNPOの支援団体もこの取組みを行っているところが多い。活動報告会でも、ちょうど理解のある大家が見つかり、入居が決まったというタイムリーな報告があり、会場に拍手が流れた。

    これはとても有効な手法だが、逆に言うと東京では個室スペースを確保するのは困難かもしれない。じゃあ地方でやればいいじゃんというが、ホームレスが東京にいるのは仕事があるからなのだ。東京という都市が抱える問題でもあると思った。

    その他にも色々な情報

    やはり実際にホームレスに接している人達の情報は有益なものが多くて知らないことも多かった。地域ごとのホームレスはなんとなくのイメージはついていたが結構特徴づいている。池袋は大人しい人が多かったり、逆に新宿はアクティブなホームレスが多くて、仕事している人も多く、他県などに出稼ぎに行ってはまた戻ってくる人も多いそうだ。

    僕もボランティアに是非参加したくなった。僕は支援団体からもホームレスからも多くを学びたい。何なら、金がなくなった時はいよいよ一時待機所のひどさをこの身で確認してみたい。なんか最近月の半分は東京にいないことが多く、なかなか参加できていないのだが、時期があえば参加しようと思う。

    新宿ごはんプラスのボランティアに参加したい人はセミナーにまず参加する必要がある。公式サイトを見て欲しい。

    どうでもいいが、宇都宮健児が社会保障費を削って軍事費を増やしているみたいなことを言って現政権批判してたけど、そういうのと抱合せでやっちゃうとややこしくなるのでやめたほうがいいとおもいましたまる

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    坂口恭平がホームレスに見る多層性

    ホームレスは別のレイヤーで都市を見ている

    ホームレス生活に入ってシルバーウィークに入ったので、ギークハウス勢と各地をサバイバル行脚していた。ガチサバイバルをしよう!って集まったけど当日まで詳細は決まっていないばかりか、当日になって別のイベントに参加する人や実家に帰っている人もいたりで、グダグダになって合流したけど結局全食コンビニで済ませるくらい、ガチなサバイバルだった。

    そんなことはどうでもいいのだが、ギークハウスつくばに遊びに行ったときのこと。本棚に独立国家の作り方という本があったので手に取ってみると、なんとホームレスに関することがめちゃくちゃ書いてあったので思わず全部読んでしまった。

    ものすごく面白かったのが、彼もやはり通常の人とは違う視点でホームレスを捉えていて、一種の都市型狩猟採集生活を行っているすごい人達という考え方だ。なんというかここまで同じベクトルの考えの人がいるんだったら、前もって読んでおきたかった。

    坂口恭平で面白いのは多層性という点に着目していることだ。普通の人達とホームレスは同じ都市空間にいても見えているものが違う。普通の人がゴミと思うものでも、彼らにとっては家の材料になったり、お金になったり、寝るものになったりと、全く違うレイヤーで物事を見ている。海の幸、山の幸があるように、都市の幸があるのだと。

    とりあえず死なない社会

    ギークオフィスでホームレス計画のプレゼンをしたとき、なぜこんなことをするのかという部分について「とりあえず死なない社会」の方がいいじゃんっていう話をした。うつ病や自殺による経済的損失は年間約2.7兆円にも登る。これはOECD諸国でも高い数字だ。

    新しいライフスタイルを提唱する人達って有名大卒だったり、なんかスペック高そうだったり頭が良さそうな人が多い。これって僕らクズ勢がすると結構絶望的だったりする。だったらクズ人間でもそういう生き方ができるかどうか実証する必要がある。だからってわけではないが、僕は上京して変なことやったりしているのはそういう理由もある。

    だからこそ、死の最終防衛ラインであるホームレス生活を僕は知っておく必要があるし、準備する必要がある。だからホームレス実験をしている。そりゃ様々なサービスをアウトソースしているのでかなりぬるいけど、それでも色々と見えてくるものが違っている。僕の生存にもかかる問題でもあるから、別に炎上したって構わない。

    自身も躁うつ病を患っている坂口恭平も自殺を最重要な問題と捉えている。彼はホームレスが別レイヤーで物事を見ているのを見て、今の社会に絶望している人も別レイヤーで世界を見れば生きていくことができるという感じだろう。

    坂口恭平の独立国家

    彼は土地や経済についても全く別の考え方をしている。現状の貨幣経済に変わるものとして態度経済というものを言っていて、これは貨幣を交換するのではなく、態度を交換するものだ。お金は態度に対する投資である。これは岡田斗司夫の評価経済と似ているのではないかと思った。岡田斗司夫の本読んでないからなんとも言えないけど。

    彼の0円ハウスやモバイルハウスといった家造りなどもそうだ。ホームレスのような都市型狩猟採集生活の創造性があれば、0円で移動式の家が作れる。ホームレス的視点で現在の社会システムの問題を解決していっている。ホームレスは資本主義経済社会では貧困層に位置づけられるが、都市型狩猟採集社会においては誰よりも優秀だ。

    カーバッテリーの活用を思いついたあるホームレスが実験を繰り返し、12V電源で使用可能な家電製品を調べあげ、ガソリンスタンドにお願いして廃棄する交換後のカーバッテリーを回収しているうちに、仲間のホームレスにも設置してあげて、彼らは生活に電気を手に入れた。あるホームレスがアルミ缶回収で、率直に店や地域住民にお願いして、アルミ缶の提携をし、毎日回収して回ってお金を稼いでいる話など。村田らむもそうだが、ホームレスの生活力の高さは面白い。

    そしてとうとう、坂口恭平は独立国家を作ってしまった。「お金がないと生きていけないというのは嘘だ」という彼に共感する人、反対する人がいたらぜひ本を取ってみて欲しい。面白いよ。

    ちなみに新書も最近出たみたいです。

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    僕が路上から見たホームレス

    彼らが恵比寿に住む理由

    恵比寿は渋谷や新宿と違って、家を立てて定住してるホームレスは見たことがない。また数も少なく、僕が見たことある人も 5〜6人程度だろう。

    渋谷新宿池袋などにホームレスが村を作っているのは単純明快だ。第一に仕事がある。アルミ缶などのゴミも出やすいし、繁華街なので限定商品などの並びの仕事も多く、日雇いの仕事だって多い。卵が先か鶏が先かという話になるが、炊き出しもこの地域は多い。

    さらに言えば、固まるのは襲撃されるリスクを避けるためである。人が多い地域は特に危険だ。殺されるリスクがある。マジで。

    対して恵比寿は、オシャンティなビジネス街でホームレスの仕事は少なそうだし、炊き出しもやっぱり少ない。これは僕の予想だけど、少し南下するだけで治安が圧倒的に良くなるので、安全性を求めて恵比寿で過ごしているのではないかと思っている。すぐ隣の渋谷まで行けば炊き出しや仕事などはある。恵比寿にも僕の知らない仕事などがあるのかもしれないけど。

    ホームレスは非常にタイトなスケジュール

    ノマドって勝手にリモートワークしまくってる意識高い人のことだと思ったけど、それはノマドワーカーで、ノマド自体は単に遊牧民という意味らしい。正式にこういうのかは知らないけど、僕は定住型ホームレスノマド型ホームレスと種類分けして、前者は家を立てて定住している人達で、後者は恵比寿のホームレスのように常に移動してあくまで寝る場所という感じだ。

    定住型ホームレスはパブリックスペースを占有していて確かに問題なんだけど、彼らの生存権にも関わってくるからセンシティブな問題である。寝る場所って生死に関わるすごい重要な要素だってことは実際に外で寝ないと実感できないだろう。

    逆にノマド型ホームレスは家を立てているわけではないので、寝る場所に寝具を敷いて、起きたら撤去の繰り返しだ。彼らの特徴として基本的には遅寝早起きなのだ。生存権を盾にしたせめぎあいができる定住型ホームレスと比べて、ノマド型ホームレスは閉めだされたら一巻の終わりだ。だからこそ、彼らは苦情にならないように、昼間の人間ときっちり時間帯を分けて生活しているし、ゴミなども出さない。

    僕は彼らよりも遅く寝て、結構早く起きているのだが起きたら彼らはもういないことが多い。僕の予想だけど早朝の炊き出しに向かっているのだと思う。村田らむのイベントなどでもホームレスは都内の炊き出しスポットを回りながら仕事をするため、意外にタイトなスケジュールで行動しているという話があった。

    おかげで話すタイミングもなかなか無く、僕のコミュ症具合も相まって、ようやく少しばかり会話を交わす程度である。もっと本格的な知見を教授してもらうためにはもっと頑張らないといけない。

    ホームレスの静かな排除

    渋谷区などはホームレス排除の動きが激しい自治体でもある。真冬の公園の閉鎖だったり、行政代執行だったりと、直接的な激しい排除もあるが、ホームレス視点で見ると静かに排除の手が忍び寄っていることが実感できる。

    今日のツイートで流れてきて分かったんだけど、そういうのはジェントリフィケーションという言葉があるらしい。アートや再開発などで地域活性化をしつつ、実はそこに古くから住んでいた貧困層を静かに排除するという都市開発の裏の顔でもある。

    他にもオーソドックスな仕切りのあるベンチもそうだし、寝てると意外に辛いのが、明るすぎる照明だったり。実に様々な場面で静かにホームレスは排除されている。そしてこれは確実に加速していくと思っている。東京オリンピックに向けて。